「八日目の蝉」★映画のMIKATA【23】 」成島出監督★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆映画情報
メディア 映画/上映時間 147分/製作国 日本/公開情報 劇場公開(松竹)/初公開年月 2011/04/29

オフィシャル・サイト
http://www.youkame.com/


監督: 成島出/製作: 鳥羽乾二郎、秋元一孝/プロデューサー: 有重陽一、吉田直子、池田史嗣、武石宏登/製作代表: 野田助嗣/製作総指揮: 佐藤直樹/企画: 石田雄治、関根真吾/原作: 角田光代/脚本: 奥寺佐渡子/撮影: 藤澤順一/美術: 松本知恵/衣装デザイン: 宮本茉莉/編集: 三條知生/音楽: 安川午朗/音楽プロデューサー: 津島玄一/主題歌: 中島美嘉 『Dear』/スクリプター: 森直子/ヘアメイク: 田中マリ子、丸山智美/照明: 金沢正夫/装飾: 中澤正英/録音: 藤本賢一/助監督: 谷口正行、猪腰弘之/


井上真央= 秋山恵理菜=薫/永作博美= 野々宮希和子/小池栄子= 安藤千草/ 森口瑤子= 秋山恵津子/田中哲司= 秋山丈博/市川実和子= 沢田久美(エステル)/ 平田満= 沢田雄三/渡邉このみ= 秋山恵理菜=薫(少女時代)/劇団ひとり= 岸田孝史/余貴美子= エンゼル/田中泯= タキ写真館・滝/風吹ジュン= 沢田昌江/



流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・



4月上旬下旬の映画特選をアップロードします。映画館で観賞した映画は7本でした。今回は邦画だけを集めました。1本目の映画は、「婚前特急」(前田弘二監督)。2本目は「ランウェイ☆ビート」( 大谷健太郎監督)。3本目は、「まほろ駅前多田便利軒」( 大森立嗣監督)。4本目は★★「八日目の蝉」( 成島出監督)。


次回の掲載で洋画を集めました。5本目は「ザ・ライト エクソシストの真実」(ミカエル・ハフストローム監督)。6本目は「エンジェル ウォーズ」(ザック・スナイダー監督)。7本目は「ガリバー旅行記」(ロブ・レターマン監督)。私は今回ベスト特選映画に「八日目の蝉」を挙げます。ベター映画は「ザ・ライト エクソシスト」を推します。


1本目の「婚前特急」は、24歳のOL池下チエ(吉高由里子)と5人の彼氏選びの物語です。彼女には、西尾みのる(加瀬亮)、三宅正良(榎木孝明)、出口道雄(青木崇高)、野村健二(吉村卓也)、そして、料理もしてくれるを冴えないデブの田無タクミ(浜野謙太)の交際相手がいた。チエは、親友の浜口トシコ(杏)が子供を身ごもり、温かいマイホームを築いた結婚を羨み、これら彼氏達から自分のほんとうの結婚相手を探そうと決心する。彼女が最期に選んだ結婚相手は、パン工場の工員・田無タクミだった。損得勘定で「高学歴高収入高身長」を願望する現代女性の結婚観と、理想的な結婚相手を見事に皮肉った映画でした。主人公を演じる吉高由里子はここでは、『蛇にピアス』で刺青、ボディピアス、SMの倒錯した若者像を映画化した作品とはまた違った、滑稽な演技を見せていました。


2本目の「ランウェイ・ビート」は、原田マハのケータイ小説『ランウェイ・ビート』を原作に、天才的なデザイン感覚を持つ転校生・溝呂木美糸(ビート役の瀬戸康史)と、塚本芽衣(メイ役の桜庭ななみ)と、パソコンオタクの犬田悟(ワンダ役の田中圭)と、人気モデル立花美姫(ミキティ役の桐谷美玲)たち等、高校生の仲間が今年度限りで廃校の命運になる学校で、最後のファッションショーを開催する青春映画です。青春の自由の表現が、学園紛争という時代もありました。全国一の優勝杯を巡って
スポーツの汗と白球がマウンドで熱闘される甲子園の青春もあります。だが、ファションが青春の「証」とはいかにも新しい青春像でした。


