「ヨーロッパの火薬庫」(“Powder keg of Europe”) | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

昨今国際情勢が何かと喧(かまびす)しい。新聞でも米・日・韓・朝・中・露に加えて英・仏も話題が豊富である。まるで世界大戦前夜のようである。

 

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かつて「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれた地域があった。バルカン半島である。「チャート式新世界史」(数研出版・第4刷1975年発行)の解説は以下の通りである。

 

「ヨーロッパの火薬庫」

バルカン半島は、ゲルマン系・スラブ系・アジア系の諸民族が入り混じって複雑な民族構成をとり、しかも19世紀後半からはトルコの弱体化によって、これら諸民族が独立運動を展開しており、それに列国の利害が結びついて国際対立の焦点となっていた。とくにロシアを中心とする汎スラブ主義とオーストリア・ドイツを中心とする汎ゲルマン主義とがここで激しい抗争を展開した。ベルリン会議(1878)でロシアの南下政策が一旦阻止されると、ロシアの主要な関心は極東に向けられ、バルカン問題も一時緩和された。しかし、日露戦争における敗北によって極東政策が挫折をきたすとロシアのバルカン方面への圧力が再び強まり事態は緊迫した。「ヨーロッパの火薬庫」と表現されたように、バルカン半島は今や民族主義と列強の帝国主義政策が入り乱れて一触即発の危機を孕む地域となり、やがて第一次世界大戦も、この地域における紛争を直接の発火点として勃発することになる。

 

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なお「一触即発」を英語では“touch-and-go”とか“tinderbox”などと表現するようである。

 

Relations between the two countries are strained to (the) breaking point.

「両国間の関係は一触即発の危機にある」

 

The whole Caribbean region was a tinderbox.

「カリブ海全域が一触即発の危険をはらんでいた」

 

これからも国際情勢から目が離せない。