5月上旬特選映画【16】★映画のMIKATA「脳内ポイズンベリー」★映画をMITAKA・・・ | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。



北朝鮮の金正恩第1書記の側近の一人、玄永哲人民武力相が「反逆罪」で衆人監視のもと、高射機関銃で公開処刑されたと、韓国の国家情報院が13日発表しました。玄氏は軍総参謀長などを経て昨年6月、人民武力相に就任した。軍では最高司令官の正恩氏、軍総政治局長の黄炳瑞氏に次ぐ重要なポストに就いていた。


以前には、「国家転覆を画策」として北朝鮮ナンバーⅡと目されていた張成沢の死刑が、巨大機関銃と火炎放射器で執行され、私たちを驚愕させました。側近らの粛清が続き、金正恩の独裁体制がさらに強固になった…のだが。これでは側近全てが「YES」マンばかりで、金正恩の誤りを諫め正す側近がいなくなりますーね。独裁体制の先にあるのは、民衆を更に苦しめる幼稚な独善政治です…!



安倍晋三政権は新しい安全保障法制に関する関連法案を短兵急に閣議決定し、国会に提出した。果たして国民の同意と承認、民意を反映しているのだろうか…。ひょっとしたら安部総理の周辺は「YESMAN」しか居ないのではないのか…な?それでは、北朝鮮の金正恩と同じです。自公連立の多数議席数に驕り、独裁政治に走ってはいないだろうかーな!




さて、5月上旬の特選映画をアップロードします。今回5本を映画館で観賞しました。特選映画に選んだ1本は「脳内ポイズンベリー」でした。勿論、私は青春映画が大好きなので「ビリギャル」にしようか、そ

れとも、アカデミー賞にもノミネートされた戦争映画「あの日の声を探して」にしようかとも思いました。初めはさほど期待していなかった作品でしたが、やはり、真木よう子の圧倒的な演技力に感動しました。


GW中でしたが、上映中の多くは4月に観賞すみだったので、私の関心を引いた作品は割と少なかったです。どちらかというと読みたい本のほうが多く、依然失業中なので、たっぷりある時間を利用して再び散歩と読書と旅行の時間のほうに多くを割きました…。五月半ばには地方旅行「福岡-壱岐」から帰ってばかりです。暇に任せて無駄に惰眠はしていませんでした。寧ろ初夏のような暖かい陽光と爽やかな風に誘われて松陰神社や池上本門寺、庭園散歩の時間が多かったです。


1

1本目は、名古屋の塾講師・坪田信貴(伊藤淳史)の励ましによって成績が学年最下位、偏差値30の金髪ギャルの女子高生・さやか(有村架純)が、志望校「e」判定の慶應義塾大学へ合格する、がむゃしらに突き進む受験映画『ビリギャル』(土井裕泰監督)でした。


主演の有村架純の体当たりの熱演が良かったです。『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』という坪田信貴の原作本があるようです。私も塾講師を長くやっていたので、受験勉強を教える塾の先生が、生徒にこんなにも信頼され、生徒の人格にも大きな影響を与えるとは驚きです。


不良少年が司法試験を合格したとか、金髪のやくざの女婦が弁護士になったとか、中卒の青年が起業して大企業の社長になったーとか、奇跡のようなサクセスストーリ本や出世物語はいろいろあります。世の荒波にもまれた中年としては、大学を卒業してから後で、社会で何をしたか、この少女はどんな生き方をしたのか…のほうが興味があります。それこそがこの映画で見せてほしい内容でしたがーね!


確かに、いい大人が見ても、或は大学受験の経験がない人は、青春時代の感動も人生の疼きもないかも知れませんーね。


2

2本目は、30人の熟練詐欺師集団のボス、すご腕詐欺師ニッキー(ウィル・スミス)と彼から詐欺師の「技」を教えられる美人詐欺師ジェス(マーゴット・ロビー)が、最後の一世一代の詐欺をブエノスアイレスの

