本当の愛国者は日本に居てはならないのかもしれない | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

 

日本という国を心から愛する本当の愛国者は、このまま日本に居てはならない気がする。

 

日本にずっと住んでいたら、日本の事を嫌いになってしまうことが沢山あるからだ。

 

日本人だし日本が好きだから日本に居たいと考えているひとは多いと思うが、その多くは恐らく今後その事を後悔し、日本を嫌いになってしまうだろう。

 

愛すれば愛するほど、その国が堕落してダメになったときの絶望は大きい。

 

人間でも、愛する人が堕落してダメになってしまい救いようがないときに、愛しているからそばに居るべきだという考えでは、結果として憎しみしか残らない。

時には距離を置くことが必要だ。

 

日本を愛するということは、日本という国の自然や歴史や文化を愛し、そこで育まれた日本人の人間性を愛するということだろう。

 

このままでは、この美しく愛すべき日本という国は、日本にしがみつかなければ生きていけないと思っている流動性(国際性)のない多くの国民と共に亡国となってしまいかねない。

 

日本を離れて、日本人として外国で生きるという選択肢を特に若い人は真剣に考えるべきだろう。

場合によっては、外国籍を取得してでも海外に出た方がよい場合もある。

たとえ日本国籍を破棄して外国籍を取得したとしても、人種として日本人であることには変わりない。

 

今年、ノーベル物理学賞を受賞した90歳の真鍋淑郎さんも、アメリカ国籍を取得してアメリカで研究を続けてきた人だ。

 

私の兄も、日本国籍を捨ててフランスの政府機関で地球物理学を研究している。

あまり詳しくは知らないが、真鍋さんの研究と似た気候変動モデルみたいなものを物理学的に研究をしているようだ。

スーパーコンピュータを活用して、朝から晩までなんだか素人には理解できないような計算をし続けているイメージだ。

高視聴率を記録した「日本沈没-希望の人」に出てきた田所博士のような感じかもしれないが、ああいう人は日本では受け入れられにくい。

わたしの兄も、ある種の天才には違いないが、残念ながら日本では活躍する場が与えられなかった。

 

何も国籍まで捨てる必要はないと思うが、海外に根を下ろしてそこで日本人としてやるべき事や、自分のやりたいことを真鍋さんのように何十年も続けていくということは、その国に認められて移住する必要があり、誰でも簡単にできることではない。

 

真鍋さんのように米国に渡る日本人研究者は少なくないが、学術分野でそれなりの実績があれば永住権(いわゆるグリーンカード)を比較的容易に取得できるので、研究生活を送る上での不便はほとんどない。それにもかかわらず米国籍まで取得したという現実を考えると、米国に骨を埋めたいという強い思いがあったと推察される。

 米国籍を取得した理由について問われた真鍋さんは、日本の社会環境が研究成果にマイナスになるという現実について、冗談を交えながらも鋭く指摘している。

 真鍋さんは会見で、「日本では人々はいつも他人を邪魔しないようお互いに気遣っています」「日本で『はい』『いいえ』と答える形の質問があるとき、『はい』は必ずしも『はい』を意味しません。『いいえ』の可能性もあります」とし、日本における同調圧力について違和感を示した。

 さらに「アメリカでは自分のしたいようにできます。他人がどう感じるかも気にする必要がありません」「アメリカでの生活は素晴らしいです。アメリカでは自分の研究のために好きなこと(中略)ができます」と述べ、米国籍を取得した理由について明確に説明している。

研究者というのは独創性が必要な仕事なので特殊だという意見もあるだろうが、そうではない。

近年、日本の閉鎖的な社会慣習が学術研究はもとより、新しいビジネスの創出など経済面においてもマイナスになっているとの指摘は多い。

 

2017年に「わたしを離さないで」でノーベル文学賞を受賞した長崎出身のカズオ・イシグロ(石黒一雄)さんも、1983年にイギリスに帰化しているイギリス人小説家である。

 

石黒さんは、ノーベル文学賞の受賞後にインタビューで、「予期せぬニュースで驚いています。日本語を話す日本人の両親のもとで育ったので、両親の目を通して世界を見つめていました。私の一部は日本人なのです。私がこれまで書いてきたテーマがささやかでも、この不確かな時代に少しでも役に立てればいいなと思います」と答えている。

 

海外に出て外国人としてその地で骨を埋める覚悟で活躍している日本人の心の中にも日本を愛する気持ちがしっかりと根付いている。

 

日本に居ることが悪いのではなく、日本人としてその才能を活かして活躍するために日本と言う国の社会体制がそぐわないのであれば、活躍できる場を求めて海外に出るべきだろう。

 

そのことが、未来の日本をきっと救うことになるのだろうから。