ご満悦な探偵~ミュンヘン 新宿西口ハルク店編~ | 笹郎(ササロー)のゆるゆるご当地コラム

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東京都渋谷区笹塚の応援キャラクターの笹郎(ササロー)の
地域の魅力再発見!をテーマにご当地を紹介するエッセイ的コラムです。
たまに趣味のやつも。

右斜め+L+R+L+R+L+L+R+R+Aな視点でゆるっと紹介する
ゆるゆるご当地コラム…始まるよぉ!

“かみかつ”
と、いうワードが頭の中に突然降りてきた。

いや、ちょっと待て。なんだこれ。

もっとらしい小説の冒頭の始まり方みたいになってしまった。
そういうものを書くつもりはないので、なんか恥ずかしい。

普通に書きたいようで、ちょっと色気を出してみたとか。なにそれ。

こんな所でいちいち、ワチャワチャと書かなくていい。

そういうのは一旦、片隅に置いておく。


いや、ほんと。ふと、かみかつが降りてきた。

かみかつってなんだっけ。紙カツだっけ?正確な表記も曖昧だ。
だが食べ物だったのは確か。
どこかのレストランの様な場所で食べた記憶が微かにある。

ビアガーデンだっけ。古そうな場所。そう、あれだ。新宿の。
そこで考えが止まる。



何も思い浮かばないので、さくっと検索しよう。
『かみかつ』と検索する。

出てきた。

と、思ったら漫画の方が出てきた。いや、そうじゃない。

画像検索に切り替えよう。


出た。

そうそう、肉を薄く揚げたやつだ。なんの肉かは分からない。

なんの肉かは分からないけど、薄く平たく、サクサクっとした揚げ物。


あー、そういえば野菜も下に敷かれていたな。野菜は横に添えられていない。

確実に下に敷かれていた。きちんと覚えてないのに、これだけは何故か確信があった。

絶対、敷いている。敷いてるんだって。何故か強気。

 

見たら記憶が蘇ってきた。

地下だった気がする。地上にある、お店ではない。

新宿の地下だった記憶。駅からはそんな遠くなかった覚えがある。

天井がやたら高いのも思い出した。
なんで地下なのに広いのだろうと子供心ながら思った記憶がある。

子供心。そうか、ガキロー時代か。あ、思い出してきた。
ママローと親戚のオジローとアカローとササローで行った覚えがなんとなくある。
何十年前の話だろう。
そこで出される“かみかつ”なるものが凄く美味しかった記憶がある。
インドカレー屋で出てくる、ナンみたいな巨大カツ。

過剰なまでに大きい駄菓子のビックカツみたいな。


あれがやたら美味かった。物凄くサクサクしてた。

味が美味しいという記憶はなく、食感が驚異的なまでに良かった。

ご飯が欲しくなったのでライスを頼んだ気がする。

 

確か2回行った気もする。皆、その味に感動して

翌週あたりに2回目も行った。それだけ覚えている。

良い感じに当時の記憶が蘇ってきた。それならばと
また『かみかつ 新宿』と検索する。


すると“ニユートーキヨー”と“カミカツ”の文字が。
HPがあるので覗いてみる。

 

HP内の写真を見ると、店内の天井がやたら高い。

そして新宿西口ハルク地下3階と書いてある。

 

完全にここだ。ああ、ミュンヘンというお店だったのか。

ようやく、お店の名前が分かった。
当時は“ミュンヘンに行こう”とは言われず“カミカツに行こう”という

感じだったので、まぁ仕方ない。

 

カミカツが提供されるお店はミュンヘン新宿西口ハルク店だったんだ。

ああ、長年のモヤモヤがとれた。

 

何故“かみかつ”のワードが降りてきたのか、ここではっきりした。

そうか、私は何十年ぶりにここのカミカツを食べたくなったんだな。

 

 

笹塚から新宿までは京王線で一駅という事で、早速来てしまった。

 

こういうお店だっけ。

店内の記憶は朧気ながらあるが、店頭の記憶がまるでない。

なんとなく、ショーケースが大きかったなぁぐらいの記憶ぐらい。

 

