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Discostar★Love 4
#124/Side-S
「雅紀、どれ食いたい?」
メニュー表から目を離して雅紀を見ると
「ぁ、おれ、何でもいい。二人で決めちゃっていいよ、ちょ、おれトイレ。」
急いだように目を合わせるか合わせないか分からないくらいに俯いて
パラリと垂れた髪の間から一瞬 覗いたその横顔が
いつもと違う雅紀の顔の気がして胸に引っかかった。
雅紀が席を立った後、マロがお店の人を呼んで頼みたいものを順に頼んでいく。
俺は、雅紀が気になって上の空になってるのを自覚しながら
視界の端でマロが『ドリンクはぁ、』って言いながらチラリと俺を見たのが分かって目を合わせた。
ニヤって、もの言いたげに笑ったマロの甘えた表情(カオ)に一瞬気持ちが和らいで
『いいよいいよ、飲んでいいよ、』
ってウインクした。
店員が出て行って、続いて雅紀の元へ行こうと思って
声をかけるためマロを見たらマロが『ねぇ、』ってこっちに身を乗り出した。
「あのさ、間違ってたらゴメン、流してくれていいんだけどさ、」
勢いのある目の輝きに一瞬囚われる。
「サクライさん、相葉くんのこと好きだよね?」
「・・・っえ、」
・・・固まった。
「やっぱビンゴ?」
「あ、いや・・・、」
「あ、いいよいいよ、大丈夫っす、隠さなくても。僕、全然偏見とかないし。」
両掌を勢いよくブンブンと振った後、マロが水を一口飲んで続ける。
「むしろそうなら納得するよ、相葉くんフィズで全然モテてんのに前みたいにオンナノコと遊ぼうとしてないみたいだしサクライさんに会いに行く時だって・・・、」
勢いよく話してたマロが『あ、』って言葉を止める。
「・・・、」
「・・・。」
止めたのは、
きっと、
俺の視線の所為(せい)。
俺の知らないところでの相葉くんの話を聞いたからじゃない。
問題は、『サクライさん、相葉くんのこと好きだよね?』って言った
その主語が自分だったからだった。
「俺・・・、『が』、雅紀を・・・?」
出してるつもりはなかったのに態度に出てたのか?
「・・・あ、ゴメン。・・・ごめんなさい、僕・・・、」
「ハイ、失礼しまーす!ビールと、アイスほうじ茶2つですねー、はい、こちら貝のお刺身盛り合わせと唐揚げです、後のものまたお持ちしまーす。」
店員によって話が中断させられた。