モーターレース場で仕掛ける『フォーカス』(グレン・フィカーラジョン・レクア監督)でした。


世界最高のスリ師として有名なスリのエキスパート、アポロ・ロビンスを顧問に迎え演出した様で、詐欺師たちの巧妙な手さばきは見どころです。しかし私には、マジックとダンスとオートバイチェイスと泥棒のテクニックを楽しめるサーカスの映画〚チェイス!〛の方が一枚上手の作品に思えました。ただ辣腕詐欺師ニッキー役のウィル・スミスの華麗なスリ演技と、最後のドンデン返しで正体を現す父親役バッキー・スバージョン(ジェラルド・マクレイニー)がニッキを射殺するシーンは、この映画の醍醐味と驚きでした。


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3本目は、ロシアの侵攻によって両親を殺害され、そのショックで声を失った9歳の少年ハジ(アブドゥル・カリム・マムツィエフ)を主人公と、チェチェン紛争の惨事を世界に伝えようとするEU職員の女性・キャロル(ベレニス・ベジョ)の奔走を描く戦争映画『あの日の声を探して』(ミシェル・アザナヴィシウス監督)でした。


0年余り続いた第二次チェチェン紛争(1999年 - 2009年)は、ロシア連邦軍とチェチェン共和国独立派武装勢力との間の紛争ですが、以前観賞したやはりアフリカ内戦を描いた映画『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~ THE GOOD LIE』と同じく、戦争で一番に命を蹂躪されるのは子供たちと弱き民衆です。
この映画でも、少年ハジを通して弟を探す姉の家族
を描いていました。


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4本目は、幼馴染の恋人メリン(ジュノー・テンプル)を殺害され、周囲から容疑者として疑惑に曝されてしまったイグ(ダニエル・ラドクリフ)を主人公に、接触した近親者の「真実」の幻影を見る超能力を秘めた角を生やしたイグが犯人を捜し出していくゴシック調のサスペンスホラー『ホーンズ 容疑者と告白の角』(アレクサンドル・アジャ 監督)です。スティーヴン・キングの息子で作家のジョー・ヒルの小説を原作にした作品でした。


主人公・イグのダニエル・ラドクリフは、ご存じの世界的ベストセラー小説を映画化した『ハリー・ポッターと賢者の石』と「ハリーポッター」シリーズの主人公役で有名ですが、前作映画「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」(ジェームズ・ワトキンス監督。スーザン・ヒル原作『黒衣の女 ある亡霊の物語』)も日本でも公開されました。が、これもかなりポーのような雰囲気を放つゴシック調の映画でした。ダニエル・ラドクリフはオドロオドロしいゴシックな映画の主人公が似合うのでしょうか…ね?それとも、複雑な血筋のせいなのか、心のバランスを失う偏頭痛のせいかなのか…?


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5本目は、水城せとなのコミックを原作にした恋愛コメディー映画で、主人公の携帯小説家・櫻井いちこ(真木よう子)の脳内意識を脳内議長の吉田(西島秀俊)ほか、脳内をコントロールする会議メンバーが討論を繰り広げるという異色の脳内世界を描く『脳内ポイズンベリー』(佐藤祐市監督)でした。


真木よう子という女優は、どんな役柄でも、どのようなシーンでも演技できる器用な役者だなーと驚いてます。「さよなら渓谷」(2013年公開、大森立嗣監督)

では、愛人の尾崎かなこ役を演じ、「そして父になる」(2013年公開、是枝裕和監督)では取り違えた赤ん坊の母役・斎木ゆかり役 を演じ、「風に立つライオン」(2015年公開、三池崇史監督)では離島の女医師・秋島貴子役を演じた…、そして、「脳内ポイズンベリー」ではアラフォーの独身女性・櫻井いちこ役を演じた。実に演技の幅が広い、と感心しました。


それにしても少女漫画の発想ってすごいですね…。人間の心が選択の時に葛藤するということは確かにあります。ただ個人の中で葛藤するばかりでなくて、深層心理とか、民族とか愛国心とか宗教とか、父親の言葉とか偉人の教訓とかー、自分と他者の間でも葛藤はありますね…。ただ、脳内で意識会議をするなんて面白いストーリです。でも人間の脳内ってもっと統一されていて、一つか二つの選択の時迷い葛藤するものですよーね。映画みたい4-5人の人格的な意識が分かれていては、これはもう精神分裂でしょうね・・・!