「なお(猶・尚)」という言葉はビジネス文書だけでなく口語でも良く使われる日本語であるが、英訳しにくい単語の一つである。
まず「なお」の意味から調べてみよう。広辞苑によると日本国文法による「なお」の品詞は「副詞」および「接続詞」である。
(以下副詞として)
①引き続いて変らず。もとの通り。まだ。 「今もなお心に残る言葉」
②やはり。何といっても。 「和歌こそなおをかしきものなれ」(徒然草)
③そうは言っても。それでも。 「今はなお昔のかたみになずらへてものしたまへ」(源氏物語)
④再び。もとの通りに。 「同じき年の冬なおこの京に帰り給ひにき」(方丈記)
⑤その上にまた。いよいよ。ますます。さらに。一層。 「早ければなおよい」
⑥までも。さえも。 「畜類なお故郷の名残りを惜しむ」(平治物語)
⑦ちょうど。あたかも。 「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」
(以下接続詞として)
⑧「ある事柄を述べた後で他の事柄を言い添える時に使う語。 「大略以上の通りです。なお、詳細は後ほど申します」
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これだけ意味があれば英訳しにくいのも当然である。対象の日本文の「なお」がどの意味なのかを見極めて適切な訳語を選択する必要がある。以下自分なりの訳語を挙げておく。
1) still, yet
2) still, all [just] the same
3) on the other hand, nevertheless, nonetheless, still and all, meantime, meanwhile
4) again, [just] as before
5) further, furthermore, in addition, additionally
6) even, so (as) far as
7) just like, just as if
8) further, in addition, additionally