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最初から #1
前回のお話 #40
#41 Side-A
・・・チュ、
軽く触れた唇が、
一瞬にして個室内の空気を甘いものに変える。
「もう・・・、着くから、」
もっと・・・
と追いかけようとしたおれの頭に手が置かれて、
くしゃくしゃ、って撫でられる。
程なく『ポゥン』と音がしてドアが静かに開いた。
カチャリ、
翔ちゃんちの玄関のドアが閉まって、
・・・てっきりキスができると思っていたのに・・・
「風呂入るだろ?
冷えたもんな、いくら夏でも熱いの浴びてから寝ないと。
大丈夫?
寝起きで寒くないか?
あ、上がって?
テキトーにしてて?」
そう言って
翔ちゃんはいそいそと廊下の向こうへあっという間に消えてしまった。
・・・やっぱ・・・
じゃま、だったかな・・・
胸がキュ、って痛くなる。
翔ちゃんのTシャツを着て、
翔ちゃんのハーパン履いて・・・。
下駄のまんまの自分の脚が、
考えナシのダメな自分を象徴しているようでイヤになる・・・
俯いて・・・、
ひとり浮かれてたことを反省してたら翔ちゃんが来た。
「雅紀?
どした?
上がンないの?
足濡れてた?
どっか痛い?」
キスだけしてやっぱ帰ろうって思って・・・
覗き込む翔ちゃんの首に腕を回して
唇を重ねた。