「桜の思い出」 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

昨日、会社近くのホールで地元の国立大学の入学式が開催されていた。電車やバスの中、また通りにもフレッシュマンの姿を見かけるようになった。少しづつでも状況が良い方向に向かっていると信じたい。

 

以下は、まだ世の中が平和だった20194月に書いたエッセーを少し改訂したものである。

 

桜が咲き舞い散る中、新学期、新入学の季節が過ぎている。天孫降臨神話には木花開耶姫(このはなさくやひめ)という邇邇芸命(ににぎのみこと)が一目惚れした美しい姫君が居るそうで桜の女神とされており、また美と(はかな)さの象徴とも言われている。

 

NHKのローカル番組「ニュースブリッジ北九州」では、毎年この時期に『桜の思い出』と題する視聴者からの桜に(まつ)わる思い出やエピソード紹介しているが、桜の見頃が短いが故により一層思い出やエピソードも鮮明に記憶に残るのかも知れない。

 

古人無復洛城東                          古人(こじん)()(らく)(じょう)の東に無く

今人還對落花風                          今人(こんじん)()落花(らっか)の風に対す

年年歳歳花相似                          年年(ねんねん)歳歳(さいさい)(あい)たり

歳歳年年人不同                          歳歳(さいさい)年年(ねんねん)人同じからず

 

(拙・現代語訳)

昔洛陽城の東で桜の花を楽しんだ人々は既に亡くなり、今を生きる人々がその花を散らす風に吹かれている。

桜の花は毎年同じように咲くが、その花を楽しむ人は毎年同じではない。

                                              (りゅう)()()代悲白頭翁』の一節から引用)