マクドナルドの店員が、高齢者と口げんかになったことが、
SNSで炎上しました。
恐縮ですが、世界価格の標準としてビッグマックがよく使われますので、
公開されている価格から引用させていただきますと、
2017年時点でビックマックの価格は、370円で2024年の現在価格が480円なので、
29.7%の値上げになっています。
価格上昇率 29.7% − 賃金上昇率 50.7% = インフレギャップ ー 21.0%
なんです。
その上に、円安による輸入物価上昇もあります。
2017年の平均為替相場が112円で、2024年が155円位まで下落しています。
155円 ー 112円 = 43円(38.4%)となっています。
私はマクドナルドの平均原価率等は知りえる立場ではありませんので、
業界平均原価の30%で換算すると。
価格上昇率 29.7% ー 30%(50.7% + 38.4%)= 利益率 3%
となります。
計算してみてビックリしたのは、マクドナルドの価格戦略は、
市場価値にピッタリの値上げをしていることです。
逆に考えると為替が112円前後の円高水準であったら、
14.5%程度の利益率となります。
企業としては、利益水準を落とす訳にはいかないので行かないので、
14.5% ー 3% = 11.5%分の値上げか、従業員のパフォーマンスを
上げるしかありません。
そうすると、企業はオペレーション技術の高い店員の労働時間がどうしても
長くなります。
しかし、フルタイムで働いても正社員との給料格差は開くばかりになります。
経営理論では、賃金の上昇はモチベーション要因にはなりません。
モチベーションを上げるには、専門性を高めるか権限の拡大を図るしか
ありません。
でも、飲食店関係のアルバイト・パート社員で長期的に残っている人は、
専門性も高く、シフトマネージャーなどの権限がある方が多いように思われます。
このような状況ではモラルハザードが起きやすくなります。
その上、人手不足なので転職などで優秀な人材を引き留めることが
困難になります。
そうすると、アルバイトの不平不満というよりも、「働いてやっている」という
感情になり顧客とのトラブルが増えるというリスクが出てしまいます。
企業の組織力を高めるのは、モチベーションよりも衛生要因(やる気を起こすものではないが、
ないと不満のタネになる)の維持が重要でありその要因のもっとも代表的なのが賃金なんです。
政治の話にかわりますが、自民党の支持者の中には中小企業の経営者が多く、
この賃金上昇や円安、消費税増税などで資金不足になっている状況にあります。
中小企業の味方と言いながら、大企業からパーティー券を購入して裏金をつくっていること
について、輸出のできる大企業中心の政策を採っていたことへの不信感があるのでは
ないのでしょうか?
立憲民主党は連合という大企業の労働貴族(組合員)味方と揶揄されてきましたが、
自民党の方が大企業よりだったということが、バレてしまいました。
ビッグマックをあと50円ほど値上げする(530円くらい?)ことが、
従業員のモラルハザードを防ぐことになると考えています。
(薄利多売から付加価値経営への転換)