3本目の「まほろ駅前多田便利軒」は、直木賞受賞作家の三浦しをんの原作小説を『ゲルマニウムの夜』の大森立嗣監督が映画化したものです。瑛太と松田龍平が主人公の便利屋を演じます。コロンビア人の娼婦ルル(片岡礼子)や、ヤクザの麻薬の運び屋をする小学生の由良(横山幸汰)など、二人は便利屋稼業を通して奇妙な客たちのトラブルにかかわってしまう。「便利屋」は、地味でパッとしない路地裏の新しい職業ですが、近頃、街中でも「便利屋」の看板をよく見掛ます。そこに困った人がいて、内々にトラブルを解決したい人がいて、お金で人に手助けを求める人がいる限り、便利屋は「無縁社会」といわれる現代社会では、役に立つ仕事であり続けます。客たちとの奇妙な出会いと便利屋が関る難題なエピソードが、この映画の演出の妙味な筈ですが、何かピントがあってませんでした。原作が駄作なのか、或いは監督の演出の失敗です…!


4本目の★★「八日目の蝉」は、直木賞作家の角田光代の原作小説を、「孤高のメス」の成島出監督が映画化したものです。


物語の縦糸は、野々宮希和子(永作博美)の逃避行です。会社の上司である秋山丈博(田中哲司)を愛した希和子は、不倫関係の末に彼の子供を身ごもる。妻と別れる切れると優柔不断な態度を続ける丈博に、結婚も出産も叶えられずにいた。、丈博からそんな時、恵津子の妊娠を知らされる。


彼女は、夫婦の留守宅に忍び込み、丈博と恵津子(森口瑤子)との間に生まれた生後6カ月の嬰児恵理菜を略取誘拐して、子供を薫と名づけて、各地を転々と4年間逃亡を続ける。時には「エンゼルハート」というカルト集団で集団生活を送り、教団のある女性の故郷の小豆島へ逃げて、ひと時の安寧を得る。


しかし、新聞に掲載された希和子と薫の写真がもとで、捜査の手が迫り、フェリー乗り場で逮捕される…。裁判官に希和子はこう述べる、「四年間、子育ての喜びを味わわせてもらったことを感謝します」と…。


ストーリの横糸は、希和子と共に「薫」と名付けられて逃亡していた秋山恵理菜(井上真央)です。21歳の大学生となった彼女は、誘拐事件によって不和となった家を出て一人暮らしをしていた。だがある日、家庭を持つ岸田孝史(劇団ひとり)との不倫の恋の末に、自分が妊娠していることに気づく。


恵理菜のバイト先にルポライターの安藤千草(小池栄子)が訪ねて来る。千草は苦い恵理菜の過去の誘拐事件を本にしたいという。実は、彼女は「エンゼルハート」にいたときの幼友達だった。恵理菜は、千草と共に自分を誘拐し、愛し育ててくれた希和子との忌まわしい過去を確認する旅に出る…。


小豆島で恵理菜は、拒絶しようとしていた記憶の底に、幼心が味わった家庭の温かみを思いおこす…。


人類学では「男と女と子供」の構造は、永遠の三角形と呼ばれてますが、この映画を見ながら、私は「子宮と臍の緒」で結ばれた「母ー子の絆」は、母系性社会の永遠の時間軸を表現した映画ではないのかなー、ジェンダー論の中では猛反対をされそうだが、母性愛は女の「自然」、女の属性なのかなーと、思いました。

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・
////////////////////////////////////////////////////////////////////
★「アーバン短歌≪都市生活者の癒しの短歌≫時々短歌論、時々都市論」

★「メメント・モリ≪死を忘れるな/死の記号学序章≫。