六本松ゼミナールの塾長です。
今回は5教科入試が関東や関西の有名私立高校で広がるかどうか、その流れを見ていました。
首都圏の高校入試は、国公立は5教科、私立は3教科が主流でしたが、私立男子進学校の巣鴨高校(東京都豊島区)が、来年の2021年度入試から5教科入試を導入することを決定しました。
中学入試で算数1教科の午後入試を導入して、志願者が伸びた同校。高校入試での5教科の導入に踏み切ったわけはさまざまですが、国公立大や医学部対策には5教科が必要だということです。
巣鴨高校は、中学入試(4回)240人、高校入試(2月10日のみ)約70人を定員に生徒募集をしています。
来年度も定員は変えないが、高校入試の日程を2月10日から12日に変更。
これまで英語・数学・国語の3教科だった入試教科を、来年は理科・社会も加えた5教科と、3教科のどちらかを選択して受験する方式に変えます。
試験時間と配点も、国数英は10分延ばし60分各100点、理社は45分各70点に変えます。
同校入試広報部では「すでに3教科で準備している新中3生に配慮し、来年は両方選べるようにするが、状況も見ながら近い将来は5教科に統一することも考えている」としています。
高校入試は、公立の併願校として受ける生徒も多く、合格を出しても入学者は少ない傾向もあります。巣鴨高も、今年の入試では、定員約70人に143人が受験、88人が合格しましたが、入学者は半分以下。大学付属ではない、成城、本郷、豊島岡女子など、中高一貫の進学校の高校募集停止が相次ぐ中で、巣鴨もいずれ停止するのではという声もありました。
しかし、堀内不二夫校長は「すべての子が中学受験ができるわけではない。私立といえども、この国の教育を担っている以上、高校からの入り口をなくすわけにはいかない。6年一貫のある種のぬるま湯の中で育てることが、本当に良い面ばかりかということも考えなければ」と話しています。
5教科にした背景はさまざま。同校では、昨年から始めた中学の算数1教科入試で上位校と併願する優秀な生徒が集まりました。また、国公立大や医学部へ進学する生徒を高校3年間で育てるためには、理科・社会も含めオールラウンドの力を持って入学する生徒が求められる現実などもあります。
「大学入学後を考えても、中高で5教科しっかり学ぶことは、生徒のあるべき姿だ」と校長は説明。
首都圏では、公立以外で5教科入試を実施する高校は限られます。東京では筑波大付属などの国立と開成ほか、埼玉では栄東ほか。ただ、千葉県では、2017年度入試から渋谷教育学園幕張高校(千葉市)が3科目の後期入試を廃止。市川高校(千葉県市川市)も前期入試を5教科に、昭和学院秀英高校(千葉市)も5教科に切り替え、私立高校の2割程度が5教科入試を採用する流れが広がりました。
大学進学実績でも、トップランクの高校は中高一貫校か5教科入試の高校がほとんど。5教科をしっかり学んで入学した生徒を3年間で押し上げてもらえれば、生徒たちの可能性も広がるし、今後、他校が続くこともあるでしょう。