◆ミラクルジャンプ01号
書こうと思っては止め、書こうと思っては止めを繰り返し、大分発酵気味なんですが、一応、こうゆうのがありましたぜっていう事で。
◆ミラクルジャンプとは?
'10年、8月に休刊した『月刊ヤングジャンプ』のリニューアル雑誌で、
こちらは隔月雑誌だそうだ(2号は3月中旬発売予定)。
この新雑誌のテーマは『SFとファンタジー』。
世の中に奇跡を起こすのはいつも作家のイマジネーション。
そこに少年誌と青年誌のボーダーラインは存在しない。
そして、漫画の表現に限界はない。
今こそ「奇跡」を起こそう。
「少年ジャンプ卒業生に告ぐ――!」
奇跡、見たくない?
…まぁ、この手の煽り文は総じて実態に即していないんですが、今回も例に漏れずそれですね。
私が普段読んでるのは少年系で、ほぼ少年ジャンプと言ってもいい。
それに対する青年誌たる各雑誌は、少年誌に比べると表現の幅が広がるハズなんですが―、走る方向はエロかグロか、その両方、なんて事が多い。
エロ・グロ系が苦手な私はそれが理由で青年誌系は避けがちだったんですが、
このミラクルジャンプは『SF』だとか『ファンタジー』という事で若干の期待を寄せていたんですが…、ちょっと想像していたものではなかったかなぁ…。
漫画の表現に限界はない、とか言いつつもそこに行きついてしまうのは何でなん。不思議です。
以下、簡単な紹介+感想。
◆リターナーズ -赫の奇還者-
(極楽院櫻子)(連載・33p)(異次元型東京異形バトル)
◆簡易ストーリー紹介
13年前、隕石の落下によって1つの街が消失し、そこには人を食らう赫の異形と怪異が跋扈するようになった。
人々はそこに、東京24番目の特別区―「赫石区」作り、それに対抗した。
対抗したるは"閃光(ヒカリ)を持ちて帰還せし者"―奇還者(リターナー)。
そして、今日もまた一人災厄から帰還した男が居た―。
◆感想
休刊(廃刊?)となった、月刊ヤングジャンプで連載をしていた作品が、この新創刊で復活、心機一転のリスタートを切ったようだ。
読んでないのでわからないが、一応話は繋がっている様子。
この漫画は主人公(?)の女の子が、戦いの中服が破れていき、どんどん露出しながらも戦う姿がウリらしいのだが、このリスタート第1話では、もう1人の主人公(♂)が出てきて、この第1話ではその女の子の露出はナシ。
裸の男が、化け物と戦って終わりという、誰得な展開。
新創刊最初の漫画がこれでいいのか?
この時点でヤバそうなかほりがプンプンし出す。
本来のウリのお色気満点のエロバトルも全く興味がないので、ちょっと私はリタイアくさい。
◆群青ソード
(野口友梨子)(連載・48p)(タイムトリップ・異次元型幕末活劇)
◆簡易ストーリー紹介
2012年、某都立高校。
特技ナシ、趣味ナシ、…彼女もナシ。
もちろんモテた例もない、そんな望月凛は無気力な高校生活を送っていた。
最近の若者にありがちなのだろうが―、凛が無気力だったのには理由があった。
先日、同じクラスで想いを寄せていた桂木京子が、"ヤリ公園"と名高い近くの公園で、先公とヤっているのを目撃したからだ。
灯りの少ない公園で、「誰にも見えない」そう思っていたのだろう―普通ならば。
何の因果か凛には闇夜を照らす不思議な眼があったのだ。
『清純そうに見えて実はコレだもんなぁ…クソ…』
そんな時、見たこともない不思議な生物に誘われて―不思議な世界に迷い込む。
眼が醒めるとそこには裸の女たちがいた。周りもまるで時代劇の様。
一体全体どうなってるんだっ!?
◆感想
作者の野口友梨子さんは、『第1回ファンタジーコミック大賞』入選受賞作家さんらしい。
ついでに、第71回MANGAグランプリにて準グランプリも受賞したらしい。
(準グランプリ作品「CHAOS」→無料WEB公開中 )
まぁ、何のこっちゃわからんのだが、期待の新人さんのようだ。
で、内容なのだが、画力は高い。先日のジャンプNEXTの杉江翼さんと同系統、小畑健さん風、と言えば伝わるだろうか。
話の流れとしての、汚い世界の一部分の描き方もまぁ、嫌いではない。男性好み…かもしれない。
ただ―、最初の見開きの参考画像でも伝わる人は伝わるだろうか、アレルギー反応が出る人は出てしまうと思う。
今後の流れ次第のだが、正直青年誌で一般受けするのかと言えば若干疑問。
微・鬼畜が苦手ではない女性からは、評価は高そうだが、男性からは果たして。
◆未来のジェノス
(大亜門)(読切・22p)(ターミネーター&ドラえもんパロディ型ギャグ)
朝岸春人―今は何の変哲もない高校生なのだが、未来の世界ではとある大発明をする。
それにより、ある企業はトップの座を奪われる事に。
『未来の朝岸春人に勝てないならば―』
と、過去の世界へ自立型アンドロイドのジェノスを送り込んだ。
ジェノスの目的は、
甘やかして甘やかして、春人を一人では何もできない大人にすること!
◆感想
思い返せば、私の漫画の原体験は『4コマ漫画』かもしれない。
ガンガンを中心にドラゴンクエストの4コマがあったんですが、それがまぁ大好きで。
意味を理解しつつ読んだ最初の漫画はたぶんそのどれかの4コマ漫画な気がする。
んで、そのドラクエの4コマ作家さんの中に「新山たかし」さんっていう方がいたんですよ。
少年系でギリギリのちょっとエッチな漫画描く方だったんですが、女性の神秘を知らない当時の私は大好きで。
それからしばらくして、私も女性の神秘を知り、いつの間にやらドラクエ4コマの歴史にも幕が下ろされてしまったんですが、そんなある日のこと、新山さんが当時の4コマのキャラを使って同人誌を出していると聞いて、何とか手に入れたんですよ。
これ、唯一私が持っている同人誌なんですが、当時、何と言うか…妙にショックを受けまして。
その時の心境に似た、若干の喪失感がこの大亜門さんの漫画には感じられた。
話を戻すが内容的には、なんだろう。
"良くも悪くも"
『まるで成長していない……』
でしょうか。
相変わらずのパロディ系下ネタギャグ漫画で、ジョジョパロも忘れない。
昔のモテ王サーガを思い出し懐かしいとは思いつつも、青年誌には上手く対応できていない感が見受けられた。
アリ・ナシで言ったら個人的には思い出補正でアリだけど、ヤングジャンプ読者としてはどうなんでしょ。
◆GANTZの素
(奥浩哉)(読切?・7p)(思い出話)
19歳の頃、人生を変える映画に出遭った。
◆感想
お、おう、としか言えんがな。
◆流刑島
(ふなつ一輝)(短期集中連載・32p)(絶海孤島パニックサスペンス)
1982年、我が国の死刑制度が廃止され―その代わりに流刑制度が復活した。
―それから30年。
流刑制度は開始されたものの、その内実は国家機密として国民には開示されなかった。
そこに目を付けた、とあるTV局の番組制作クルー達がドキュメント番組の撮影のため流刑島に乗り込もうとしていたのだ。
クルー達は流刑島に辿りついたのだが、入島施設から一歩外に出るなり扉に鍵がかかりヘリに戻れなくなってしまう。
一同管理施設を目指すことになるのだが、そこで見たものは―。
◆感想
まぁ、言ってしまえばバトルロワイアルですね。
短期集中掲載ということで、どれほどの長さを予定しているのかわかりませんが、いわゆるエログロ系っぽいですね。
絵は当然うまいんですが、話の入り方に無理矢理感は否めず、今後次第なんでしょうが、ありがちかな、と。
◆ひみつ戦隊モモイダー
(藤沢とおる)(読切・16p)(お色気戦隊物コメディ)
ラー将軍は悪の組織KKKの首領であり、地球征服を目論んでいる。
しかしながら地球に来て早2年、事あるごとに防衛省所属・ひみつ戦隊モモイダーに妨害され、地球を侵略できずにいた。
そこでラー将軍はモモイダーの力の秘密を探るため、あるモモイダー隊員のとなりの部屋に潜入し、観察・調査をする事にした。
モモイダーの力の秘密とは何なのか―。
◆感想
まぁ、面白かったとは思う。藤沢さんらしいっちゃらしい作品。
週刊ヤングジャンプの方で、数年前に不定期連載をしていたようで、3年振りらしい。
ただ今更だが、ミラクルジャンプの言うSFとファンタジーって何なの?
