他国に較べて日本が異常に発達しているものにトイレがある。例えば、温水洗浄便座は、日本では全国のビジネスホテルでも当たり前になってきているが、アメリカのホテルではまずない。ヨーロッパで歴史のある高級ホテルではいまだに”ビデ”が便座の横にあったりするが、”ビデ”は場所をとるし、使い勝手が悪い。ヨーロッパの方々は、日本式の温水洗浄便座を知らないのだろうか?そういえば、来日した大物ミュージシャンや俳優の多くが、温水洗浄便座を買って帰るといううわさを聞くが、とすると海外では手に入りにくいのかもしれない。
最新のトイレは、部屋に入っただけで自動で便座が開き、用が終わり離れると閉まる。その健気なまでに忠実な姿を見ると、至れり尽くせり、上げ膳据え膳、お殿様にでもなったような気分になる。さらに流れる水の量も、従来の半分以下で済むのに、見事にきれいになる。
15年ほど昔、とある隣国の地方の町に演奏に行ったことがある。そこでは男性の小用は、持ち手付きの桶にする。桶は底から流す管など付いておらず溜まる一方だ。どうするのかと見ていると、係りであろうオジサンがいっぱいになった桶を持っていって、畑に流していた。大用のエリアは壁などなく、ただ点々と”穴”があいていて、隣同士でしゃべりながら用を足していた。
子どもの頃、トイレといえば”ぼっとん便所”が当たり前だった。ようするに、”水洗”ではなく”くみ取り式”で、確か毎月1回、「バキュームカー」というエンジンポンプとタンク、それに長いホースを兼ね備えた独特のフォルムの車が来て、くみ取って行った。ちなみに、我が家では幼児語として、それを”うんちブーブー”と呼んでいて、「うんちブーブーが来たよ!」などと使っていたっけ。
くみ取り式のトイレの家には、外からわかる”ある特徴”があった。「無臭ター※」と呼ばれる、特殊なファンが煙突のような円筒の先についている。だから、くみ取り式から水洗トイレに移る黎明期に、無臭ターの有り無しで、この家はまだくみ取り式だ、とわかったものだ。
※無臭ター ネットで検索したらヒットしなかった。私の育った地域独特の言い方だったようで、一般には「換気筒」というものらしい。
小1の時、1年間だけ通った小学校のトイレでは、そこでしか見たことのないシステムが使われていた。その頃の男子小用はだいたい壁。壁に向かってするのだ。一定時間ごとに壁全体に水が流れる。問題は大用。見た目は和式の”ボットン便所”なのだが、3つある便所の下が、1本の溝でつながっていて、これも”一定時間”に上流から水が流れて洗浄する、いわゆる水洗式。
この”一定時間”にしか水が流れない、というのが大問題で、水が流れるまで「出したモノ」が第三者の目にさらされるのだ。休み時間などにウ○チなどしようものなら、必ず悪ガキが見つけて、犯人探しが始まる。
この、くみ取り式と現在の水洗式の間をむりやりつないだような方法、あの小学校以来、見たことがない。”共同溝式水洗便所”とか、”雨どい式水洗便所”などとググっても出てこない。「ダイショウガイ」(http://ameblo.jp/sasamototopics/archive4-201205.html )や、や「鉄砲注射」(http://ameblo.jp/sasamototopics/archive3-201205.html )などと同じく、私の育った地域だけに実験的に採用されたものだろうか?私の学校もそれだった!という方がおられれば、情報を共有しましょう。