防衛費の増額と増税ってホントに必要なの? | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

日本を取り巻くヤバい国々の軍拡競争に巻き込まれ、日本政府も防衛費を増額し、進化したミサイル兵器に対応しうる防衛力を短期間で配備しようと突然舵を切ったようだ。

国民世論も、日本お得意の空気感的には防衛力の強化に対して概ね賛同しているような雰囲気ではあるが、予算に関して増税で賄うという方針に関しては否定的な意見も多い。

 

「政府は2023年度から5年間で投じる約43兆円の防衛費に関し、毎年度均等ではなく前倒しで増やしていく方針を固めた。初年度の23年度は、22年度当初予算の約5兆2千億円(米軍再編経費を除く)から約6兆5千億円に増額する。関係者が12日明らかにした。財源の一部を賄う税制措置は、法人税とたばこ税の増税、復興特別所得税の転用を組み合わせる案で与党が調整を進めている。」

 

ロシアや中国、北朝鮮の動きを見ていると、「日本も本腰を入れて防衛力を強化しないと何が起こるかわからん!」と思ってしまいがちだが、果たしてそれらの国の軍事的脅威に対して、日本が防衛費(軍事費)をいくら突っ込んで、最新の兵器を装備しまくったとしても、国家の安全がそう簡単に手に入るものなのかは疑問だ。

 

防衛力(軍事力)=防衛費(軍事費)ではない。

 

ビジネスにおける営業力を軍事力だと考えれば、とある企業の、ある商品市場における競争が激化し競合に推されて売り上げが低下した場合、商品力や営業力を強化して市場におけるシェアを守らなければならない。

 

役員会議で社長が、「競合他社に押されて売り上げがガタ減りなので、このままでは我が社の未来はヤバい。営業力を強化するために来年の営業費を倍にします!」と言っているようなものだ。

 

営業費を倍にして、営業マンの数や給与額を増やしても、売り上げが上がるとは限らない。

広告費を倍にしても、売り上げが上がる保証は無い。

より競争力の高い商品を開発するために開発費を倍にしても、売り上げやシェアが改善できる保証は無い。

 

上記は、いずれも社員が一丸となって取り組み続けなければならない組織的課題であり、それにかかる予算を増強したからといって実現できるものではないばかりか、収益が落ちているのに予算を増額することで成果が得られなければ会社は最悪倒産する。

 

会社の場合、営業力は営業費でも営業マンの数でもなく、トップ1割の営業の能力と他社の追随を許さない優れた自社商品の開発、全社員の高い営業スピリットが戦力としては重要であり、国の防衛に関しても、国民の高い防衛意識、世界トップレベルの兵士と世界最強の兵器が防衛力(戦力)を決定するのだろう。

 

いま、日本で行われている「防衛費増額論争」には、「防衛論」自体に関する議論が欠如しており、中身が感じられない。

あたかも、名目に関わらず増税を国民や企業に受け入れさせる為のブラフのようだ。

 

防衛力の問題と防衛費の問題は、まずは防衛力強化の必要性や有効性についての議論が先にあるべきであり、防衛費を増額するという予算の問題が先に国会で決まってしまうのは明らかにおかしい。

 

こんな事でも暴動が起こらない日本という国は、いったいどうなっているのか心底不安になる。

 

防衛力の強化=防衛のための軍事力の増強というものが、今本当に必要なのかどうかの国民とのコンセンサスが最も重要であり、それを国民が判断するための材料として、国家の軍事的危機の度合いと、どうすればその危機を回避することが可能なのか?もしくは回避不可能なことは何なのか?ということを具体的に提示してもらうことが必要不可欠だ。

 

あの北朝鮮ですら、100発近いミサイルを日本海に向けて試射?することによってミサイルの性能は上がってきている。

少なくとも日本はそのミサイルを一発たりとも迎撃できていない。

防御率0/100だ。

 

北朝鮮のミサイル実験は、日本をターゲットにしておらず、米国本土に圧力をかけるものなので脅威ではないと言われているが、間違って日本に落ちる可能性はゼロではない。

 

 

少子化問題と同じく、日本の防衛問題は、予算を増やしたから解決するような簡単な問題ではない。

 

長年に渡り、戦争や他国からの侵略というものの脅威から目をそらし続けていた我々日本人が、その危機を認識し、国家の防衛に目覚めるためには、憲法9条の改正も含めて、多くの改革を受け入れ、場合によっては徴兵制度や、国民皆兵制度のようなほとんどの人が受け入れないであろう現実的な防衛制度の実現、都心部での核ミサイルに対応しうる地下シェルター整備など、生々しい変化を想定しなければならず、数年で成り立つものとは思えない。

 

国家が軍事費として、GDPに対して何%を費やすことが妥当であるとか、まるで経典によれば宗教の献金額の基準が年収の何%であるべきだ!みたいな論理と同じレベルに感じられる。

 

もし国の意図が、「防衛力の早急な強化実現」という国家の危機をぶら下げたブラフのもとに、実は別のところにあると考えた場合、このタイミングでの防衛費の増額と増税のセット提示は、企業の「賃上げマインド」を低下させ、「賃金・物価スパイラル」の発生を遅らせることが目的なのかもしれない。

 

或いは、より激しいインフレに見舞われている米国の経済を救済する為の「米国製兵器購入プレッシャー」に首相が応じているだけかもしれない。

 

いずれにしても、防衛費の増額が防衛力の強化に繋がるかどうかよりもプライオリティーの高い目的があるように思われる。

 

新型コロナウイルス対策の為に、日本政府が海外から購入したワクチンは2.4兆円を超えるそうだが、防衛費増額によって主に米国から購入されるであろう兵器はいくらくらいになるのだろうか?

 

仮に100歩譲って、防衛力の強化が必要であり、それには防衛費の増額が不可欠であるとしても、防衛費の問題は国の財政の問題であり、国の経済と国民の生活に関わることだ。

 

ワクチンでもそうだが、もし国内で有効なワクチンを開発・生産することができたなら、ワクチン国債の発行によって全て費用を賄ったとしても、国の経済には影響が無かったのではないかと思われる。

 

防衛費に関しても同様に、100%国内開発し、海外からドル建てで兵器を購入しなくても良いのであれば、無期限の防衛国債を発行して10兆円くらい用立てれば良いのではないだろうか?

 

増税によって国民から円で徴収される予算で、米国から兵器をドル建てで購入するのであれば、今後益々円安・ドル高が進むだけだ。

 

防衛費の増額に関しては、100%国債の発行で賄い、少なくとも増額分の予算は100%日本国内で国産の兵器開発に投入するというのであれば、賛成しなくもない。

 

自衛隊も民営化して(株)SDFにして上場させればよい。

 

トヨタやソニーに、世界で最強のドローン兵器を開発させ、学校ではドローン操縦の技術を必須にし、来たるべき総力戦に備えるべきだろう。

 

三菱重工にはモビルスーツの開発を・・・。

 

これによって日本の経済は奇跡的な復興を遂げる・・・かな?