「ジャベリン」対戦車ミサイルによってウクライナがロシア戦車の墓場と化す | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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FGM-148 Javelin(ジャベリン)というアメリカ製の対戦車ミサイルがウクライナの攻防戦で大活躍のようだが、対戦車ミサイルという基本的に人間が運んで戦車をやっつけるという地味な兵器の活躍を目の当たりにすることは非常に珍しい。

 

武器マニアの私にとっても、対戦車ミサイルというのはあまり身近なものではないし、できれば撃つ側でも撃たれる側でも一生関わりたくないタイプの武器だが、メディアでも繰り返しジャベリンという名前が出てくるのでその活躍ぶりには注目せざるを得ず、ちょっと調べてみた。

 

歩兵にとって敵側の戦車は圧倒的な脅威であり、味方側に同数の戦車や空からの支援がなければ戦にならないはずが、兵士が担いで運ぶこの筒状の携帯型ミサイル兵器がロシアの戦車を叩きまくって足を止めているという戦況は興味深い。

 

ロシア軍にとってもこのような展開は予想外だったとも言われているが、こんなもんが大量に待ち構えているところに戦車で侵攻させられるロシアの兵士にとっては間違いなく脅威(恐怖)であるに違いない。

既に300両を超えるロシアの戦車がこの対戦車ミサイルによって破壊されたと言われているが、その中では生身のロシアの戦車兵が無残に爆死している。

 

この状況下では、戦車部隊によるむやみな進軍は自殺行為なので、ロケット弾や迫撃砲による遠隔からの都市部への無差別攻撃に出ているというのも成り行きとは言え仕方ない気もする。

 

そもそもロシアが空爆ではなく戦車部隊と歩兵による侵攻をしている理由は、極力都市の破壊と人民への無差別攻撃を避けるためだったのではないかと思われるが、この戦車対ジャベリンミサイルの戦いはロシア側に戦術核や化学兵器といった禁じ手を使わせるように仕向ける結果になりはしないかと懸念される。

 

各国によるほぼ無制限の武器供与を受けてウクライナがこのようなジャイアントキリング的抵抗を続ける限り、この戦いは長期化して泥沼化する。

互いに死者は増え続け、憎しみにはレバレッジがかかる。

この悪循環を早めに断ち切る為には、講和により双方が譲歩する必要があるだろう。

しかし、ロシア対世界という戦いを西側諸国がウクライナに押しつけている限り、講和が成り立つとは思えない。

 

さて、FGM-148「ジャベリン」という対戦車兵器のスペックについてだが、アメリカ陸軍のFGM-77ドラゴンの後継としてテキサス・インスツルメント(現レイセオン・テクノロジーズ)とマーチン・マリエッタ(現ロッキードマーチン)によって開発された携行対戦車ミサイルで、米陸軍だけでなく海兵隊にも採用され、世界各国に輸出されている優れものだ。

米国防総省の2021年予算によると、発射指揮装置とミサイルを合わせた価格は17万8000ドルで、追加のミサイルは1発7万8000ドル前後とのこと。

 

ジャベリンの弾頭には爆発反応装甲対策にタンデム2段式のHEAT弾頭が搭載されており、戦車に着弾するとまず小さなサブ弾頭が爆発し、その後により強力なメイン弾頭が爆発して装甲を貫通する。

特に、弾頭の爆発を分散させて被害を食い止める爆発反応装甲を備えたロシアのT90戦車など、最新式の戦車の装甲を貫通する能力を持つ。

また、対戦車攻撃時には発射直後から最大で高度160m程度まで上昇してトップアタックを行うため、戦車の弱点である装甲の薄い上部を攻撃可能で、現代の戦車はこの手のミサイルに対抗出来ないと思われる。

