Believe スピンオフ 1 | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

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Believe スピンオフ

〜かざにの〜1






気丈に振る舞う背中を、ワタシは黙って見ていた。



狭いエレベーターに流れるように押し込まれて

最初に止まったフロアで半分が降りて

次のフロアで他のみんな降りて



ワタシ達の楽屋のあるフロアに向かうハコの中はワタシと相葉さんの二人。




ワタシと二人になるとこの人は本来の寡黙な、所謂『暗い』姿に戻る。




「・・・大丈夫なの?」




哀愁漂う背中に思わず声をかけても

自分の事はあまり話そうとしないのは相変わらずで




「え、なにが?」




本当は分かってるくせに読み取れてないフリするのは

これ以上聞かれたくない時のアンタの常套(じょうとう)手段。




鈍い音を立ててエレベーターのドアが開いて




「お先にどうぞ。」




翔ちゃんと一緒にいる時は自分がしてもらってることを

ワタシといる時はスマートにやってのけるアンタは



さすが、付き合ってると似てくるというか



すっかり翔ちゃん色に染められてるというか。




先にワタシを降ろしたくせに楽屋に行くまでにアンタはワタシを追い抜いて

先にドアを開けてワタシが入るのをいつものように待ってる。



ワタシはあえてお礼も言わずに部屋に入るのに

アンタはいつもそんなの気にもしてなくて。




「じゃ、にの、お先にぃ」

「あ、」




思わず声が出たけど




「ん?なに?」

「いや・・・、

そんな辛気(シンキ)臭い顔してると運気が逃げますよ?」




ワタシは傷ついた羽根を癒す言葉じゃなくて




「くふふふっ!言うな言うな!またね、おつかれ!」




『叱咤激励』、『憎まれ口』。


『天邪鬼なニノ』が、ワタシ『らしい』でしょ




「ワタシにまで気を遣ってんじゃないよっての・・・」




ガランとした楽屋に寝転んで新着のないラインを開く。




「よし・・・、」




ラインを閉じた指でゲーム画面を起動させて

ワンステージ進んでから帰ろうと、スタートボタンをタップした。