最初から→#1S
前回→#120A
Discostar★Love 4
#121/Side-A
「はぁ・・・、」
大きく息をついた時だった。
「待てって!」
「いい!もう帰る!」
「何でだよ!」
「だってあの子とばっかり喋るんだもん!私なんてどうでもいいんでしょ!」
大きい声で言い合いながら、男女が店から飛び出してきた。
見ちゃいけないかなって思って脇に寄ろうとして
「信頼してるからだよ!」
カレシの言葉に、
カノジョと一緒におれも一瞬固まる。
「オマエの事を信頼してるから。」
カレシが穏やかに言って、カノジョを引き寄せる。
「オマエはあの子の友達なんだろ?オマエの友達を退屈させないようにさ。オレ頑張ったんだって。分かれよ、」
ドクン、
おれの心臓が反応する。
翔ちゃんも・・・
翔ちゃんも、そうなのかな・・・
逸らしてた視線を二人に戻してみると、
抱きしめ合ってた腕を解いて店内に戻るところだった。
二人の背中を見送った視線の先、
二人と入れ替わりに外に出てきた、見慣れた姿(シルエット)。
「しょぉちゃ・・・、」
「どした?大丈夫か?」
近付いてきた翔ちゃんに、
抱きつかずにはいられなかった。
「ぅお? どした・・・?
ちょ、こっちおいで。」
肩を抱かれてお店の脇の、給湯器の陰に連れてかれて
「雅紀?」
ギュ、って、抱きしめられた。
頭の中に、さっきのカップルが浮かぶ。
「・・・俺が好きなのは、雅紀だけだよ?」
何も、言ってないのに。
「なん、で、」
何で分かっちゃうの?
「何で分かるのって?」
触れ合ってたカラダが離れて
見つめられる。
「ぁ、」
つい反射的に目を逸らしたら
「雅紀、俺を見て?」
おれの右肩に翔ちゃんの左手を残したまま、
右手でおれの頬を撫でて
親指が涙袋を辿った。
「俺分かっちゃうんだよね、最近。
雅紀が何を考えてるかとか。」
「え・・・、」
翔ちゃんを見つめると、すっげー優しく笑って
「マロに、ヤキモチ焼いた?」
右の眉をピクリと上げてちょっといたずらな顔になる。
「焼っ・・・!」
図星で、
恥ずくて、
カァッて耳まで熱くなって、
言葉が出なくて俯いた。