「織女惜別」 直江兼続 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

「慈雨」などと書いたら物凄い豪雨となった。雨は上がったが曇り空の七夕の夜である。
 
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「織女惜別」         直江兼続(なおえ かねつぐ)
 
二星何恨隔年逢      二星(にせい)何なんぞ恨まん隔年に逢うを
今夜連床散鬱胸      今夜床(とこ)を連ねて鬱胸(うっきょう)を散ず
私語未終先酒涙      私語(しご)未だ終わらざるして先ず涙を酒(そそ)ぐ
合歓枕下五更鐘      合歓枕下(ごうかんちんか)五更(ごこう)の鐘
 
(現代語訳)
一年に一度にしか逢うことを許されない牽牛と織女の二つの星が、どうして七夕を恨みに思うことなどあるだろう。
二人は今宵は床を共にし、胸の閊(つか)えを晴らすことができたのだから。
秘かな寝物語も語り終わらぬうちに、涙が溢れてくる。
何故なら歓びを交わした枕元に早くも五更の鐘が響いて、別れの刻を告げているからだ。