今後の(諭吉札)タンス預金処理の方向性について | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

7月3日から新紙幣の流通が開始されたが、国内にはいまだ大量の旧札タンス預金が眠ったままだ。

 

多くの人が、この新紙幣への切り替えに関してさほど危機感を抱いていなかった為だと思われる。

 

諭吉札だけではなく、聖徳太子も案外眠っている。

 

市中ではまだ渋沢栄一、津田梅子、北里柴三郎の新紙幣はあまり流通しておらず、自動販売機や両替機も旧紙幣のみ対応のものが多いのが現実のようだ。

 

つまり、状況からすると今の時点ではまだ旧紙幣の現金のほうが市中では使いやすいような状況だ。

 

何度も言っているように、政府が多大な手間とお金をかけ、国民にとっては不便こそあれ何のメリットもない新紙幣への切り替えプロジェクトの本丸は、「タンス預金の炙り出し」に他ならない。

 

そして「タンス預金の炙り出し」の目的は、国民が脱税しようと目論みため込んでいた現金資産を把握し、何らかの形でそれに課税するためだ。

 

最終的には、お金というものはどこかで使用するときに表に出てくるし、使えなくなるかもしれないという不安から旧札の現金は徐々に市中に露呈していくことになる。

 

それを、明日から使えなくなるというような状況にまで追い込めば、あっという間に旧紙幣は新紙幣もしくはデジタル通貨に切り替わっていくことだろうが、それを早急に進めると国民の不安を煽りその事が最悪キャピタルフライト(海外への資産流出)を加速させ、ただでさえ弱まっている日本円の価値をさらに下げていくことになりかねない。

 

おそらくは、そういった理由でこのような当分の間は新旧札混在を容認するソフトランディング手法が取られたのだと思われる。

 

だが、いずれにせよいつかは使えなく(使いにくく)なっていくであろう旧札は、使いにくさの進行共に価値を失ってしまうので、早めに使うか、銀行に入れてしまうか、海外の銀行に旧札のまま入金できるうちに入金するかのいずれかの対処が必要だろう。

 

そのまま壺にでもいれて庭に埋めておくという方法もあるが、個人的にはお勧めしない。

 

当分の間、新旧札が混在する状況を考えると、現金で何かを買うときに旧札をなるべく使うことを心がけた方が良いだろう。

 

もし、どこかの時点で旧札から新札に両替する場合に銀行で手数料を払わされることになれば、その時点から旧札の価値は手数料分低くなると考えなければならないし、店舗で両替にかかる費用を上増しされる可能性もあるし、最悪拒否される可能性もある。

 

ありがたいことに、この政府のソフトランディング戦略のおかげで、今のところは新旧札の市中での扱いは同じで両替の手数料もかからない。

 

むしろ、現状では新紙幣のほうが使いづらいような状況かもしれない。

 

たとえば、どこかの店舗で現金支払いをするのに、今の時点では新旧紙幣が混じることになる。

 

店舗はそれを銀行に入金して売り上げ計上することになるが、入金する現金が新旧紙幣混在の場合、旧紙幣がどの客の売り上げなのかは分からなくなる。

 

だとすると、この時点でどさくさに紛れてさらに1つ前の聖徳太子札を混ぜて使えば良いのではないだろうか?

 

新旧札が入り交じることが容認されている間に、聖徳太子札も混ぜてしまえばよい。

 

自分で大量に旧札を銀行に入金するのは「タンス預金がありました」と税務署に申告しているようなものなので、止めた方がいい。

 

ましてや、聖徳太子札など銀行に本人が入金しに行った場合は、あやしい取引として間違いなく報告される。

 

海外の金融機関では聖徳太子札は既に入金不可だが、おそらくしばらくの間は福沢諭吉札は入金もしくは両替が可能ではないかと思われる。

 

今週の時点では、HSBC香港ではまだ旧札は入金できているようだが、渋沢栄一札を入金したひとの話しはまだ聞いていない。

 

海外にある日本円の現金が、どういう風に新紙幣に入れ替わっていくのかは今のところ分かっておらず、想像するしかないが、どこかの時点で突然一方的に旧紙幣の入金は断られると考えた方がいいだろう。

 

それがいつになるのかが分からないのが問題で、しばらく渡航できる可能性がないというひとは、インターバンクなど国内の両替所で米ドルか香港ドルの現金に両替しておくことをお勧めする。

外貨両替インターバンク|ドル・ユーロ・ポンド等のお得な両替レート (interbank.co.jp)

 

インターバンクでも、いつまで旧紙幣が外貨に両替できるかは分からないが、今のところはまだ両替可能なようだ。

 

いずれにせよ、100兆円もあるといわれるタンス預金があぶり出されて課税対象となる計画は着々と進んでおり、マイナンバーもデジタル化の推進も世界の流れからは遙かに遅れた日本人の現金信奉主義から解脱させ政府が国民の資産とその流れを全て把握するための計画の一部に過ぎない。

 

おそらく日本政府が計画しているタンス預金の炙り出しには数年の月日が必要だと思われるが、それを政府としては慌てる必要がないのは、急速に進行する円安と無関係とは言えない。

 

日本円の価値の暴落とともに、タンス預金を含む高齢者が銀行にブタ積みしている預貯金の価値が下がっていくだけであり、同時に国の借金も目減りしていくわけなので、政府としては預貯金が特に海外に流出さえしなければ預貯金は動かずに死蔵され続けるのがベストだ。

 

仮に円安やインフレが進み続けて恐れをなした預金者が、外貨預金にお金を回し始めたとしても、ペイオフのない外貨預金は最悪銀行が破綻しても預金者は保護されない。

 

新紙幣が流通し始めた今の時点でわかったことは、国民にとって何のメリットも無い新紙幣発行に伴う新旧札の入れ替えは、もしメリットがあれば迅速に行えるが、訴求できるメリットが何もないのでなし崩し的に時間をかけて行われようとしているということだ。

 

この執行猶予的に与えられた時間を如何に有効に活用して福沢諭吉札を決別していくのかが、タンス預金保有者にとって火急の課題だが、「間違っても海外に持ち出すのだけはヤメテヨネ」というのが政府の本音だろう。