固定目標などを狙う際にはダイレクトアタックモードが使用され、この時には最大で高度60m程度まで上昇する。

メーカー発表によれば敵側戦車に致命傷を与える確率は93%、命中率は94%という高ヒット率を誇る。
三脚にて地上設置して使った場合での最大有効射程は4000m、歩兵が携帯する場合の射程は2500mとされており、目標をロックオンすると熱線画像イメージ(熱を発する物体を画像化する)をミサイルが記憶するので、発射したら誘導し続ける必要はなく、その場を逃げ出せる「撃ちっ放し」が可能。

欠点としては携行ミサイルにしては総重量が22.5kgと重いため2人で運用しなければならない点と、熱源を感知する「シーカー」を発車前に冷却するための時間が状況によってはかなり長くなるという点が指摘されている

 

まさにウクライナにとっては「守護天使」と呼ぶにふさわしいゲリラ戦向き高性能携帯兵器と言える。

 

ウクライナは2021年末時点でこのジャベリンの発射機377基、ミサイルを1200発をもともと保有していたとされているが、ゼレンスキーは現在1日に500基の追加援助を各国に要求しており、すでに援助されたものを含めると相当な数を保有していると考えられる。

 

米国や他のNATO諸国は3月7日までに約1万7000基の対戦車ミサイル、約2000基の対空ミサイルをウクライナに送ったとされており、英国も22日、対戦車ミサイルや高性能爆薬兵器を含む6000基のミサイルを新たに支援すると発表している。

 

3/16の発表では、米国から追加で提供される軍事装備品は携帯型地対空ミサイル「スティンガー」800基、対戦車ミサイル「ジャベリン」2000基などとされている。

 

一方、イギリスが供与した対戦車ミサイルは「NLAW(Next-generation Light Anti-tank Weapon)」というスウェーデンと共同開発されたモデルで、ロシアのウクラライナ侵攻直前に2000基のNLAWがウクライナに提供されたとされている。

NLAWは日本ではあまり知られていないが、ジャベリンが距離150m以上でなければトップアタック攻撃を行えないのに対し、NLAWは距離20mでそれが可能。NLAWはジャベリンと異なりミサイルの再装填ができない完全使い捨てであることと、赤外線画像誘導式ではないが、その分重量は12.5kgと軽く、射手1人で攻撃を行うことが可能となっている。

ジャベリンとNLAWという、特徴の異なる2つの対戦車ミサイルを組み合わせた巧みな攻撃により、ウクライナ軍はT-72B3Mを含めた多数のロシア軍戦車を撃破しているようだ。

 

ちなみに、日本の自衛隊にはジャベリンは配備されていないが、国産の「軽MAT」ミサイルがある。

 

01式軽対戦車誘導弾は84mm無反動砲の後継として開発された国産携行対戦車ミサイルである。

別名ATM-5で、通称「軽MAT」と呼ばれている。外観や仕様を考えるとジャベリンによく似ているが、細かい部分で異なっていたり日本独自の新技術も導入された。1993年より川崎重工を主契約として開発が開始され、2001年に正式採用された。

構造はジャベリン同様使い捨ての発射筒とミサイル本体からなる部分と照準機部分で構成されている赤外線画像(IIR)誘導式対戦車ミサイルである。

重量は17.5kgとジャベリンやイスラエルのSpike LR/MRなどの類似のシステムと比べても軽量で、一人での運用が可能となっているが、価格は1セット8000万円以上とジャベリンの2000万円と比較して4倍の高価なものとなっている。

 

「ジャベリン」と聞いて、Vガンダムに登場したRGM(ジム)系列の延長線上に位置する量産型汎用MSであったRGM-122ジャベリンを思い浮かべるあなたは、結構なガンダムヲタクだと言えよう。

アナハイム・エレクトロニクスがジェムズガンのフレームをベースに開発した宇宙用高出力機。

元々ヘビーガンから性能を落とすことなくメンテナンスを簡素化することを目標として計画されたジェムズガンの開発途中から、宇宙用高出力機を新たに開発することになり、それにより生まれたMSである。

オデッサ作戦といいジャベリンといい、何かとガンダムネタに絡むウクライナ危機だが、現実に沢山の人たちの命が毎日失われていく戦争がいち早く終結に向かうことを祈るばかりだ。