「題烏江亭」 杜牧 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

「酣」または「闌」と書いて「たけなわ」と読む。まさに2016年夏酣である。

 

Summer is at its height.

 

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「捲土重来」とは「一度敗れたものが、再び勢いをもりかえしてくること」をいい、「捲土」は土煙を巻きあげることで勢いの盛んな様をいう。杜牧の「題烏江亭」「烏江亭(うこうてい)に題す」)に由来する。

 

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「題烏江亭」         杜牧

 

勝敗兵家事不期      勝敗は兵家も事期せず

包羞忍恥是男兒      羞(はじ)を包み恥(はじ)を忍ぶは是れ男児

江東子弟多才俊      江東の子弟(してい)才俊(さいしゅん)多し

捲土重來未可知      捲土重来(けんどちょうらい)未だ知るべからず

 

(現代語訳)

勝敗は兵法家でさえも予測することができないもので、たとえ戦いに敗れたとしてもその恥辱に耐え、再起を図ってこそ真の男子である。

項羽の本拠地、江東にはすぐれた若者が多く、土煙を巻き起こす勢いで盛り返して再び劉邦を攻めていたなら勝敗はどうなっていたかわからない。

 

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遠い昔に受け取った「ミチノクノユキフカシ サイキイノル」という電報を思い出した。その地に遺恨を残したまま40年以上が経ってしまった。