◆映画情報
メディア・ 映画/上映時間 125分/製作国・ 日本/公開情報 劇場公開(東宝)/初公開年月・ 2011年6月4日
オフィシャル・サイト
http://www.moshidora-movie.jp/
◆スタッフ
監督: 田中誠/プロデューサー: 大原真人。渡邉義行/エグゼクティブプロデューサー: 濱名一哉。吉田正樹/総合プロデュース: 秋元康/アソシエイトプロ
デューサー: 渡辺敬介。石塚清和/ラインプロデューサー: 鈴木嘉弘/企画プロデューサー: 森川真行/原作: 岩崎夏海/脚本: 岩崎夏海。田中誠/撮影: 中山光一/美術: 小泉博康/編集: 大永昌弘/音楽: 服部隆之/主題歌: AKB48『Everyday、カチューシャ』/VFXスーパーバイザー: 道木伸隆/スクリプター: 吉田久美子/照明: 市川徳充/録音: 小原善哉/助監督: 塩入秀吾/テクニカルプロデューサー: 大屋哲男/
◆キヤスト
前田敦子= 川島みなみ/ 瀬戸康史= 浅野慶一郎/峯岸みなみ= 北条文乃/池松壮亮= 柏木次郎/ 川 口春奈= 宮田夕紀/西田尚美= 宮田靖代/青木さやか=書店客・五十嵐/石塚英彦=書店主・保谷/ 大泉洋= 加地誠/
9日にAKB48の「第3回選抜総選挙」が行われまのした。その投票するファンの熱気が、何やら世間を騒がしています。AKB48のあどけない少女たちは、若者たちの奇声と歓声を浴びるアイドルスターであるばかりでなく、いまや時代風俗の一コマとしてトップニュースとなってます。゛芸能界の美少女たちの派手な登場は、この栄養不足の痩せた肉体が稼ぎ出す、青い色気の肉体のマーケット規模は、どの程度なのかな…?と、どうしても忖度したくなります。
それもそうです。美少女たちに集まる熱気と関心の得票数は、116万6145票ー、投票権が付いているシングルCDの「Everyday、カチューシャ」は、売れに売れて77万9090枚…。 平気で2000万円使ったーという若者がいたりする。段ホール一杯のCDをファンの証のように自慢する若者…。何かが、狂っている平成『狂死曲』ではないのかー。総投票数で1位に輝いたのが前田敦子、2位に大島優子が選ばれました。
この人気アイドル「AKB48」をこうまで若者たちを狂わせ夢中にさせたのは、かつて「おニャン子クラブ」で一世を風靡した、放送作家で、作詞家で、企画屋で、プロデューサーの秋元康。美空ひばりの「川の流れのように」の作詞を手がけ、「おニャン子クラブ」「AKB48」…をスターダムにプロデュースした彼を、私が選挙参謀ならば絶対に彼を選挙ブレーンの一人に参加させます。彼は時代の雰囲気を香りと色と「形」に演出できる稀有な男です。
その彼が「AKB48」の前田敦子を主演にプロデュースしたのが、この映画です。まず初めに、岩崎夏海の原作『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』、略して『もしドラ』のベストセラー化がありました。私も昨年、書店で見つけて興味半分に読んでました。ちょうど『ポスト資本主義社会――21世紀の組織と人間はどう変わるか』(ダイヤモンド社、1993年)や『ネクスト・ソサエティ――歴史が見たことのない未来がはじまる』(ダイヤモンド社、2002年)』読んでいたので、難解ではあるがその卓越した視点に驚嘆していたところでした。「マネージメント」と「マネージャー」の大きな勘違いで本来ならば大笑いで終るエピソードなのだが、ただその経営理論が、野球に応用されるとは、それも一つの「経営マネージメントまがいの小説」に仕立て、100万部200万部のベストセラーとは、これも破格な本になりました。
さらに再びヒット映画をプロデュースしました。原作者の岩崎夏海もまた秋元康の影響下にある一人です。
「もしドラ」のストーリはこうです。川島みなみ(前田敦子)は、夏の甲子園の予選を1回戦でいつも敗退する弱小なチーム、都立程久保高校野球部にマネージャーとして入部する。みなみは病床の夕紀からマネージャーを頼まれた。そして、小学生の頃には、リトルリーグて活躍した彼女は、程久保高校野球部を甲子園に連れて行くー、と宣言する。みなみは、野球マネージャについては何一つ知らなかった。勉強するために書店でドラッカーの『マネジメント』を勧められる。だが、その本は、経営学の本であった。みなみは、企業集団の指南書であるドラッカーの経営学を、スポーツ集団の「野球チーム」に当てはめる…。ところがー。程久保高校野球部は、甲子園の予選を勝ち抜き、トーナメントを勝ち上がり、奇跡的にも決勝まで進出する。しかし、その前夜に元マネージャーであり、みなみの親友である病床の宮田夕紀(川口春奈)が亡くなる。
このヒットの秘密は、①一つには、勿論秋元が、岩崎夏海の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』と、アイドルのAKB48を結びつけてたプロデュースの勝利です。例えば、選挙戦とアイドルはいままでつながらなかったですが、私が岩崎夏海ならば、次作はこれですね…。
②二つは、本来どのように作為的に演出しようとも、経営学の硬派のマネージメント論が、ばかげた事に高校野球の女子マネージャーと、異種なものを一つの物語の括弧に中に入れてしまったストーリ性の奇抜さでしょうか…。、荒唐無稽だけに尚更に新鮮味溢れ、斬新である点です。
③三つ目は、スポーツ映画は、ボクシングやアメフトやなど名画がいろいろありますが、その中でも「野球」という資本主義のアメリカが誕生させた、人間の欲望と希望と奇跡を担ったストーリに満ちているスポーツを骨子に選んだことです。ある意味で、野球神話に依存した神話力の勝利だろうか…。野球は人間を語り、集団組織を語り、人生の奇跡と希望をパラレルに置き易い神話的ストーリ性の勝利だろう…。
そして最期に、決勝戦進出に勝ち進んだ最後の戦いの前夜に亡くなった夕紀の美しい死に顔を見て、臨終に駆けつけた部員たちの涙と共に、映画の観客も一緒に涙した人も多かったと思うが、実は④四つ目のヒットの秘密は、この病弱な女性の{死」であろうか…。ストーリにこの病宋の女性の「死」を挿入することで、物語は俄然古代神話のような人物の深みと永遠性・超時間性を持つのです。
映画の最期を見て、私はかつて野球のヒット映画、佐藤隆太が不良高校野球チームを甲子園までみちびいた『ROOKIES』の川藤幸一のストーリを思い出してしまいました。結局、『もしドラ』は、この映画の二番煎じなのですよー。でもまあー、話の種に一度映画を見て、「なんだー」とか「面白いー」とか、「可愛いー」とか「つまんねー」とか、自分の眼で観賞するのは、再び原子力発電のように政治家や技術者に騙されないようにするためには必要ですね…。、