「12月下旬の特選映画ー最後の忠臣蔵」★映画のMIKATA【⑤】 ★映画をMITAKA… | 流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

流石埜魚水の【特選映画】、★映画のMIKATA★映画をMITAKA・・・

都市生活者の心と言葉を掌にのせた小説、電脳化社会の記号とイルージョンを巡る映画、都市の孕むシンボルと深層を探るエッセイ、街の風景と季節の色を彩る短歌…。小説と映像とエッセイと短歌をブログに・・・掲載します。

◆スタッフ

監督: 杉田成道/製作: 小岩井宏悦、服部洋、 椎名保、 酒井彰、名越康晃、 井上伸一郎、喜多埜裕明、川崎代治、大橋善光/プロデューサー: 野村敏哉、岡田渉、 宮川朋之/製作総指揮: ウィリアム・アイアトン/企画: 鍋島壽夫/原作: 池宮彰一郎『最後の忠臣蔵』(角川文庫刊)/脚本: 田中陽造/監督補: 小笠原佳文/美術: 原田哲男/美術監督: 西岡善信/撮影監督: 長沼六男/衣装デザイナー: 黒澤和子/編集: 長田千鶴子/音楽: 加古隆/音響効果: 柴崎憲治/スーパーバイザー: 角川歴彦、成田豊/スクリプター: 中田秀子/殺陣: 宇仁貫三/照明: 宮西孝明/整音: 瀬川徹夫/装飾: 中込秀志/録音: 中路豊隆/

◆キャスト

役所広司 瀬尾孫左衛門/ 佐藤浩市 寺坂吉右衛門/ 桜庭ななみ 可音/ 山本耕史 茶屋修一郎/風吹ジュン きわ/田中邦衛 奥野将監/伊武雅刀 進藤長保/ 笈田ヨシ 茶屋四郎次郎/安田成美 ゆう/片岡仁左衛門 大石内蔵助/(特別出演) 柴俊夫。 佐川満男。こぐれ修。 福本清三。田畑猛雄。 芝本正。結城市朗。井上肇。 芹沢礼多。望月章男。 高橋信吾。片岡功。白井滋郎。


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12月下旬の映画特選をアップロードします。映画館で観賞した映画は5本でした。総評としては、さすがに年末だけあって一年の総決算のような秀作、構想をあたためて満を持して公開された粒ぞろいの名作が多かったと、ここでも言えます。


1本目の映画は「最後の忠臣蔵」(池宮彰一郎原作、杉田成道監督)。2本目は「バーレスク」(スティーヴン・アンティン監督)。3本目は、「相棒 劇場版2」」(和泉聖治監督)。4本目は「トロン レガシー」(ジョセフ・コシンスキー監督)です。特選映画は、ずばり最後の忠臣蔵」に決めました。ベター映画はミュージカル風の「バーレスク」。ただし、「相棒 劇場版2」も一押しの名作でした。


さて、1本目の「最後の忠臣蔵」は、暮れとお正月が近づくと毎年のようにくり返し上映され、日本人の文化の血にズキズキと訴える「赤穂浪士」「忠臣蔵」の時代劇です。しかも著者は、あの「13人の刺客」(三池 崇史監督)で壮絶な侍たちのテロ、暗殺時代劇を書いた池宮彰一郎です。そんじょそこらのありきたりのストーリではない。映画監督は、倉本聡脚本のドラマ「北の国から」を撮った杉田成道が時代劇を製作した。脚本家は、『花と蛇』(1974年)、『仕掛人梅安』(1981年)、『上海バスキング』(1984年)、『キャバレー』(1986年)、『透光の樹』(2004年)を書いた田中陽造です。特に私は名曲「レフト・アローン」の流れる角川映画の「ジャズ」が大好きです。


しかもなんとなんとー、討入り前夜に戦列から忽然と姿を消した瀬尾孫左衛門が育てる大石内蔵助の隠し子・可音(かね)を演じているのが、清涼飲料のコマーシャルでご存知のアイドル「なっちゃん」桜庭ななみです。その楚々とした佇まいと笑顔がなんともいえなく美しく可愛いー。文金高島田の花嫁姿で振り向いた可音の唇を染める赤い紅は、わが児の成熟と、女としての晴れの門出を一瞬にして感じさせる、父親泣かせのシーンでした。


