その着せ替え人形は恋をする(着せ恋) | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
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ひな祭りにちなんで『その着せ替え人形は恋をする』という今年の1月から放映されているアニメを紹介したい。

 

原作はヤングガンガンコミックス。略称は『着せ恋』。

 

なぜひな祭りの日にこの作品を紹介するか?というと、主人公の五条新菜(ごじょうわかな)という高校生が、老舗人形店「五条人形店」の人形職人であるじっちゃんの作品に憧れて雛人形職人を目指しているということから、あまり知ることのない雛人形の製作風景や、いちばん難しい顔を作る「頭師(かしらし)」という職人の仕事について知ることができるからだ。

 

日本にこの頭師という職人は実際にどれくらい現存しているのだろうか?

雛人形というものには縁がなかったので、それをつくる職人のことを私は考えたことがなかった。

石倉のひな人形のHPでは、製作方法や頭師が紹介されている。

お顔について | 石倉のひな人形 (ishikuraningyou.com)

 

知らなかったが、頭師(かしらし)の読みには隠語でペテン師というのもあるようで、あまりの巧妙な頭師の技術からそう言われるのかもしれない。

ちなみにペテン師のペテンというのは中国語から来ているようだ。

 

この作品のカテゴリーはあくまでラブコメであり、雛人形職人という伝統的で地味な職業にフォーカスするだけではスポ根的にはできてもラブコメにするのは至難の業だったと思われる。

 

雛人形職人を目指す高校生が、ひょんなことでコスプレ大好きレイヤー美少女のヒロイン喜多川海夢(きたがわまりん)のコスプレ衣装を作成する羽目になり、そのヒロイン(着せ替え人形)が主人公に惹かれていくという雛人形職人Xコスプレという強引な2重軸を設定し、そのなかでレイヤーさんの世界を中心にラブコメが展開されるというひねりまくった設定となっている。

 

主人公の五条新菜は、子供の頃にじっちゃんの作った雛人形の美にとりつかれるが、幼いころに仲良しだった女の子に自身の雛人形趣味を否定され絶交された苦い思い出があり、そのトラウマから自分の趣味や気持ちを隠すようになり、海夢(まりん)との接点ができるまで友達と呼べる相手もまったくいなかった。また、初めて雛人形を見た時の感動から「奇麗」という言葉が特別な物に対する言葉となり、心から思った時でないと言えない。

 

新菜(わかな)にとっては、その時に感じたじっちゃんの雛人形の美=綺麗がデフォルトとなり、雛人形の頭師(かしらし)を目指すモチベーションになるが、その拘りがコスプレ衣装の製作に遺憾なく発揮され、レイヤーの心を惹きつける。

 

主人公の美の原点を雛人形に持ってきて、コスプレ好きのレイヤーを人形に見立ててることで雛人形とコスプレの世界を結びつけている訳だが、美の原点が雛人形の顔というのがなかなか新鮮だ。

 

雛人形の製作も、コスプレの衣装作りも、そこに美や綺麗に対する強烈な憧れや拘りがあってこそ実現する夢なのだろう。

 

ラブコメ的には、奥手で真面目で職人気質の新菜(わかな)と社交的で人気者の海夢(まりん)という真逆な2人がコスプレ衣装製作を通じて理解し合って惹かれていくという、まさに職人が手をかけて作り上げた人形が自分に命を与えてくれた職人に恋をするというロマンスであり、異質のものが共通の何かを通じて溶け合っていくところが見所。

 

しかし、改めて雛人形っていうものは買ったことがないが高いものなんだと思い知らされる。

ペアの最小セットでも10万くらいするし、2段以上は20万円を超える。

 

年に1回しか出番のない人形にそれだけの費用をかけられるのは今や富裕層だけかもしれない。