始まりのお話→ChainedMoons/PARADOX
#11
・・・こんなんじゃ もぉ翔ちゃんのコト、「エロい」なんてゆってられないじゃん!
・・・って思ったけどさ。
実際、そうゆうコト・・・なんだよね・・・
「・・・いぃや・・・
それでも、いぃ・・・」
『続きは、あとでな?』
そう言った翔ちゃんの声を、
目を、
唇を・・・
目を閉じて思い出すと
ドキドキと鼓動が早くなる。
そぉだよ・・・、
おれは翔ちゃんが欲しい。
逢えなかった分・・・、
はぁとのウツワの中に貯金しといた翔ちゃんの愛が、もう渇いちゃう寸前!
おれのはぁとの貯金も、
翔ちゃんのはぁとの貯金も、
またウツワいっぱいに溢れるまで抱きしめ合いたいんだ。
久しぶりに一緒に過ごす翔ちゃんをね、
小さなことでもいいから喜ばせてあげたいんだ。
喜んでもらうには・・・
何を着たらいい?
クローゼットを開け広げたまま端から端まで眺めて・・・
ふと、奥にたたんで棚に乗せてあったV字のニットを手に取る。
これって・・・たしか・・・
少し前、出先のショップで桜貝のような光沢のある珍しい色に惹かれて
このニットを手にした時のことを思い出す。
「あ、それ、今日入ったばかりなんですよ。
このシリーズは色に名前が付いてまして、そちらのお色は『桜』、となりの薄い紫は『藤』で、こちらのグレーが・・・」
あとの言葉はもう、
耳に入って来なかった。
色々説明してくれてる言葉にも上の空で、
『桜』ってゆうネーミングだけで即買いしちゃったんだっけ。
翔ちゃんを思い浮かばせる『桜』って響きがさ・・・ふふ。
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