いやしかし、こんなにも渋いお店だったのね。

当時は何も感じていなかったなぁ。

今ではデパートの最上階あたりにある、ちょっとお高い洋食屋な緊張感を感じる。

老舗の風格といった所か。

 

新しい建物、新しいお店が大量に出来ていく新宿。形を変え、進化し続ける新宿。

そんな中、変わらない場所。変わらない本来の新宿の姿。

なんで今日まで、このお店の存在を忘れていたのかと、ちと後悔した。

 

こういう酒場こそ紳士的超名探偵に相応しい。

ソーセージとビールだけでサクッと飲んで帰る。渋カッコイイ。

そうしたいのは山々だが、目的はカミカツを食べる事だ。

 

とりあえず入ってみよう。

 

 

絶妙に薄暗い感じ。そうそう、こんなんだったな。

LEDじゃなくて白熱電球の温かい感じと優しい明るさ。

 

席に案内され座り、真上を見上げる。

 

あ、天井が高い。

この感じだ。地下なのに開放感ある感じ。

物凄く懐かしい気持ちになった。

レンガな壁にステンドグラスな照明も。

やっぱりそうだ。ここだ。昔、連れてきてもらった場所だ。間違いない。

 

それではカミカツを頂こう。メニューはどれだ。あ、これか。

 

 

カミカツだけ紹介するのも面白くない。

今は大人になったのだ。大人の余裕を見せつけていこうじゃないか。

ちょっと遊び心を出していこうじゃないか。

連れてこられた時には飲めなかったビール。

いいじゃないの飲もうじゃないの。

 

ミュンヘンという事でドイツビールが名物となっている。

他にも日本製のビールもあり、ハーフ&ハーフなどもある。

裏面にはワインやウイスキーなどビール以外も種類豊富だ。

 

あ、ピルスナー・ウルケルがあるな。

輸入品を扱っているお店ぐらいでしか売られていない、ちょっと高級なおビール。

缶のデザイン、めっちゃ風格があってカッコイイんだこれが。

 

エーデル ピルス。

うん、これは飲んだことないので、まずこれにしよう。

 

 

まずコースターとして専用の紙ナプキンが置かれる。

特製のデザイン。激渋である。

 

大人になって良かった事はこういう所に気づけるようになった事である。

ガキロー時代ではこういうポイントには気づけない。

 

 

琥珀色に輝くエーデル ピルスがやってくる。

ようこそ、この名探偵の元へ。

 

大変。これは大変。事件です。探偵、味の調査入ります。

はい、めちゃ美味いです。

爽やかな苦みと豊かな香りが特徴的。

なおかつホップや麦芽の味がしっかりと味わえる、凄い完成度。

めちゃ美味いです。現場からは以上です。

 

飲み物、というか特にお酒はそう。

酔う為にただ流し込むだけの一連の流れの動作に必要な物体、という存在になりがちだけど

エーデル ピルスは1品料理のような、向き合うべき存在感がある。オススメ過ぎる。

 

 

探偵、調子が出て参りました。食べ物を調査したいと思います。

気になったザワークラウトの謎解きをしたいと思います。

 

カミカツはまだです。焦ってはいけない。

劇的に論理的にいくので、ちょっとお待ちを。

 

こいつがまた美味い。

ザワークラウトってこんなに美味しかったんだと、目覚めさせられる至高の味。


キャラウェイがポイントなのかな。

発酵食品の特有の癖を抑えるスパイシーさのベールがかかっている感じ。

味も変に酸っぱ過ぎず、酸味特有のツンっとした香りも無く

歯応えもシナシナとサクサクの丁度中間地点で保たれている。

ひたすらにマイルドすっぱ美味い。

それでもって、この量よ。質も考慮すると429円ではあまりにも安過ぎる。

 

 

知ってたさ。ああ、探偵だからな。皆まで言わずとも分かっている。

ここまできたら、名物のシュタインジョッキが見たくなる頃であろう。

 

中シュタインのハーフ&ハーフを追加で頼む。

 

デカい。本場サイズ。本場がどういうのか知らないけど。

陶器製で出来ており、普通の中ジョッキグラスより2回りくらいは大きい。また重量感が凄い。

だが容量的には500mlという。

 

