忍び寄るOECDのCRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報の自動的情報交換 | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!

※OECDが推進するCRS(共通報告基準)の意図をわかりやすく説明したムービー。

 

シンガポールのプライベートバンク(ジュリアス・ベア)から、「シンガポール政府は16日正式に日本と自動情報交換条約を交わしましたのでご報告いたします」との情報がきた。

この条約に基づき、シンガポールでは2017年度から情報集積が開始され、2018年5月にはデータが送信され、9月には最初の情報交換が発生する予定とのこと。

Please note that Singapore has entered into a bilateral tax information exchange agreement with Japan on 13 Oct 2016. More details can be found on Singapore Inland Revenue Authority’s website below.

 

以下、シンガポールIRASのHPより

https://www.iras.gov.sg/irashome/CRS/

 

以下、国税庁のHPより

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/campaign/h28/Jul/02.htm

【「共通報告基準(CRS)」に基づく自動的情報交換の概要】

外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するため、平成26年にOECDにおいて、非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」が公表され、日本を含む各国がその実施を約束しました(平成28年5月現在、101か国・地域が実施を約束)。

この基準に基づき、各国の税務当局は、

1自国に所在する金融機関等から非居住者が保有する金融口座情報の報告を受け、

2租税条約等の情報交換規定に基づき、その非居住者の居住地国の税務当局に対しその情報を提供します。

 

【日本の対応】

平成27年度税制改正(平成29年1月1日施行)により、平成29年1月1日以後、新たに金融機関等に口座開設等を行う者等は、金融機関等へ居住地国名等を記載した届出書の提出が必要となります。

国内に所在する金融機関等は、平成30年以後、毎年4月30日までに特定の非居住者の金融口座情報を所轄税務署長に報告し、報告された金融口座情報は、租税条約等の情報交換規定に基づき、各国税務当局と自動的に交換されることとなります(※)。

 

※ 日本から外国に対して情報提供を行うとともに、外国から日本に対し、その国の金融機関等に保有される日本居住者の金融口座情報が提供されることとなります。

 

*****

 

さあ、このように世界は、脱税目的で自国からタックスヘイブンへのキャピタルフライトを防ぎ、資産を囲い込む方針を着実に進めているが、現実の運用はどのようになるのだろう?

 

世界中の個人や法人の金融口座情報を共有する目的のデータベースの構築と言うものが、どれほど危険な行為なのか?本当にわかっているのだろうか?

こんなモノが実現した次に来るのは、世界中の人間のDNA情報を犯罪防止のために共有するデータベースなんて事になりかねない。

 

まさに、アニメ「ヨルムンガンド」もしくは小説「プラチナデータ」の世界だ。

 

こういうものはすべからく、「権力者や為政者の情報は共有されない」というおまけ付きのシステムであり、だからこそ支配される側の我々にとって非常に危険なパンドラの箱であると言える。