「はぁぁ〜〜!疲れた!」
「アァー、もう動けねェ!」
おれたちは子供に戻ったみたいに
砂まみれのまま波打ち際に寝転んだ。
「んん〜っ、」
伸びをしてそのまま空を見上げる。
青かった空が薄紫からピンク、オレンジとグラデーションに染まる。
目を閉じると、波の音が心地よく耳に流れ込んで
背中からジワリと太陽の名残りが熱を伝えてくる。
ふと、陰になったのを感じて瞳(め)を開けたら
翔ちゃんの顔が至近距離まで降りてきてた。
チュ、
「スキあり、」
オレンジ色の逆光の中、
フフンって笑うドヤ顔の翔ちゃんがめちゃめちゃカッコよく見えて
言葉をなくしたまま
肘をついて上体を起こす。
視界に入った水平線に、
緋(あか)く輝く太陽が沈もうとしていた。
おれは、座った翔ちゃんの横に起き上がって並んで座ると
じっと太陽を見つめた。
なんだか・・・、
シアワセで
急に泣きたくなって。
翔ちゃんに気付かれないように
一生懸命瞬きを繰り返して涙を引っ込めようとしたんだけど
砂についてた手の左の指先に
同じように手をついてた翔ちゃんの右の指先が触れて
そのまま手を繋がれて
翔ちゃんの温もりが伝わってきて
ぽろん、
って、
溢れて砂にこぼれ落ちた。
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