「武士の鑑」である赤穂浪士にとっては、敵前逃亡の裏切り者の瀬尾孫左衛門と寺坂吉右衛門に、役所広司と佐藤浩市が演じる新しいし時代劇の解釈と演出にぴったりの名優が二人顔を揃えています。


ストーリは、大石内蔵助に託された「命」を果たすため、忠臣蔵の四十七士として死ねなかった二人の武士と、大石内蔵助の隠し子・可音を中心に描かれているのですが、物語の展開の間に、近松門左衛門の「曽根崎心中」の人形浄瑠璃が挿入されています。忠義に生きる武士、恋のために心中する遊女と手代の恋人たち、徳川幕府の御用商人、京都の豪商・茶屋四郎次郎の家に武家の娘として嫁ぐ少女・可音ー。古き良き日本人の「精神」を体現した登場人物を、それぞれの俳優たちが演じていました。


孫左衛門たった一人が夕暮れの寂しい田舎道の輿入れにお供をする。最初に吉右衛門が松明を持って随伴する。しかし、元赤穂の家臣たちが続々と四方八方から現れてお供を申し入れる。いつしか行列は一人増え二人増え、松明を掲げる男たちが見守る大行列となるー。だが使命を果たした孫左衛門は、最後に16年間の間、果たされなかった忠義に殉じて大石内蔵助の後を追う…。


2本目の★★「バーレスク」は、歌手になる夢を抱いてロサンゼルスに来たアリ(クリスティーナ・アギレラ)は、バーレスク・クラブで女給として働き始める。1フレーズ歌っただけで観客を魅了する。バーレスクの経営者テス(シェール)も、彼女の歌唱力に圧倒されて歌手に採用するグラミー賞4部門を受賞したクリスティーナ・アギレラの映画初出演のミュージカル・ドラマ。しかも共演は、同じくグラミー賞受賞歌手であり、「月の輝く夜に」でアカデミー主演女優賞を受賞したシェールも登場する。面白くないわけがない。


3本目の、★★★「相棒 劇場版II- 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」は、テレビでも「相棒シリーズ」は頻繁に放映しているし、時々TVスペシャル版も2時間枠で見れます。ストーリもいささかマンネリで、杉下右京役の水谷豊、神戸尊役の及川光博、小野田公顕役の岸部一徳、米沢守役の六角精児と、レギュラー俳優も顔ぶれも同じなのでウンザリします。それでも、ついつい映画館で見てしまうのが、「相棒」の飽きさせない面白さであるのかもしれません。


今回のストーリは、警視庁本部内で人質籠城事件が発生する。人質は各部の幹部12名あまり。籠城犯は元警視庁刑事・八重樫です。籠城犯はしかし、会議室の闇の乱闘で射殺される。篭城の目的はなんだったのかー。誰に銃殺されたのか、12名の幹部が事情聴取される。が証言はハッキリしないー。事件の報告を受けた警察庁幹部の小野田官房室長は、金子警察庁長官と一蓮托生の立場で、共に警視庁と警察庁の司法組織の対立構造をチラつかせ見せる。見え隠れ不穏な動きと彼等の組織を牛耳ろうとする陰謀。ありそうな醜い組織の対抗意識、ありえない元警官の篭城騒ぎ、いてもおかしくないはみ出し刑事の杉下右京と神戸尊ー。毎回、左京の推理が冴える閃く…謎の糸が複雑にからみ合うー。ここが、「相棒」の飽きさせない面白さですね!


4本目の「トロン レガシー」は、巨大企業エンコム社のCEO、ケヴィン・フリンが7歳の息子サムを残して失踪するところから、映画が始る。ところが私は余り面白くなくてウトウト眠ってしまいました。イヤイヤ寝不足ではありませんよ。これは私のせいではなく、3D映像の迫力で、漫画のようなスカスカの登場人物、ストーリ性のないドタバタ映画を誤魔化そうとするディズニーの責任です。夢を売り物にするディズニーよ、情報化社会の将来を案ずるならば、直球を観客に投げろー!どなたか、この映画の面白さを教えてください。


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