2023年12月20日に日本銀行が発表した「速報:資金循環統計(2023年第3四半期)」によると、
2023年9月末時点のタンス預金は105兆7392億円と、家計における資産(現金・預金)のうち約1割がタンス預金となっている。
はたしてどうやって割り出しているのかは謎だが、たぶん発行している紙幣の数から差し引きでわかるのだろう。
しかし、以前は60兆円くらいと言われていたタンス預金が、もともともの私の推測と近い100兆円以上に増えたのは気になる。
政府としては、このタンス預金100兆円が海外に流出するようなことがあると最悪だが、今の時点で動いていないとすればもう時間切れで流出はほぼないという判断かもしれない。
新しい渋沢栄一札が発行されるのは今年7月の予定だが、そうなると7月以降は旧札となる諭吉札を海外に持ち出して入金することも両替することもできなくなる。
海外の銀行がいつまで現行の諭吉札を受け入れてくれるのかはわからないが、徐々に絞っていくだろう。
もし、今からまとまったタンス預金を海外に疎開させるならば、6月頃までがタイムリミットかもしれない。
物価の番人である日銀にとって円安は困ったものだが、財務省としては別に円安になっても構わないというスタンスを取っているように見える。
新NISAを通じてS&P500やオルカンなど、海外ファンドに資金が流れるのも円安を推進するということが言われているが、国内の外貨建て定期預金や保険会社のドル建て商品などUSドル建ての金融商品に資金が流れても円安は進行する。
「新しいNISA(少額投資非課税制度)が始まって1カ月がたった。投資信託の動向をみると、外国株式で運用する投信への資金流入が目立つ。外国為替市場では、個人の海外投資意欲の高まりが時間をかけて円安・ドル高圧力をもたらすとの見方が出ている。
新NISAが始まった1月、外国株式で運用する主なインデックス(指数連動)型投信には大量の資金が流れ込んだ。」(2024年2月2日日経電子版より)
米政府の圧力で米国株式市場を買い支えるように言われているのかもしれないが、不可解ではある。
ただ、タンス預金を含む現金預金が物理的に海外に流出するのと、国内で米ドル建ての金融商品に資金が流れるのとでは深刻さの度合いは異なるように思う。
信用不安により国内の銀行から人々が預金を引き出すいわゆる「取り付け騒ぎ(Bank Run)」というのがもっとも恐れるべき事態であり、それが発生すれば政府は間違いなく預金封鎖を行う。
しかし、特定の銀行の日本円の預金が、その銀行の投資口座で外貨建て資産に投資されても、資金が物理的に流出しているわけではないので、円安は加速するかもしれないが銀行の信用不安には繋がりにくい。
ただ、いずれの場合も円安を後押しする方向なので、この先も円安が進めば、どこかでそれに気付いたひとは海外への資産疎開を考えるかもしれないが、大半の人がその事に気付くときにはもう手遅れというのことになるのだろう。
たとえ、カルトだとか変人だと言われても、確率的に助かる人は0.1%くらいしか居ないことを考えると、助かりたければ行動を起こした方が良いうに思う。
私の中では、警報級の話しだが、この話しをあまりに多くの人が信じて行動を起こすような事があればそれが預金封鎖の引き金になりかねない。
プロジェクト・キャピタルフライト(PCF)は最後の段階に入った。