プロへの指導 | ささのブログ

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朝の散歩、ノルマの歩数に達しなかったので、部屋に戻る前にマンションの周りを歩いた。すぐ近くを石神井川が流れていて、王子駅に行くときや板橋駅を使う時には、必ず石神井川の遊歩道を歩く。が、そのどちらに行くにも、ちょうど真ん中で全く通らない部分がある。
 
今朝はそこを歩いたら、昔、川が蛇行していた名残の池に島が出来ていた。2017年の11月に「王子の鯉の物語」と題して書いた、鯉の家族の奇跡の再会ドラマの、あの池だ。いつの間に出来たのだろう。ここを歩くのは何年ぶりだ?あの鯉の一家はどうしているだろう?
 
コロナ禍以降、ニューヨークのコロンビア大学には教えに行っていないが、今、コロンビア大学から派遣された留学生の指導をしている。これは、長年やっている、コロンビア大学の学生の留学生ではなく、数年前から始まった、世界のプロの演奏家が対象の雅楽履修制度「Global Artist Residency」によるもの。その1人目が龍笛だったので私が教えたが、今年はそれ以来だ。
 
3ヶ月間日本に滞在し、雅楽漬けのプログラムでみっちりと学んでいく。私の担当は、メインの龍笛の演奏指導。留学生はポーランドのオーケストラでバスーンを吹いているそうで、ならば「何で篳篥じゃなくて龍笛を選んだのですか?」と訊ねると、龍笛の音色に惚れ込んだそうだ。
 
最初のレッスン、龍笛はプラスチック製のレンタル、音はかすれて出る程度。楽器の演奏に関しては、全く準備をしてなかったようだ。ただし、日本語は興味があるらしく、カタカナと平仮名は大丈夫とのこと。その日だけコロンビア大学のスタッフが同席したので、通訳をしてもらった。ここ20年で留学生は何十人も教えてきているので、英語は下手なりに通じるが、1回目はいろいろ確認することが多く、込み入った話になるのでは助かった。
 
それから丁度1ヶ月。上達は凄い。さすがは第一線で活躍しているプロの演奏家、自分なりの方法をつかんで、古典曲をどんどん習得している。それは、一般人ならば4‐5年かかって達するレベル。今日のレッスンでは『蘭陵王』に入ったが、恐らく一週間後にはスラスラと吹いている事だろう。
 
よく「プロ並み」という言葉を耳にする。彼の野球はプロ並みだ、彼女の料理はプロ顔負けだ、あの人のピアノはプロでも通用するレベルだった、等々。だが、プロ並みと本当のプロとでは明確な差があり、それは超えられない壁。今回、久しぶりにプロの演奏家の指導を担当し、プロの凄さを目の当たりにして、プロとプロ並みの差を考えさせられた。