香港国家安全法制定から4年が経ち今の香港はどうなっているのか? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

世界的なコロナパンデミックの始まりから、香港で国家安全維持法が制定されて3年が経つ。

 

コロナの収束と渡航の自由化からまだ1年しか経っていないが、今の香港はどうなっていると日本人は思っているのだろうか?

 

未だに香港で仕事をしていると日本の友人に話すと、「大丈夫ですか?」と心配される。

 

私は「何が大丈夫か心配なのですか?」と問い返すが、多くは「中国化が進んでなんか怖いのではないのですか?」というような漠然とした印象に基づく回答が帰ってくる。

 

確かに、あれから6月4日の「天安門集会」のように毎年行われてきた政治的なデモは一切行われなくなった。

 

そういうものに参加していると、一瞬で逮捕されてしまうからだ。

 

そう考えると怖いと言えば怖いのかもしれない。

 

しかし、そんな怖いと思われる言論の自由が規制された香港に住んでいる私の目から見れば、日本という国もまあまあ怖い。

 

安倍元首相が暗殺?されてから2年が経つが、

「殺人や銃刀法違反などの罪で起訴された山上徹也被告(43)の裁判員裁判がいつ奈良地裁で開かれるのか、めどは立っていない。山上被告が犯行に至った境遇や凶器となった手製銃の法律上の位置づけなどを巡り、水面下で検察側と弁護側の駆け引きが続いているとみられ、初公判が来年以降にずれ込む可能性も高くなってきた。」ということらしくなんだか2年も経って真実も明らかにされないまま裁判もグダグダになっているようだ。

 

日本という国も、平和そうで平和でない、そして政府や公安が都合の悪い人間を消し去ってうやむやにできてしまう恐ろしさを秘めている。

 

特に、メディア統制のような仕組みは技術的に中国政府が行っている事の上を行っている気がしなくもない。

 

資本主義国家においても、国が治安を維持していく為には時に非人道的な行為が行われるのに変わりはない。

それがわかりにくいのが日本の問題だ。

 

特に最近は日本でも、ネット上での言論規制は、差別やいじめの排除を建前上の目的とした漠然として道徳上の基準や、誹謗中傷の法的違法性といった観点から相当強化されてきており、好きなことを自由に発言することは非常に危険だ。

 

基本的にどちらに正義があるかとか正しいのかなどはどうでも良く、その表現の結果相手がどう感じるか?だけが問題となっている。

 

銀行預金の安全性についても、香港の銀行にあるお金が、日中関係が悪化すると中国政府によって差し押さえらるとか?凍結させられるというようなことを言う人もいるが、それは馬鹿げている。

 

深圳や上海など中国本土の銀行口座に預けてあるお金ですら、おそらくそのようなことにはならないだろう。

 

過去10年の間には、中国でも反日デモがあったりして日系企業は随分と離脱してしまったし、当時中国本土の銀行口座を持っていた人も殆ど口座閉鎖して人民元を引き上げてしまっているようだが、1RMB=10円くらいの時に預けていた人民元の現地預金を今まで持っていた人がいれば今は1RMB=22円なので日本円では倍になっていてウハウハだろう。

香港の銀行にある香港ドルでも同じ事だ。

 

世界的インフレの中で、当然の如く進行する円安によって日本の銀行にあるお金は日に日に腐っていく。

腐る度合いは場合によっては1日に1%くらい腐っていくが、銀行の預金金利はまだ年に1%もないので、置いておけばどんどん腐っていく。

 

それが、どれくらいの期間でどれくらい腐っていって使えなくなるのかという賞味期限(消費期限)は分からないが、日に日に少しずつ腐っていっていることは事実だ。

 

そんな状況下で、新しいデザインのお札を発行し、タンス預金の炙り出しやキャッシュレス化(通貨のデジタル化)を推進しようなんていう意味不明なイベントをやるなんて気が触れているとしか思えないが、こういう発言もメディア的には規制の対象だろう。

 

自分の住んでいる国と、他の国を比べるときに、自分の国が良いように思いたいというのはどこの国でも同じだが、日本という国のメディアは、他の国の政治や経済や国民性のことを悪く言うことで間接的に国民が日本は良い国だと認識できるように情報を操作させられているように感じられる。

 

ただ、治安に関しては、一見安全そうな日本は、海外で驚くほど技術が進化しているハッカーによるネット犯罪(サイバーテロ/サイバー詐欺)に対してはかなり脆弱であり、ステルスSNS言論統制などやっている暇があったらそちらをもっと強化するべきだろう。

 

多くの日本人が心配する、香港の金融機関におけるセキュリティーは、中国やロシア系のサイバーテロやマネーロンダリングの進化した技術に対応してより強固なものとなっており、それ故そのレベルについて行けない顧客からは逆に敬遠されるほどだ。

 

HSBC香港に限らず、ハンセン銀行も、英国系スタンダードチャータード(スタチャン)を始め、citi香港も中国系の中国銀行(BOC)もICBCも新規の非居住者口座の開設に関しては以前のようなウェルカムさはもうない。

 

良質な顧客だけを選りすぐり、その顧客を各銀行が有利な条件を出し合って取り合っている。

 

その際、持っているお金の量だけでなく、そのお金の質も問われることになる。

 

かつての香港では、現金の取り扱いが多かった為か、現金による出入金はゆるゆるだった事もあるが、今はマネーロンダリング対策が強化されたため、10年前と比べれば随分と堅苦しくなっている。

 

まあ、簡単に言えばコンプラが厳しくなっただけのことだ。

 

中国ですらキャッシュレス決済は全体の80%に達しており、その殆どは銀行と連動したWeChat Payによりものだ。

 

香港でも、通常の取引はほぼ非現金化されており、今後の課題はBTCやUSDTのようなデジタル通貨の取り扱いだろう。

 

最近ではBTC連動のETFが香港でも取引可能になったり、ITAではBTCのETFをポートフォリオに組み込めるようになったりなど、オフショア金融センターでも徐々にデジタル通貨取引に対応しつつあるものの、安全性やマネーロンダリング防止の観点から自由化にはまだ時間がかかりそうだ。

 

この先の金融センターとしての香港の未来は、日本で報道されているような過去の経済遺跡どころか、国際的なデジタル金融センターとして新たなステージに向かうに違いない。

 

中国政府としても、そうならなければ香港の利用価値が乏しくなる。