『起きて』、と羽のようにやわらかな声に言われて浅く覚醒する。
俺の大好きな・・・、雅紀の声・・・?
目を閉じたまま、声のした方向に腕を伸ばすとサラリとした髪の感触。
腕に力を入れて引き寄せると、鼻腔を甘く刺激する雅紀の匂い・・・
トクン・・トクン・・
その匂いと、腕の中のリアルな感触に少しずつ頭がクリアになる・・・
雅紀が・・・
腕の中に、雅紀が・・・
・・・雅紀が?!
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、
あーヤベェ。
完全に覚醒。
俺コレこっからどうすりゃいいんだよ・・・
「・・・しょぉ・・・ちゃ・・・?」
あー、ダメだ。
「・・・雅・・・紀」
腕から力を抜き、細く目を開ける・・・。
至近距離から上目遣いに黒目がちな瞳に見つめられ、背部にゾクリと本能が泡立つ。
寝惚けたフリをして・・・髪を撫で、頭に唇を寄せてそっと触れる・・・右手でサラリとした前髪をかき上げて可愛いおでこを出し、もう一度唇を押し付ける。
「ぇっ・・・!」
小さく驚いてみせる雅紀に、再び本能が追い立てたくて鈍く反応する。
ダメだ、待て俺。
勢いで行っちゃダメだ。
まずは雅紀の反応を・・・キモチを見極めなきゃダメだ。
→【10】