当ブログの「当ブログの御案内」では、記事の各カテゴリを説明しておりますが、「『南海』には泉北高速鉄道及び和歌山電鉄を含みます」という但し書きをつけています。

この但し書き、来年4月以降は意味を持たなくなります。

というのは、泉北高速鉄道が南海電鉄に吸収合併されることになったから。東では新京成電鉄が京成電鉄に吸収合併されることになりましたが(下記関連記事参照)、これらの企業合併によって、東西の「準大手私鉄」が消えることになりました。

 

一次ソースはこちら(南海大本営発表)↓

 

完全子会社(泉北高速鉄道株式会社)の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

 

やや長いですが、「合併の目的」の項目を引用します。

 

以下引用開始
当社は2014年7月1日に大阪府等から旧大阪府都市開発株式会社の株式譲渡を受けて、同社の名称を泉北高速鉄道株式会社(以下「泉北高速」)と改めました。グループ化以降、速達性向上や運賃値下げをはじめとする鉄道の利便性向上策を通じた泉北ニュータウン等の沿線活性化に加えて、物流施設の高度化や駅ナカビジネス拡充等の収益力向上にも取り組んでまいり、2022年4月1日、こうしたシナジーの更なる発揮を目的に、当社は泉北高速の全ての株式を取得し、完全子会社化いたしました。  
一方、沿線人口の減少やコロナ禍を通じた生活様式の変化等により、鉄道事業の構造的な需要減は歯止めがかからない状況にあり、また、将来にわたって事業を担う人財の確保が困難となることは確実視されています。そうした中で当社が策定した“2050年の企業像”の実現に向けて、鉄道事業と不動産賃貸事業という同種の事業を営む両社の経営を統合し、グループ経営の効率改善を通じてサステナブルな公共交通の経営の実現や更に競争力のある流通センターの確立に向けて経営資源を投入していく事業体制を確立していくことが最善の方策であるとの判断に至りました。鉄道利用がしやすい運賃設定等を通じて、泉北高速沿線の堺・泉北エリアにおける「暮らす・働く・訪れる」価値を高め、南海電鉄グループのまちづくりを深化してまいります。

以上引用終了(赤字は管理人)

 

南海電鉄公式より・PDFファイル注意)

 

日経ニュースサイトの記事はこちら↓

 

 

以下引用開始

南海電気鉄道は30日、完全子会社の泉北高速鉄道(大阪府和泉市)を2025年4月1日付で吸収合併すると発表した。両社の鉄道や不動産の事業で人員配置や投資を効率化する。初乗り運賃の2度払いを解消して運賃引き下げや利便性を高める。沿線の堺市と和泉市にまたがる泉北ニュータウンで人口が減る中、グループの鉄道事業の経営を一体化して沿線ブランドをテコ入れする
泉北高速鉄道の24年3月期の単体の売上高は142億円、営業利益は42億円。吸収合併に伴う貸借対照表の調整で、26年3月期の南海電鉄の連結決算では、抱き合わせ株式消滅差益を特別利益として計上する見込み。一方で、初乗り運賃の2度払いが解消されることで、26年3月期に運賃収入が10億円程度減る可能性がある
泉北高速鉄道は1965年、大阪府などの第三セクター「大阪府都市開発」として設立された。泉北ニュータウンへの交通手段として、中百舌鳥(堺市)―和泉中央(和泉市)を結ぶ泉北高速鉄道線を営業するほか、大阪府内で物流倉庫事業を営む。2014年に大阪府などによる株式譲渡で南海電鉄の傘下に入って現社名となり、22年に南海電鉄が完全子会社化した。

以上引用終了

 

合併の意図は、日経ニュースサイトの記事の方が分かりやすいと思います。

合併の意図は、要するに「泉北ニュータウンの人口(定住人口)減少」という状況下、鉄道事業を一体化して効率化しようという考慮があったということです。それと、いやらしい話をすれば「なかもず(中百舌鳥)で乗客を吸い出されることへの対抗策」という面もあります。以前は泉北高速沿線から南海高野線で難波へ向かっていたお客が、中百舌鳥で大阪メトロ御堂筋線と接続したことで、ここで難波・梅田方面へ向かうお客が乗り換えてしまい、南海側のお客が減るからです。もっとも、御堂筋線が中百舌鳥まで伸びたのが昭和62(1987)年4月ですから、既に40年近く経過していますが、お客を吸い出されることによる減収が無視できないレベルに達したということでしょう。

 

さて、そうなると、泉北高速鉄道の車両も南海電鉄籍となりますが、カラーリングなどに変更があるのでしょうか。

既に泉北3000系は合併を前に一部が南海に移籍し、紺+オレンジの帯に改めて南海籍の「3000系」として活躍していますが。現在でも泉北に残る3000系もそうなるのでしょう。

 

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この色は見られなくなる?

 

↑の3000系もこうなるのでしょう↓

 

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この帯になる(写真は泉北3000系の兄弟車・南海6200系)

 

これも南海籍になるのですが、車号は大丈夫なんでしょうか。

 

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もしかして:改番

 

個々の車号を見る限り南海7100系との重複はないようですが、ちょっと前まで南海に存在した「7000系」を名乗るのはいいんでしょうか。

 

東の新京成と共に、泉北高速鉄道という準大手私鉄が消える。泉北高速鉄道の場合は、ニュータウンの維持の難しさを反映しているように思います。

ちなみに、合併しても初乗り運賃の二度払いを解消していない大手私鉄の路線が実在しまして。京成千原線っていうんですけど。こちらは、もしかして初乗り運賃の二度払い解消による減収を嫌った結果こうなっているんでしょうか。

 

◇関連記事

 

 

【おことわり】

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