「同音異義語の盲点」(”a blind spot of homonyms”) | 流離の翻訳者 青春のノスタルジア

流離の翻訳者 青春のノスタルジア

福岡県立小倉西高校(第29期)⇒北九州予備校⇒京都大学経済学部1982年卒
大手損保・地銀などの勤務を経て2008年法務・金融分野の翻訳者デビュー(和文英訳・翻訳歴17年)
翻訳会社勤務(約10年)を経て現在も英語の気儘な翻訳の独り旅を継続中

昨日は日本列島の各地で春の嵐が吹き荒れたが、こちらは穏やかな新年度の始まりとなった。でも今朝は朝から強風が吹き荒れている。


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同音異義語は英語では”homonym”という。今回は最近気付いたある同音異義語について備忘録の意味でブログに書いておく。


英訳対象の日本語の原稿を見ていると、しばしば同音異義語の誤りが見受けられる。これは作者の日本語能力の問題もあるが、word等の変換ミスと考えられるものも多い。恐らく作者が見直す時間が無かった場合もあるだろう。


Word等の変換ミスの傑作(?)については、以下のサイトを見つけたので暇な人は見て欲しい。結構笑えるどころか笑いが止らなくなることがある。


http://www.kanken.or.jp/henkan/happyou.html


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先日気付いた微妙は同音異義語は「ついきゅう」である。この言葉、漢字では追及、追求、追究、追咎、追給、追窮・・・とあり、もちろんそれぞれ微妙に意味が異なる。


後の3つはあまり使われない。従って今回は前の3つの「ついきゅう」について調べる。以下は広辞苑からの引用である。


1) 「追及」 後から追いかけていっておいつくこと。(責任などを)どこまでも追い責めること。


2) 「追求」 どこまでも後を追いかけて求めること。


3) 「追究」 (学問などを)尋ねきわめること(=追窮)。


3)は殆んど使ったことがないが1), 2)はよく使う。責任を「ついきゅう」する場合は1)を使うように心掛けよう。責任以外は2)を使えばほぼ大丈夫である。


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では、この3つの言葉、和英辞典ではどうなっているか?。結果は以下の通り。


1)「追及する」: Pursue the question [issue] of a person’s responsibility, cross-examine, press a person hard


2)「追求する」: Pursue [seek] the truth, follow up a case, in pursuit (search, quest) of 


3)「追究する」: Inquire [go] into a matter closely, investigate a matter thoroughly


以下文例を挙げておく。


1) In response to further interrogation, he at last confessed.

「さらに追及されて彼はやっと自白した」


2) Our company was working up in its pursuit of profits.

「会社は利益の追求に躍起になっていた」


3) The police made a thorough investigation into the cause of the accident.

「警察は事故の原因を徹底的に追究した」


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動詞”pursue”, “seek”などは使うタイミングが結構難しい。また”investigate into the cause”は動詞”investigate”の自動詞としての用法で慣用句である。


一つのことを調べると色々なことが見えてくる。


流離の翻訳者 果てしない旅路はどこまでも