かなり前に買って熟成しまくっていたのを最近になってまた読み始めて何と完読.
基本的には「カオス」に関する科学史って感じかな.
一応,事実に基づいて,ポイントとなる出来事について,
その中心人物を中心にどのようなことがあったのかと言う苦労話が中心.
1970年代とかはまだ新しく,分野も確立していなかったことや,
非線形の研究自体が完全にわき道ということで,
その研究をやること自体が将来の職を失うといわれていたことなど,
研究自体だけでなく,社会的にも厳しかったことについて書かれていた.
今ではごく当たり前なのだが,コンピュータによるシミュレーションも
当時の物理学会では「お遊び」として信用されておらず,
そんな中でどうブレークスルーをしていったのかなども.
当然のことながら,物理学ではシミュレーションだけでは認められないので,
先行するシミュレーションに後から実際の実験データが追いつくという感じになっていた.
けれど,いったん認められると,今まで放置されてきた非線形の物理現象を
逆に古い実験データから掘り起こす流れが出てくるといった話も.
カオス理論,フラクタル次元などカオス研究の始まりを知るには良い感じでまとまっているのでは.
カオス―新しい科学をつくる (新潮文庫)