「オツカレ、」
「ただいまっ!くふふっ!」
サングラス越し
眩しいくらいの笑顔に、ニヤけそうになるのをどうにか抑えていたのに
光の粒をまき散らしながら窓へと駆け寄って来た俺の天使は
不意に俺の唇に触れ助手席へと回った。
・・・良かった、サングラスしてて。
窓枠に肘を乗せたまま
掌で口元を覆って隠して
右隣へ乗り込んでくるマサキを気配で受け入れた。
*
*
*
絶好調超にカラオケ状態の俺たちを乗せて
クルマは順調に高速を滑り
東へと向かう。
あの時のあの場所と同じではなかったけれど、
夕べ二人でググって決めた海岸へと辿り着いた。
夏の盛りを過ぎた夕方に近い午後の海には
平日だからか人影はなく
「早く早く!しょぉちゃん早く!」
パーキングに停めた途端に雅紀の瞳(め)は輝きを増し、
周りに人目がないのをいいことに
パッパと服を脱いで水着姿になると
ビーチに向かって駆け出した。
「フゥーーー!!」
もうカラダを濡らしている雅紀を追いかけて走り、ダイブする。
「冷てェ!」
「くふふふっ!」
キラキラ、
キラキラ。
夏の終わりを名残り惜しむように降り注ぐ
緋(あか)みを増しつつある太陽光。
その下で雅紀と二人、
実質、貸切みたいになってる浜で
俺たちは
時間を忘れて遊んだ。
→*4Aへ