見つめ合うもいい ただそれだけの 胸ときめかせ | JIROのブログ

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「話しの中身がどうなれこうなれ気持ちも知らずに」だべっていくと思いますが、他人様を傷つけることのないようにしていきたいと存じます。

庵野秀明監督作品『シン・仮面ライダー』について、

浜辺美波氏演じる緑川ルリ子の解釈はなかなか斬新ですな。

 

緑川イチローってのは、やはり『人造人間キカイダー』からなのか?

石ノ森章太郎先生の萬画版では、光明寺博士の長男は一郎だし。

(特撮テレビドラマ版では「タロー」)

 

チョウオーグに変身するのは風田サブロウ・イナズマンからの発想?

 

 

こういう云い方をしてはいけないんでしょうけど。

 

アタシは和智正樹さんの小説『仮面ライダー1971―1973』と

アニメ版の『スカルマン』を両輪として、

様々な媒体における石ノ森作品からしかじかの主要素を抽出して

作り出したいちファンとしての映画、だったと感じました。

 

 

で、緑川ルリ子さんですが。

 

特撮テレビドラマ版『仮面ライダー』でルリ子を担当した真樹千恵子氏いわく

「育ちが良くて、言葉も丁寧なんですよ。

だから自分でやってても不自然でとまどうんです」だったそうであります。

 

ちなみに当時の真樹氏は日本舞踊「西川流」に卓越する立正大学英文科1年生、

趣味は推理小説とジャズであったそうであり、

 

平山亨プロデューサーが、「エメロンシャンプー」のテレビコマーシャルで魅せる

「黒髪をなびかせた彼女の清楚なイメージに惚れ込んだ」ため抜擢したそうです。

(以上、『講談社オフィシャルファイルマガジン 仮面ライダー Vol.4』21頁)

 

 

その後、藤岡弘、さんの負傷もあってかなり活動的にもなり、

こういった「積極性」「勝ち気さ」を強調したのが

『新仮面ライダーSPIRITS 』のルリ子さん(弓さやかや早乙女ミチルっぽくもあるか?)

 

「才女」「機転が利く」という一面を強調したのが『シン・仮面ライダー』のルリ子さん、

 

そして「境遇に怯まない意志の強さ」を強調したのが『1971―1973』なのかな、と。

 

 

『1971―1973』のルリ子さんはアタシが知る『仮面ライダー』サーガの女性において

もっとも強靭かつ、純粋かつ、人間臭さに溢れている、というか。

 

今作では<アンチショッカー同盟>が<ショッカー>と比較しても

ひけを取らない規模の国際的連合体になっておりまして。

 

本郷猛は<同盟>から支援を受け、滝和也は<同盟>に雇われる「戦闘員」なんですが

<アンチショッカー同盟>の目的は<ショッカー>の利権や地位を完全に掌握して

いずれ成り代わろうという、いわゆる「正義の味方」ではないんですね。

 

ルリ子さんの祖父である玄祐は云ってみれば「財閥」の党首で、

日本国内での<ショッカー>最大の後援者、後を継いだルリ子さんが

<アンチショッカー同盟>ととりあえず結託し、<ショッカー>の壊滅を目指すようになる。

 

この粗筋だけ読んでも訳がわからないでしょう?

だから実際に手に取ってみてください(笑)。

 

文学作品を筋書きだけ知っていても何の役にも立ちませんから。

 

 

閑話休題。

 

今作のルリ子さんはどこか超然としているというか、

自分の周辺で目下起こっていることを瞬時にかつ的確に理解することのできる、

そしてどこか醒めているそんな女性でありながらも

 

「口の中を覗き込めば「地獄が見える」と揶揄される」<大使>と互角に渡り合い、

<ショッカー>最古参幹部である楠木美代子が組織に造反して参謀になる器量や、

緑川家の汚い仕事を何代も引き受けてきた立花藤兵衛が「舌を巻く」手並みを見せ、

 

そして自分の葛藤や煩悶を見せないようにする決意がどうも痛ましいというか

いじらしいというか、でもちょっと前まで「世間知らずの正真正銘のお嬢様」だったから

さすがに繕い切れず(というかだいぶ隠せていない)、その健気さに惹かれてしまうのです。

 

それでいいじゃないか、にんげんだもの。