「偶成」 朱熹 | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

何年か振りに正月休みをとってゆっくり休養した。概して寒い年末年始だったが、今日は久しぶりに朝から晴れたので少し遠くまで車を走らせた。正月気分はもう何処にも無い。


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「偶成」とは「詩歌などがふとできあがること」と広辞苑にある。「即興の」という意味なので英語では形容詞"impromptu"が相当し、この語は名詞としても使われる。


Impromptu:

An impromptu action is one that you do without planning or organizing it in advance.

「事前に計画や準備することなく動作を行なうさま、また行なわれる動作」


The children put on an impromptu concert for the visitors.

「子どもたちは来訪者に即興で演奏会を催した」


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正月を返上し寸暇を惜しんで勉学に励んだ受験生に以下の詩を贈る。試験は偶成とはいかないが勉強したことは決して無駄にはならない。受験生の健闘をお祈りする。


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「偶成」 朱熹  


少年易老學難成      少年老い易く学成り難し

   

一寸光陰不可輕      一寸の光陰軽んずべからず      


未覺池塘春草夢      未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢


階前梧葉已秋風      階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声


(現代語訳)

人は若い人でもあっという間に年老いてしまうが、それに反して学問はなかなか成就しないものである。だからこそ僅かな時間も惜しんで勉強しなければならないのである。

若い頃の池の辺(ほとり)に萌える春の草花のような甘い夢に浸っていて、ふと気がつけば早くも庭先の青桐の葉が秋風に吹かれて音をたてているのだから。



流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも