282 ドラマ 「キャグニー&レイシー  熱い心に冷たい仕打ち」 仕事と言う名の日常 | ササポンのブログ

ササポンのブログ

映画、音楽、アニメにドラマ
そしてサントラなブログ
ひとを観ていないものを観ます

ササポンのブログ
このドラマの大まかな設定については
以前に書いたプログを参照にしてください
http://ameblo.jp/sasayoshihiro/entry-10133342802.html


オープニング・テーマ



中島みゆきが著作で
仕事を、こう定義していた
「やりたくないことをしている時の
言い訳」

本当は
モデルになりたいけど
本当は
歌手になりたいけど
本当は
作家になりたいけど
本当は
映画監督になりたいけど

でも、
生活していけないから
別の仕事している・・
でも、いつかは・・・と言い訳しているひとが
世の中にはなんて多いのか。

じゃ
映画監督になりたいなら
仕事が終わって部屋に帰って
死ぬほど映画を観ているか
休日は
歌舞伎を観て
帰りに
シナリオ雑誌を買って
夜まで
映画のDVDを観ているか・・・と
言えば
そうじゃないひとが多い。

そういうひとの言い訳は
仕事・・。

仕事が忙しいから・・・。

一日、最低8時間は費やしているのだ
仕事に。

どう考えたって
そのひとの人生の大部分は
仕事だろう。

どう考えたって
仕事が人生だろう・・・普通。

仕事という名の日常。

仕事と私とどっちが大切なの?(笑)

ササポンのブログ


とても有能で
仕事熱心で情熱的な検事。

彼の専門は、
幼児ポルノ。

法廷のシーン。
犠牲となった幼児の写真。

最も憎むべき犯罪に
必死に取り組む検事。

その検事にデートに誘われて
食事をする。
キャグニー。

その夜、
仕事がある・・と言って別れた後
検事が殺された。

娼婦がたむろする裏町で。

当然、
捜査は、検事が担当している幼児ポルノの方面に。

容疑者はたくさんいる。
しかし
みんなアリバイがあったり、刑務所の中。

捜査の過程で
検事の荒れた私生活が明らかになる。

捜査資料と
脱ぎ捨てた服しかない部屋

そして
死体の確認に来た妻は
別居中
心通わせる暇のない日常。

それでも
検事の正義を信じたいキャグニーは
その膨大な資料から犯人を割り出そうとする。

しかし
冷静なレイシーは原点に戻って
もう一度
事件の直前まで一緒にいた娼婦のところに行って
話を聞こう・・と

自分の検事に対する思いに暴走するキャグニーに
レイシーが静かに言う。
「刑事の仕事に戻りましょ。
キャグニー巡査部長」

そして
検事は、
その娼婦の馴染みの客で
2年も関係が続いていた。

その検事に惚れていた娼婦のヒモが
嫉妬して殺した。

それが事件の真相。

ササポンのブログ


最近
立派な仕事をして
巨悪を許さない・・と正義の行いをしていた人物が
高級コールガールと関係を持っていたと
暴露され、
公職から追われた。

このドラマの検事は
幼児ポルノという
誰もやりたがらない
心底、嫌な仕事にどっぷりと浸り、
心から、善悪の壁がなくなっていた。

幼児ポルノは悪で
奥さんがいるのに娼婦と関係するのが
いや
金を払って女性を買うのが善なのか?

仕事で
巨大な悪に接し過ぎると
私生活の自分の悪などどうでもよくなる。

あいつらに比べたら・・・と。

それに
この検事に日常などなかった。
ただ
仕事があっただけなのだ。

俗な、嫌な言い方だけをしてしまえば
性欲の処理だけの女性が必要で
人間としての女性、つまり奥さんなど必要なかった。
その発想は
幼児ポルノを作って金もうけする連中と
どこが違うのか?




ササポンのブログ


もうひとつ
エピソードがある。
レイシーの夫が
ベッドでエロ本を読んでいる。
それは
中学生の息子の部屋にあったものだという。

レイシーが驚くが
夫は
「まあ、あの歳ごろの男の子は見たがるものさ。俺もそうだった」と
気軽に答える。

このことで
夫と口論になる。

「こういう本を読むことで
女性をただの肉の塊だと思ってほしくない」

夫が言う。
「そんなふうに思うわけないだろ。
こんな本を少年期に読んでたからって
俺が、そんなふうに思っているか?」

それでも
納得しないレイシーに向かって夫が言う。

「息子に問題なんかない!
俺は、息子を信じている。

問題なのはお前だ!」

レイシーは
そのエロ本を持って息子の部屋に行って言う。
「ここに出ている女の子について話しましょ」

ササポンのブログ



自分の価値観が歪んでしまうほど
仕事に熱中してしまうことの恐怖。

そして
欲望の対象として
侮蔑的に異性を観る意識。

このふたつを
たった45分で
あっさりと、そして
鮮やかにやってしまうこのドラマの見事さ。

ふたりのキャラクターと
作っている側の視線が
しっかりとしている
さらに
エミー賞を
4回受賞したレイシー役のタイン・デイリーと
2回受賞したキャグニー役のシャロン・グレスの
確かすぎる演技。

こんなエピソードが、
ゾロゾロあるドラマ。

観たいと思いません?

でも
日本ではDVD未発売。




ササポンのブログ
ササポンのブログ