前回まででG博士のうつ病心得6ヶ条は一通り説明しました。
今回はG博士のうつ病心得その2、その3でふれた
「うつ病は縦社会から横社会への通過儀式である」
ということばを追ってみます。
縦社会これは男の社会でしょう。
まことに、厳しく窮屈に組み立てられた組織社会です。
あるいはこれは一世紀くらい前の社会の構造なのでしょう。
それはまた多くの人たちが単純な欲望に引きずられて動く社会でしょう。
封建時代は「家」一族を守る。
家の存続が保証されるなら自分の命を領主に捧げてもよい。
そのためには何でもやるワンパターン。
戦後もそんな社会に近い。
経済を繁栄させ国民生活のレベルを欧米並みに引き上げる。
そのために家族を省みる暇もなく男は働く。
欧米並みの豊かな衣食を社会全体に普及させるために男は懸命に頑張る。
その頃は直属の上司やその周辺と酒を飲み、上役の悪口を言っていれば
よかった。
でも、今は人々の欲望も随分と多様になった。
いろいろな人に自分のもっている、いろいろな情報を発信して、
共感を得たい。そうしないといられない。
そのために、多彩なネットワークを張らなくてはならない。
他人の意見もばらばらだ。
誰の意見に従がわなくてはならないということもないから、
それぞれ勝手なことをいう。
そうしているうちに、自分本来の人間として、もっと根源にある何かが
わから無くなっていく。
それを確かめようとすると、もう同僚と酒を飲んで、
確かめるというような方法は取れない。
そして、四六時中何かを発信して、それに同調してくれる
仲間を探りまくる。
手に入れた情報は、それが確かなものかどうかもわからないまま、
いつの間にか自分は無くなり、右往左往するしかなくなる。
そんな状態では、組織の中で耐える力は恐ろしく弱っていく。
独自の判断もできなくなり、ひたすら原始的な欲望を本能の操るまま
追求することになる。
快感こそがすべてだ。
こうなると、海に向かって走るネズミの大群と同じだ。
大量に発生したネズミは海に向かって群れをなして走る。
ネズミは自分たちがどこへ向かっていくのか全くわからない。
ひたすら、自分たちの命を絶つために群れに遅れまいとして、
海に向かって走る。
これは現代の人たちの姿だ。
ネズミにとっての海は、今の人たちの究極の目的地だ。
そんな人たちはみんなうつ病予備軍だ。
G博士が復帰するなと訴えているのは、この大量のネズミの群れに戻るな、
という意味だ。
私はそう理解しています。
この群れから抜け出せ。
そして、独自の分野を切開いてしっかりと歩め。
そのためにうつ病は貢献してくれる。
とにかく休め。
寝ろ、寝たいだけ寝ろ。
目が覚めたら横社会へ移行する準備をしろ。
そして、「よこ社会」へ移行しろ。
G博士はそう叫んでいると、私には聞こえます。
そうすれば縦社会で見えてこないものが簡単に見えてくる。
ネットワークはそのために張れ。
その移行するための儀式がうつ病なのだとG博士はいうのです。
うつ病は縦社会から横社会への通過儀式であるから、うつ病を経過して、
新しい可能性が見えてくる。
だから、うつ病を無視すれば、それを契機として切開かれる、
新しい可能性の芽を摘んでしまうことになる。
これはもったいないと思いませんか。