「月夜見梅花」 菅原道真 -自作英訳初版- | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

二次試験も終わり一息ついている受験生も多いだろう。発表までのこの沈黙の一時(昔は今より少し後だが)、自分はどのように過ごしたのか?

 

今でも思いだすのは、キャンディーズの『微笑みがえし』という曲が爆発的に流行り始めたことと、井上靖の『楼蘭』を読み始めたが集中できず、放り出したことである。結局、『楼蘭』35年余りが経過した今も読了していない。

 

映画館では『未知との遭遇』が上映されていた。これは発表後、友人と慰労会を兼ねて観に行った。今は昔々の話である。

 

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「東風吹かば・・・」の季節が過ぎて梅が見頃となった。以下は、道真11歳の時の作とされている。

 

「月夜見梅花」      菅原道真

 

月燿如晴雪        月燿(げつよう) 晴雪(せいせつ)の如く

梅花似照星        梅花(ばいか) 照星(しょうせい)に似たり

可憐金鏡転        (あわれ)むべし 金鏡(きんきょう)(てん)じて

庭上玉房馨        庭上(ていじょう)玉房(ぎょくぼう)(かお)れるを

 

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(現代語訳)

「月夜に梅の花を見る」

 

月の光は、晴れた日の雪のように白く、梅の花は月光に輝く星に見える。なんと素晴らしい景色だろう。金の鏡のような月が移動する中、庭では梅の花の香りが漂っている。

 

(自作英訳初版)

“Plum Blossoms under the Moonlight” by SUGAWARA Michizane

 

Moonlight is as white as snow on a fine day, and plum blossoms look like shining stars.

How fantastic it is to see plum smelling sweet in the garden under the moon moving around like a golden mirror.