小学6年と中学3年を対象とした全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が5月27日に行われています。
新型コロナウイルスの感染拡大で昨年は中止されたため、2年ぶりの実施です。
導入から丸14年が経過し、テスト結果をより重視する学校もみられ、過去問を解くなど事前準備が常態化。本来の調査目的から逸脱している状況もみられます。
学力の一部しか測れないにもかかわらず、現場だけが結果責任を問われ、追い詰められています。
公立小学校の中には、歴代の小6の得点から「弱点」を分析し、市販の教材で何度も事前練習し、過去問が使われるケースもあります。
学校側が意識するのは、教育委員会が各公立小中に作成を求める「学力向上プラン」。
2017年度から全国学力テストの目標点を示した上で、課題の分析や授業の改善を促し、後にも先にも結果を優先せざるを得ない状況になっています。
国の指導のためなら、学校で行う普段のテストで十分との見方も専門家の中にはあります。事前準備などの対策を取る学校がある中で、全員対象の現行調査は結果が偏る可能性が高い。
日本では実施から約3カ月後に結果が学校現場に通知されるが、ドイツでは授業改善に特化したテストの結果が2~3週間後には教員に伝わる。ノルウェーでは学校ごとの得点を公表するが、子どもの家庭環境など数ある情報と一緒に示される。
日本は学力の一部しか測れないにもかかわらず、日本にはテスト結果に敏感に反応する文化があり、責任は学校が問われてしまっている現状があります。行政、保護者、地域が一緒に改善点を考えることが大切でしょう。
2007年、小6と中3の全員を対象に国語と算数(数学)の2教科でスタート。民主党政権が10年に抽出調査に切り替えたが、自民党政権下で13年に全員対象に戻った。現在は理科と英語(中3)も3年に1度行っている。18年8月には大阪市長が学力テストの成績を教員らの給与に反映させる意向を表明(後に撤回)し、学校現場への圧力や負担が問題となった。