And if...2-86
「あ、あのさ、何かお揃いで・・・買わね?」
翔ちゃんが鼻先を指で触りながら照れ臭そうに言うから、
くすぐったくなって肩で軽く向こうへ押しながら『イイネ』って答えた。
二人でアレじゃないコレじゃないと選びながら、
結局、さり気なく使えるやつがいいよね、って、
表が緑、裏が赤で
全体に白い雪の結晶とドット、
一箇所のコーナーにワンポイントでサーフィンをしてるサンタが刺繍されているハンドタオルを1枚ずつお買い上げした。
「宜しければ、お好きなイニシャルかお名前、日付もサービスで刺繍できますけど如何なさいますか?」
レジの人に言われて見合わせたおれたちは、恥ずかしいけど旅の恥はかき捨て・・・って、
それぞれに『M』と『S』をお願いした。
「じゃあ、こっち俺ね?」
お店から道を渡って湖畔に出たおれたちは、
木陰のベンチに座りながら買ったばかりの包装を解いて広げてみた。
翔ちゃんが手にしたのは『M』の方。
「え、しょぉちゃんSじゃなくていいの?」
「雅紀のMを持ってるって思うからいいんだろ?」
「くふふふっ!しょぉちゃん、意外と乙女なんだねっ!」
「バッ、バァーカ、違ェよ、そんなんじゃねェし!」
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