先日「紅葉(もみじ)」に関連した漢詩の記事を書いたが、「紅葉」と言えば「鹿」だろう。特に花札の話をしているのではない。
百人一首の中にこの「鹿と紅葉」を詠んだ歌がある。作者は「猿丸太夫」(さるまるだゆう)で非常に謎の多い人物である。
随分昔に読んだ井沢元彦氏の「猿丸幻視考」という小説の中で「猿丸太夫=柿本人麻呂説」が紹介されてる。
この小説は暗号解読をテーマにしたもので、1980年に江戸川乱歩賞を受賞しており実に面白いものだった。興味のある方は一度読まれてはどうだろうか?
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百人一首第五番 (猿丸太夫)
「奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき」
(現代語訳)
「秋の山奥深くに、散った紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞くと、秋も深まったものだとしみじみ侘びしく思えてくる。」
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(英訳紹介・ネット上から)
How lonely autumn is when a deer calls his wife plodding,
On the ground covered with maple leaves in the mountains.
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この鹿は牡鹿でそれも妻を呼んで鳴いているとどうして決め付けられるのだろう。私はそのような解釈はしない。いずれオリジナルの英訳を掲載したいと思う。