◆TERAFORMARS(テラフォーマーズ)
(原作:貴家悠、作画:橘賢一)(連載・37p)(SFゴキブリ退治)
数世紀に渡って続く環境破壊やエネルギー問題。
あるいは人口の激増、そしてそれに伴う食糧不足…。地球には多数の問題が山積みになっていた。
そこで人類は『火星への移住計画』を企てた。
しかしながら火星の平均温度はマイナス58度。
とてもじゃないが人間が住める環境ではない。
これは火星の大気が0.006気圧しか無いために全く太陽光を吸収できていないからなのだが―、
火星の地中に大量の二酸化炭素が凍っている事がわかった。
つまり、ひとたび火星を暖め始めればその二酸化炭素が溶け出して、温室効果によって火星は暖まっていく、という事である。
では、どうやって最初に火星を暖めるのか。
20世紀の科学者たちは考えた。
『ある「苔」と「黒い生物」を火星に大量に放ち、地表を黒く染め上げる事で太陽光を吸収し火星を暖めようと―。』
火星の環境でもギリギリ生きられるその生物が苔を食べ、活動範囲を拡げ、その死体にまた苔が茂って行く。そして、その連鎖により火星を暖める事が可能なのではないか、という事である。
―そして西暦2599年、火星の地球化計画(テラフォーミング)は大詰めを迎えていた。
火星の大気圧がある程度安定し、人の移住も可能になってきたのだ。
しかし火星は黒い生物達の巣窟と化していた。
そうして、勇気ある宇宙飛行士たちが宇宙一大がかりな"ゴキブリ退治"へと向かったのだった。
◆感想
「SFコミックの歴史はここで根底から覆される」
いつにも増して煽り文が誇大である。
宇宙飛行士達もただの人間ではなく"バグズ手術"を受けた、いわば強化人間なのだが、部隊は15人のみ。
対するゴキブリは何千、何万単位なんでしょうが、今のところどのような武器を持っているかも不明。
目的としては『害虫の王』を倒すことらしいのだが、ゴキブリとはそうゆう統制を取っている生態だったろうか。
まぁ、そうゆう風に進化してしまったんですね。
GA●TZ的な感じはしますが、連載第1回目だけでは何とも言えず……w
とりあえず、つまらなくはない。面白いかは…まだわからんです。今後次第でしょうか。
◆豺狼-ヤマイヌ-
(内水融)(読切・50p)(サスペンス)
オハヨーゴザイマス!!
え!?あ…あァ、オハヨウ!いい天気ね!!
ワレモノって今日でいいんですよね?
すいません、まだ分別慣れてなくって…
アラいいのよ!テキトーに置いといて!!
オバチャンやっとくからサ!
(あの子…ホラ、"例の事件"の…。)
(ええっ!?あの子がそうなの!?)
(やっぱりあんなコトがあって地元には住んでいられないわよね…)
(全然気づかなかったわ…アイサツもしっかりするし…今どき珍しい出来たお嬢さんだとは思っていたけど…。すっかり立ち直って…強い子なんだねェ)
一ヶ月前、ある一家殺人事件の判決が出た。
婦女暴行と4人の殺人の罪に問われ死刑を求刑されるも―、結果は無期懲役。
被告人が犯行当時未成年だったためである。
一人生き残った三南ヒナ(みなみひな)は、犯人の羽佐間夜彦(はさまよるひこ)を許せずにいた、いや許せずはずもなかった。
目の前で殺される家族の姿、そして自らが未成年である事を盾に死刑がない事を確信していた羽佐間は、無期懲役の判決が下った時、笑っていた。
殺したい…
死ぬほど苦しませて地獄に落としてやりたい…っ
そんな三南の下へ、犯罪請負人・豺犬(やまいぬ)が忍び寄る…。
◆過去作品
POT MAN…赤マル'01冬
ガリアのヴェル…赤マル'02冬
詭道の人…赤マル'03春
戦国乱破伝サソリ…WJ'03-41-52号
賈允-KAIN-(読切)…WJ'04-25号
カイン(連載)…WJ'05-24-43号
FOREST…WJ'06-6・7号
DISPENSER…赤マル'06夏
アスクレピオス(読切)…WJ'07-19号
アスクレピオス(連載)…WJ'08-43-11号
アグリッパ…SQ.19'10-5(連載中)
ここまで来るともう圧巻ですねw
◆感想
内容が内容だけに、面白い(enjoy)とは言えないのだろうが、面白かった(interesting)。
"読切に関しては"、正に安定の内水融。
そして何ともバランス感覚の良さが伺える。
現在内水さんはSQ.19で連載をされているんですが、
(その雑誌自体は青年誌と少年誌の中間、若干青年誌寄り?)
基本的にはこれまでずっと少年誌で描いていた作家さんで、青年誌のノリには慣れていないハズなのだが、これが結構サマになっている。
少年誌から青年誌に移ってくると―ブランクがあるので若干対象としてはそぐわないんですが―ちょうど今回の大亜門さんみたいに、地に足がついていない感じになりがちなんですよね。フワフワしているというか、探り探りというか。
「少年誌での内水融」とはまた違った、「青年誌での内水融」の可能性を見出せた、そんな気がします。
正直、今SQ.19で連載中のアグリッパよりもこっちを連載した方が人気出そうな気がするが、これは内水さんのいつものパターンだったりする。
読切面白い→これ連載イケるんじゃね→いざ連載→…んっ? っていうね。(アスクレピオスは良かったと思いますが)
何にしても作品を重ねるごとに良くなっていくのは素晴らしい。
文字数オーバーしてしまったので、ここで一旦内容分けます。
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