IFAのサポート力について | Mr.Gの気まぐれ投資コラム

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50代グダグダちょい悪おやじMr.Gの趣味と海外投資に関するコラムです。
香港を拠点に活動する個人投資家であり、自称「投資戦略予報士」Mr.Gがお伝えする海外投資の生情報。
ねだるな勝ち取れ、さすれば与えられん!



RL360(ロイヤルロンドン)やインベスターズトラスト、ageas(アジアス)、Sun Life(サンライフ)などオフショアや香港の投資商品や保険を購入する際には、IFAの選択が重要だといわれるが、そもそもIFAとは何なのか?IFAを比較する上で、そのサポート力はどのような観点で見極めねばならないのか?

海外の投資商品購入に関して、IFAの選択が重要であるということは事実だ。

もし、上記のようなブランドもののオフショア投資商品を勧められたり、その情報を誰かから聞くことがあれば、その背後には必ずその商品を仲介するIFAと呼ばれる海外に所在する特定の仲介業者の存在があると考えられる。

なので、巷にある「どこのIFAがよい・わるい」という情報にはあまり意味がない。

情報にひもが付いているからだ。

大抵のIFAは、RL360のQuantumのようなファンドラップ積立商品に対して、独自のポートフォリオサービスを提供しているが、その運用成績が良いとか・悪いとかいう議論もIFA選択の決定的な要素にはなり得ない。

まず、大切なことは、「IFAの情報は必ず取ること」、その上で「そのIFAに直接連絡を取ること」だろうと思う。

もちろん信頼できる情報ソースから得られる情報というものは価値のあるものだが、投資商品の見極めと同様に、IFAの見極めに関しても最終的には自分が直接判断すべきだろう。

以下、IFAの本質を理解する上でその実態について語りたいと思う。


IFAとは「Independent Financial Advisor」の略であり、香港では保険や投資商品の仲介を行うブローカーの一般的な呼び名にもなっている。

ブローカー(Broker)とエージェント(Agent)の違いについては、以前に述べたことがあるが、もういちど言っておくと、ブローカーは保険、不動産、投資商品などの仲介業者の一般呼称であり、特定の商品提供会社(プロバイダー)に帰属するものではないのに対し、エージェントは特定の(商品提供)会社に属する営業を意味する。

つまり、保険ブローカーと言えば、保険の仲介人や会社のことを言い、保険エージェントは特定の保険会社の外交員ということになる。

香港のIFAと呼ばれる会社は、基本的にブローカーであり、特定の商品提供会社のエージェントではあり得ない。

複数の商品提供会社との契約の中で、クライアントのニーズに最も適した商品をアドバイスできることがIFA(Independent Financial Advisor)と呼ばれる所以である。

日本に於いても、2000年頃から急増してきた、「保険の窓口」に代表されるような、総合保険ショップという、顧客が足を運んで複数の保険会社の提供する諸々の商品の中からライフプランに沿ったものを選ぶことができる商形態に近い。

余談ではあるが、そのような日本におけるIFA的形態の総合保険代理店に対する金融庁の規制の動きが強まっており、「複数の選択肢の中から最も適した商品を勧める」と謳いながらも、実態は「もっとも手数料の身入りがよい商品を勧める」ということになりがちな方針にメスが入りつつある。

以前からお話ししているとおり、金融業界や不動産業界に於いては日本に限らず、ブローカーは「自分たちにとって身入りの良い」商品を優先して勧める傾向が強い。

特定の会社に属するエージェントに於いても、自社の提供する商品ラインナップの中で、最もコミッションの大きい商品を当然のことながら勧めるのが定石だ。

これは、金融商品に限らず、物販に於いても同じ原則であり、店頭において売り子が勧める商品というのは、利益率の高いものか、或いは在庫を処分したいものだと相場は決まっている。

これは、一見悪徳なように思えるが、商習慣において経営側の視点では、そうあるべきものであり、そういうものだと消費者側は理解した上で営業マンに対処しなければならないだけの話しである。

その原則において、いい人も悪い人も無く、売る側はそうしなければ生きていけないので仕方ない事だ。

それを、金融規制において管理しようとすることには所詮無理があり、管理しようとすればするほど、より歪な形で、わかりにくくその原則が適用されるだけだ。

香港においても、2008年のサブプライム以降、そのような販売側を取り締まる規制は年々強まっており、投資商品のブローカーであるIFAもご多分に漏れずKYC(Know Your Client)という当局の要求事項をこなさなければ処罰の対象となるという規制強化の中で、さらに多くの書類にクライアントが訳も分からずサインしなければならないという結果になっている。

また、手数料の内容についても、クライアントに要求されればそれを開示しなければならないという事項も加わっている。

これは、究極の規制方法であり、日本でも金融商品取引法や保険業法で定めればよいかもしれない。

そうなれば、証券会社や保険会社は、「その契約により会社がいくらの手数料を手にするのか」を商品ごとに顧客に開示しなければならなくなる。

しかし、このようなことを法律によって定められては、金融商品の販売は成り立たなくなる。

金融商品のみならず、全てのビジネスにおいて商売が成り立たない。

自動車メーカーが、同価格帯のAという自動車とBという自動車の粗利がいくらであるかを正確に開示しなければならないとしたら、自動車の販売は成り立たないし、コスト削減によって利益率を改善する企業努力も全く意味をなさなくなる。

