歩いても歩いても

「いっつも、こうなんだよな。ちょっと間に合わないんだ。」

これが劇中で一番印象に残ったセリフ。

自分の身の周りのこと、おかれている状況、色々あると思うけど、

生きてると、なんとなく上のセリフのようなことを幾度か感じる事があります。

そういう意味では大袈裟にいうと、生きていく中での本質を突いている言葉の一つに入るかもしれないなあと、

しみじみ思いました。

出演者全員恐ろしく演技が上手いので、この映画、シーンに音楽が一切入りません。

バックに音楽が流れなくても２時間画面に釘付けです。

家族で生きていくって、当たり前だけど、楽しい事ばかりじゃなくて、大変な時のほうが多いような気もするし、

切なかったり、悲しい事もあるし、思い通りにいくことの方が少ないような気がして・・・。

でも、ふんばっていかなくてはいけなくて。

だからがんばるんだけど、

「ちょっと間に合わない時」もある。

この映画は劇的なことが起こったりして盛り上がったりするそういう映画ではないですが、

それでも心に染み入ってくるものがあります。

ラストの墓参りのシーンで、なんともいえない気持ちが湧き上がり、涙が出てしまいました。

自分でも良く分からないけど。

家族みんなで墓参りに行く。

何気ないけど、それはとても幸せなとだと思う。

だから思わず涙が滲んじゃったのかもしれません。

是枝監督の作品を見るのは４作目ですが、やっぱりいい作品を撮るなあと思いました。

（アタマッチ）

こぶたのしっぽ