Trick or ... #9 Side-S | 山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

山風に吹かれた櫻葉へのつぶやき。

ある時は嵐情報。またある時は櫻葉妄想小説。自由に生きております。
腐寄りにつきノーマルアラシックさまは速やかにご退出くださいませ。

これまでのお話





『起きて』、と羽のようにやわらかな声に言われて浅く覚醒する。


俺の大好きな・・・、雅紀の声・・・?


目を閉じたまま、声のした方向に腕を伸ばすとサラリとした髪の感触。


腕に力を入れて引き寄せると、鼻腔を甘く刺激する雅紀の匂い・・・



トクン・・トクン・・



その匂いと、腕の中のリアルな感触に少しずつ頭がクリアになる・・・


雅紀が・・・


腕の中に、雅紀が・・・


・・・雅紀が?!





ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、




あーヤベェ。


完全に覚醒。


俺コレこっからどうすりゃいいんだよ・・・





「・・・しょぉ・・・ちゃ・・・?」



あー、ダメだ。



「・・・雅・・・紀」



腕から力を抜き、細く目を開ける・・・。

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至近距離から上目遣いに黒目がちな瞳に見つめられ、背部にゾクリと本能が泡立つ。

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寝惚けたフリをして・・・髪を撫で、頭に唇を寄せてそっと触れる・・・右手でサラリとした前髪をかき上げて可愛いおでこを出し、もう一度唇を押し付ける。



「ぇっ・・・!」



小さく驚いてみせる雅紀に、再び本能が追い立てたくて鈍く反応する。


ダメだ、待て俺。


勢いで行っちゃダメだ。


まずは雅紀の反応を・・・キモチを見極めなきゃダメだ。




【10】