基本に帰ってみれば、クルマや電化製品のような工業生産物の場合、利益率が高かろうが、低かろうが、コストに見合った品質のものは存在し、ブランド戦略という魔術によってより多くの付加価値を生み出す可能性を持っているが、投資商品や保険というものに関しては、そのようなブランドによる付加価値というのはそもそも不要なものと言える。

保険商品を含む投資商品の価値は、その運用性と保証性によってのみ計られるべきであり、有名人がテレビで宣伝しているからといって、運用性が良いわけでも信用できるというわけでもない。

販売側の利益=消費者の不利益という原則が金融商品に関しては純粋に成り立つ。

ブランド力とその認知によってより付加価値(メーカーの利益)を高めなければならない商品(製品)は、当然のことながら巨額な宣伝費をメディアにかける必要が生じる。

もの作りにおける開発や製造のコストはさておき、この宣伝広告費というものは金融商品にとって、消費者(投資家)の本来得るべき利益から確実に差し引かれるものなので害でしかない。

さらに、販売に関わるコスト=つまり、販売手数料や仲介手数料は、金融商品に含まれるコストの多くを占めることになるが、それがなければ誰も金融商品など売りはしない。

投資商品に関しては、商品の組成に関わるコストというものはほぼ開発の人件費とシステム費用だ。

そして、商品の現物というものは存在しない。

タダの紙切れ、いまではペーパーレス化によって紙すらないただののデータが金融商品というものだ。

このような金融業界の業態の本質を理解した上で、IFAというものに求められる本来の機能は何かと言えば、営業や宣伝以外の事務的なオペレーションということになるだろう。

IFAが仲介手数料として手にする収益は、商品によって多少の差はあるものの、自社のホワイトレーベル商品でもない限り、相場はおおよそ決まっている。

それでも、IFAは投資商品の卸問屋として、より収益性の高いビジネスモデルを生き残りのために追究するだろう。

収益性の高い商品があれば、もちろんそれを優先して販売し、同じような収益性の商品であれば、より販売やサービスのコストがかからない商品を優先する。

このような原則において、IFAの善し悪しを判断する上で「サポート力」なるものを評価しようとしたときに、「販売に関わらないサポート業務」というものに優秀なコストの高い人材をIFAが割くかと言えば、そのようなことは普通あり得ないと理解できるだろう。

いわゆる販売後のアフターサービスという事に関して、「金融業界」ではそれに力を注ぐという概念そのものが欠如している。

そんななかで、あえてIFAのサポート力というものを評価するとすれば、「非営業スタッフ」の数とクヲリティーを評価するしかない。

限られた仲介手数料収入の中から、いかにに多くの費用を「非営業活動に関わるコスト」として排出しているか?

私の知る限りでは、海外の外国人が経営するIFAとよばれる海外の金融商品を仲介する会社のなかで、日本人に対するサポートを真面目にやっているところは1社しかない。

「真面目にやっている」という意味は、営業のノルマを課されていない、専属の非営業サポート部隊を持っていると言う意味である。

それ以外のIFAは、巷の商習慣に則り、自社ではなく、提携している紹介会社や紹介者に、営業のノルマと共にサポートの義務を負わせている。

本来、サポートの義務をも含む紹介手数料は、紹介売り上げに応じて支払われる営業コミッションであり、紹介が無ければ1円も支払われることがないので、紹介業者は新規の獲得営業にいそしみ、事後のサポートに関してはコストを割こうとはしない。

IFAサイドも同様に、より強力な紹介者と提携するために仲介手数料の大半をつぎ込んでしまうため、自社でサポート人員にコストを割くことができなくなる。

売り上げ絶対主義で成り立っており、収入源が新規の投資契約でしか得られない投資商品仲介業たるIFAのビジネスは、このような営業過重による負の連鎖に巻き込まれ、適切な顧客サポートを提供するという本来の使命からはどんどん遠いところに行ってしまいがちである。

いくつかあるIFAのサポート力を比較して、そのなかから最適なIFAを選択するというようなことは、普通の顧客には殆ど不可能であり、それよりはIFAから直接商品を購入する代わりに、直接より良いサポートを自分に対して提供することを要求する方が確実かもしれない。

卸問屋から直接購入したところで、値段が安くなることは無いが、IFAの手元に残る利益には大きな違いが出てくる訳だから、それを自分のサポートに当ててくれという主張は理にかなっているように思われる。

しかし、大半のIFAは、そのような要求をもし聞いたとしたら、「何言ってるんだこの人は?」と理解すらできないだろう。

金融業界では「アフターサポート」という概念が根本的に欠如している。

金融業界における「サービス」や「サポート」という概念は、プレセール(販売前)のものであって、アフターセール(販売後)には存在しない。

プレセールにお金を使いすぎるために、アフターセールに回せる経費が出てこない。

このようなIFAの本質を知った上で、あなたはあなたにとって最良サービスを提供してくれる最良のIFAを見つけることができるだろうか?

“あなたがIFAにとって最良の顧客であり得るなら、どのIFAもあなたに最良のサービスを提供するだろう”(by Mr.G)