このジョッキグラスを持つと“ビールをかっ食らってる”という感じになり、気分爽快。

無茶苦茶良い。おかわりしたい。

 

肝心なハーフ&ハーフの味も良い。

生ビールの口当たりの良さの後に黒ビールのコクが追いかけてくる。

飲みなれているビール同士なのに、凄い特別感があるなぁ。

家でやってもこの感じは出ないんだよ。これはビアホールだからこそ出る味。

 

 

追加で頼んだのはビールだけではないよ。探偵は隙がないのさ。

 

ここで念願のカミカツの登場である。

レギュラーサイズとハーフサイズがあるが、昔を思い出しレギュラーサイズにしてみた。

 

ほんのちょっとの記憶しか残っていないのにも関わらず

やはり実物を目の当たりにすると、物凄い懐かしさを感じた。

 

この一皿を4匹で、つつきあってた記憶も蘇った。

確か4匹で一皿じゃ足らないよと、ママローがもう一皿追加した記憶がある。

 

いやしかし、デカい。やっぱりデカい。え、こんなサイズだっけ?

昔より大きくない?そんな事ない?え、これ食べきれるのか。

当時、4匹の猫で食べていたものを1匹で食べないといけない。

ほんの数秒でノスタルジーな気持ちから、不安な気持ちに変わる。

 

 

巨人の国の食事なんかな。っと思うくらい、ビックサイズとビックサイズ。

だけど、これが本場なんだなぁ。本場がどういうのか知らないけど。

 

ソースも付いてくるが最初は何も付けずにかぶりつく。

 

これだと思った。

十数年前に初めて食べた、あの時と同じ感覚。

トンデモサクサク食感。変わらない、変わってない。

 

普通のカツとは違い、中のお肉が薄いお陰で

噛むと上下の衣のサクサク具合が上手い具合にシンクロする感じが非常にヤバい。

ほんと、衣が主役という感じ。

 

それなら衣だけ食べればと思う所だが、やはり中のお肉がポイントっぽい。

ただの衣同士だとサクサクはするが、どこかスカスカしちゃうと思う。

 

肝心なお肉は油で旨味や風味はほぼ感じない。

だけどこのお肉がなければ、この料理は絶対的に成立しないであろう。

 

これ黄金比だと思う。THE・食感モンスター。

 

 

ソース無しの方が美味しいかも。

ガキロー時代もソースを使ったという記憶がない。

多分、その当時もこのまま食べた方が美味しいと考えていたのだろう。

 

最初の不安はどこへやら。

ソース無しで一気に半分ぐらい平らげてしまった。

 

ペロっといける秘密は敷かれているキャベツである。

酸味とちょっとの辛みが効いたキャベツ。ザワークラウトとはまた違う味。

カツの合間にこれを食べると、爽やか酸味がカツの油っぽさを一気に払拭してくれる。

またキャベツのハリハリっとした食感も活きており、サクサクに飽きてきたら

味変ならぬ、噛み変にもなる。

 

サクサク、ハリハリ、サクサク、ハリハリ、サクサク、ハリハリ、サクサク。

 

正直、どこでビールを飲んだらいいのか分からないくらい永遠と繰り返し食べれる。

やめられない、とまらない。

スナック菓子以外にこのフレーズを使う時が来ようとは。

 

なんだろう、酒場で食事に没頭したのいつ頃ぶりぐらいだろうか。

いや、むしろ初めてくらいか。

酒場で酒を忘れさせる味。何年経とうが夢中にさせてくれる味。

キミは変わってないんだなぁ。カミカツ君。
 

 

ご馳走様でした。

 

カミカツというワードが降りて良かったと心の底から思った。

何十年も途切れていた、ミュンヘンとの時間。

ここからまた新しい時間を作っていこうと思った、ご満悦な探偵であった。

 

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【お店情報】

ミュンヘン 新宿西口ハルク店

 

住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-5-1 新宿西口ハルク 地下3階

電話:050-5385-3581

営業時間:11時00分~22時30分

定休日:無休(ハルク休館日に準ずる)

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