今回は「空」です。

「五蘊皆空」の空であり、「諸法空相」、「空中無色無受想行識」の空

です。


空というのは何もないという意味や数字の零くらいに解釈していると

般若心経に書いてあることはまるでわかりません。


特に空中以下は脈絡が着きません。


「空」とは空の世界とその世界に存在するすべてのものです。


空については、般若心経 空の巻で詳しく書きました。


ここではことばの意味です。


以下は般若心経の漢訳文を見ながら読んでいただいたほうが

良いかと思います。


「五薀皆空」の空と「諸法空相」の空は同じ意味で空の世界に

存在するものという意味です。


二つの句をわかりやすくいいますと、

「五薀はみな空の世界にもある」

「すべてのものは空の世界にあるものの影である」と

いっているわけです。


影は現実の世界にあるものを影といっても、空の世界にあるもの

を影といってもどちらでもいいでしょう。

要するに、現実の世界にあるものは空の世界にあるものと一対一

で対応しているということです。


「空中無色無受想行識・・・」の空は空の世界という意味です。


ですから「空中無色無受想行識・・・」は

「空の世界の中には色(形態、形)は無く、色をつくりだす

受想行識(現実の世界にある感覚器官、脳、意識)も無い・・・」と、

読んだらいいでしょう。


つまり空中以下は空の世界のことを説明しているわけです。


その説明は「以無所得」までつづきます。


「故菩提薩埵依般若波羅蜜多」以降はまたもとの現実の世界に

立ち戻って説明が進みます。


空の世界とはわれわれが眼で見ている世界ではありません。

仮想空間といったらいいでしょう。


この仮想空間を想定しなくては般若心経は理解できません。


これをわれわれの眼で見ることのできる三次元・現実の世界だけで

無理やり説明しようとすると支離滅裂になります。


そしてすべてのことは最後の真言に書いてある。

けれどもこれは真言であるから翻訳しない、となって結局、

般若心経はわからないことが書いてある。

と一般には受け止められることになるわけです。


そんなことはありません。


般若心経はわからないことが書いてあるわけではありません。

お釈迦様からの明確な指示が厳しく伝達されているのです。


このことは般若心経 呪の巻で解明しました。


今回出てきた他のことばの意味を以下に書き記しておきます。


薀     全体を構成する部分とその集まり。

       人には色、受、想、行、識とその部分が五つあって、

       それで五薀という。

       五薀で世界全体の枠とその中にあるすべてのもの

       を生成するので世界全体という意味にもなる。


諸法   すべての存在要素。またはあらゆる存在、事物。

      法とは事物、およびその構成要素。

      諸とはすべてのという意味。


相     存在の根拠になる外面的な特徴をいう。

      物の本質に対応する姿という意味。


名・色   名は精神的なもの。色は物質的なもの。

      名・色はその二つの集まり、あるいは複合体。

      そこで両方を感覚で捉えられるようにすると、

      名は現象世界の名称となり、

      色は形態・形すなわち名に対応する存在となる。


名・色は十二因縁の一項目。

名前もない、形もないでは現実の宇宙、世界は構築できない。


人は十二因縁をたどって世界を構築、生成するのです。