GWは気温も低く荒天でまるまる晴れたのは1日くらいだったが、隣県まで車を走らせると、道の両端の爽やかな新緑がまるで緑のトンネルのように見えてとても美しかった。こんなコロナ禍ではあるが、植物の生命力の強さを感じずにはいられない。
以下は、日本が平和だった2018年5月に書いたエッセイからの引用である。
GW明け日本列島は季節外れの寒さに見舞われましたが、この寒さを「若葉寒」と呼ぶそうです。季節は青嵐吹く中を燕飛ぶ初夏を迎えました。
「燕」は英語でswallowですが、同じ綴りの動詞swallowは「のみ込む、嚥下する」の意味を表します。昨今よく聞く「誤嚥による肺炎・窒息死」の「嚥」です。ここで、ふと疑問に思うのが漢字の「燕」と「嚥」の奇妙な一致です。何故、英語圏でも中国語圏(漢字)でも、のみ込む(嚥下)に燕が関係しているのでしょうか?少し調べてみました。
まず、英語ですが、「燕」のswallowの語源はswealwe、一方で「嚥下する」のswallowの語源はswelganで、どちらもゲルマン系の語ですが全く別の単語です。従って、両方の単語が進化して最終的にたまたま同じ綴りになったものと考えられます。
従って、英語のswallowは単なる偶然の一致です。
次に中国語(漢字)の「燕」と「嚥」ですが、『漢字源』によると「嚥」の意味は「①のむ。のどの狭くなったところを押し下げて、ぐっとのみこむ。」、「②のど。口の奥の、食道や器官に通じるところ。」とあり、さらに解字以下の記述がありました。「形声。「口+音符燕」。燕は音符で、つばめという意味とは関係がない。喉と同じ。」
「音符」とは漢字の字音を示す部分のことで「嚥」を「エン」と読ませるために口(偏)に「燕」という作りをあてただけで、漢和辞典の記載からも明らかに「燕」と「嚥」とは音が同じ以外何の関係もないということがわかりました。
中国語も単なる偶然の一致でした。
因みに、「人の言うことなどを、よく検討・理解せずにそのまま採り入れること」を「鵜呑み(にする)」といいますが、これを英訳する場合に動詞swallowを用います。
They swallowed the story hook, line and sinker.
「彼らはその話を鵜呑みにした」
日本語の慣用句からは、春の季語「燕」ではなく夏の季語「鵜」が出てきました。