昨日、会社近くのホールで地元の国立大学の入学式が開催されていた。電車やバスの中、また通りにもフレッシュマンの姿を見かけるようになった。少しづつでも状況が良い方向に向かっていると信じたい。
以下は、まだ世の中が平和だった2019年4月に書いたエッセーを少し改訂したものである。
桜が咲き舞い散る中、新学期、新入学の季節が過ぎている。天孫降臨神話には木花開耶姫という邇邇芸命が一目惚れした美しい姫君が居るそうで、桜の女神とされており、また美と儚さの象徴とも言われている。
NHKのローカル番組「ニュースブリッジ北九州」では、毎年この時期に『桜の思い出』と題する視聴者からの桜に纏わる思い出やエピソードを紹介しているが、桜の見頃が短いが故により一層思い出やエピソードも鮮明に記憶に残るのかも知れない。
古人無復洛城東 古人復た洛城の東に無く
今人還對落花風 今人還た落花の風に対す
年年歳歳花相似 年年歳歳花相似たり
歳歳年年人不同 歳歳年年人同じからず
(拙・現代語訳)
昔洛陽城の東で桜の花を楽しんだ人々は既に亡くなり、今を生きる人々がその花を散らす風に吹かれている。
桜の花は毎年同じように咲くが、その花を楽しむ人は毎年同じではない。
(劉希夷『代悲白頭翁』の一節から引用)