瞳(め)を閉じれば 瞼に浮かぶ
いつか
翔ちゃんが送ってくれた雲の上の月
翔ちゃん
今夜はスーパームーンなんだってね
今夜のZEROでもやるって、番組表に書いてあったけど。
窓の外の曇り空を見やって
『翔ちゃんそろそろ本番頑張って!』
って、心の中でエールを送る。
僕は、
お先に一杯飲ませてもらうね。
くふふって小さく笑って
プルタブを引く。
今夜お月さまは見えないけれど。
画面に映った、
真面目な顔したオンモードの翔ちゃんにそっとつぶやく。
「お疲れさま。早く帰ってね、」
翔ちゃんに缶を掲げて
いつもより広い気がするリビングの
ソファーの端に埋まるように膝を抱えて座って
「また
飛行機から見たお月さまの話
聞かせてほしいよ。」
コトンって手を伸ばして
缶をローテーブルに置いた。
「次に見えるのは18年後かぁ。」
───その時、
僕たちは
まだ一緒にいるのかな・・・?
次のスーパームーンは
見られるといいな、
───2人で。
ふぅって息を吐いて。
ソファーの反対側にふんわり畳んで置いてあった、
翔ちゃんにもらった僕の毛布(タカラモノ)を引っ張って
頭からかぶって
コロンって寝転んだ。
閉じた瞼に浮かぶのは
翔ちゃんが贈ってくれた、
雲の、上の、月───。
→櫻の呟きに続く♡