個人的に広報用に冊子を作っているので、製本を手伝ってくれないかと知り合いの翁70の作家に言われ、話だけを聞くことになって都心にその作家に待ち合わせの場所に会いに行った。
連れの秘書らしき女性も待ち合わせ場所には二人でいた。
そのまま喫茶店に入るのかな? と思ったら肝心な大事な話をしないでそのまま居酒屋に入り、そこは翁70の馴染みのお店らしくお通しとお酒が出てきて飲み始めた。二人はすでに箸をつけ、そして一周した頃に本題の編集を手伝ってほしい話が始まった。
サンプルを見せられて、アマゾンのオンデマンド印刷を使えば書籍を作るにあたって経費がかからなく"安くできるから、安くできるからさ"と何度も言われ、編集作業に一体いくら出すつもりなのかお金の話が出ないので一向に大事な話が進まない。
書籍を一冊作るのだから、詰めて喫茶店で打ち合わせで、その仕事の方向性や段取りの話が終わったら居酒屋でもいいのだが、仕事のけじめができていないのにすでにアルコールの勢いで仕事を進めようとする翁70を相手に"こいつ本を真剣に売るつもりはないな"と疑念しか浮かばず、30分話を我慢して聞く。
"あっ、この翁70の本は絶対に売れない。時間の無駄だ"と確信してしまった。
確かにオンデマンド印刷で作れば安くできるのは確かだが、それが書籍が売れる要素にはならないことをこの翁70は全く理解していない様子だった。もちろん側にいる秘書も全く理解ししていない。
適度にお茶にごして席を後にした。そして、二度とお付き合いすることはなかった。
私が話を聞いていて"これでは売れない"と確信したのはあらゆる商品で売るための基本がこの翁70には欠落していたからだ。
何が欠落していたのか。
つまり、その本をいったいどこの誰に売るのか?
という書籍を読みたいという飢えた消費者、ターゲットの話が抜け落ちていた。
この翁70が作る本はどのターゲットに向けて買ってもらうのか。このターゲットに合わせた書籍だからこの内容となる。
その為に買ってもらうために安く仕上げる。
という売るための導線の話は一切話に出てこなかったのだ。
翁70に隠れたファンが500人くらいいて、しかもメールアドレス、あるいは住所を抑えてあり、案内を出せば購入につながるという数字を持っているならばともかく、闇夜に目星もなく猟銃をぶっ放すようだ。
ファンをしっかり抑えていれば、販売価格が高くても安くてもファンという信者は値段に関係なく本を買うのが普通だ。
翁70にはそれがない。理由は作家は副業で、生活は大学の非常勤講師で糊口を凌いでいるからだ。つまり、勤めている大学の生徒すら翁70の書籍は買わないのだ。
作る書籍の値段の安さを強調しても、書籍は生活消耗品じゃない。値段を下げてたところで書籍は内容のコンテンツの良さが売り物なので、内容が悪ければタダのごみにしかならない。
一日200冊、月刊6,000冊が発刊される日本の出版業界。その中の1冊にならなければならないのに、翁70は編集部にお任せで売れる時代の感覚でいる。時間と資源の無駄というものだ。
今は無料で原稿を公開して、カウントが高ければ書籍化する流れがSNS上で既に出来上がっている。
翁70の原稿も面白ければ話題になるだろうに、無料で原稿公開という事すら理解できない様子だった。
図書館に買ってもらうと自著が売れないと本気で思っている感覚が化石級だった。
この翁70は自分のことしか考えない御仁だった。人様のお金をくすねて最終的にお金のトラブルをあちこちで起こし、横領事件まで起こして業界の噴飯物の人となった。











