前回の般若心経 一語一会で苦を生じさせる原因は老死と書きました。

苦については般若心経 空の巻その10でも書きました。


今回もうすこし書き足します。


苦を理解するには「生老病死」「苦集滅道」「知る」「十二因縁」「一切」

「全知」といったことば相互の関係を有機的に理解しておいたほうが

いいでしょう。


まず「生老病死」です。


三次元・現実の世界に存在するものはみなライフサイクルがあります。

それを「生老病死」と表します。


「生」とは生ずるということです。

「死」とは滅するという意味です。


どのような過程を経て生じ、変化して滅していくか。

それを詳しく説いたものが十二因縁です。


「知る」とは脳の働きであり、その作業です。


どのような過程を経て脳が知るかは十二因縁で説かれています。


十二因縁については般若心経 空の巻その8に書いてあります。


この知るという作業には限りがありません。

限りなく知りたい、という欲望は限りなく続きます。


欲望は達成されなくては無くなりません。


ところが、知り得たものは老死によって滅します。

さらに、その欲望の主体自身も老死という結末を余儀なくされます。


知りたいという限りない欲望が老死によって挫折を強いられることを

苦というのです。


そして、一切を知った時にはじめて、知りたいという欲望が消え、

この苦が消えるわけです。


ここで、般若心経にある五蘊皆空と照見した時に、一切の苦厄を

度した、という意味がわかってくるわけです。


「一切」については前回の般若心経 一語一会その9にも書きました。


「全知」は「一切の世界」つまり三次元・現実の世界と空の世界と

阿耨多羅三藐三菩提の世界とそれらの世界に存在するもの、

そこで起こる現象を見究める、照見するということで達成されます。


全知者とはそれを観た人ということです。


「苦集滅道」とはお釈迦様が悟りを開いた時から説き始められた真理

です。


これは通常「苦集滅道」と4文字を連ねて呼び習わされ、四つの真理

として説明されますが、こうした憶え方は意味をわかりにくくします。


これは二つの道で、苦集道と滅集道と二つに分けて読み解いた方が

わかりやすいと思われます。


次に書き並べてみると、


苦集道(俗人の歩む道)   苦滅道(聖人のたどる道)


順に十二因縁をたどる    順に十二因縁をたどる

知る               空の世界を知る

苦集               五蘊皆空を知る

老死               逆に十二因縁を瞑想でたどる

輪廻               涅槃を究竟する

転生               阿耨多羅三藐三菩提を知る

順に十二因縁をたどる    一切を知る

知る               一切の苦を除く            

苦集               転生しなくなる

老死

輪廻

転生

となります。


この苦集道と滅集道を分けるものは何なのか。


それは脳の秘密を見究めることでわかってくるのでしょう。

修行の秘訣はそこにあるのではないか。