マン島籍FPI(フレンズプロビデント・インターナショナル)やRL360(旧ロイヤルロンドン)、ケイマン籍(プエルトリコ籍)のITA(インベスターズトラスト)などが提供する『オフショアファンド積立』の運用利回りは何によって決まるのだろうか?果たして、オフショア積立は結果として運用性が良いのか悪いのか?それは何に依存しているのかそのカラクリを暴いていきたい。
こういった『オフショア積立』をこれから契約しようとしているひとも、以前に契約しているひとも、基本的に「期待利回り年10%以上」という希望的前提があるかもしれないが、それはあくまで期待利回りであって現実にそうなるかどうかは誰にも分からない。
当然のことながら、プラス10%あるということはマイナス10%もありうる。
現実には、購入しているファンドの価格は日々変動しているのでにプラスマイナスの繰り返しとなる。
つみたてNISAでS&P500やオルカンの一点買いをしていても同じであり、シミュレーション通りに毎年プラスの運用が出るとは考えない方が良いだろう。
ただ、USドルの金利が上がってきたために、サンライフ香港など海外の生命保険会社が提供する養老年金保険(Annuity Product)商品の見積もり上の非保証部分を含む運用利回りが、普通に年7%あたりになってきていることを考えるとオフショア積立によるUSドル建のファンドによるアクティブ運用がその倍くらいのポテンシャルがあっても不思議ではないが当然リスクは高くなる。
概ね巷では、IFA(海外の仲介会社)が提供する「ポートフォリオサービス」というファンドの選択やスイッチングを一任するサービスに運用成果は依存すると考えられているが、オフショア積立=Offshore Savings Plan(オフショア・セービングプラン)と呼ばれるタックスヘイブンの保険会社が提供する金融商品は、単なるファンドを積立てていく箱のようなプラットフォームに過ぎず、購入して保有しているファンドの価格が上がれば上がるし、下がれば下がる。
つまり、どのファンドをどのような平均購入価格で購入し、それが現在いくらになっているかでその時点の運用成績は決まってくる。
オフショア積立は、その箱の中にその時点で持っているファンドの価格が買ったときの値段より上がっていればプラスだし、下がっていれば運用はマイナスになる訳だが、毎月定額で買い付けは行われている訳なので、積立途上でマイナスが出ているということは、その時点では前よりも安い値段でファンドを買い付けているという見方もできる。
しかし、複数のファンドを定額で買い付けていき、時折そのファンドの買い付け内容(ポートフォリオ)が変更される場合においては、なかなかその評価は難しく、20年を超えるような長期積立の場合、最後に蓋を開けてみなければその結果を正当に評価することはできない。
そして、マン島RL360ならRSP(Regular Savings Plan)、プエルトリコITA(インベスターズトラスト)ならEVOLUTIONというオフショアセービングプランは基本的に自分でファンドを選択し、途中のファンド組み替えも自分で行うことを前提としたプラットフォームとなってる。
これは少しくらいファンドの知識がある人が、面倒見の良いIFAの担当者と組んでいればそれほど難しいことではないが、素人向けではないし、IFAの担当者も面倒なのでそういった相談には契約の時しか乗ってくれない。
そこでIFAとしては、お任せいただける「便利で安心なポートフォリオ管理サービスがありますよ」という流れになる。
ポートフォリオサービスの本質は、管理サービス的な意味合いが強く、よく言われる「運用をプロに任せている」という表現には少し語弊がある。
「ポートフォリオサービス」によるファンドの選択と組み替えは、結果として運用に影響を与える要素には違いないが、その目的と本質は短期的な運用成果の確定を目指すものではない。
管理者であるポートフォリオマネージャーはその運用成果に対して責任を負わされる立場ではないものの、運用成果がパッとしない時に発生する投資家のストレスや不満のはけ口は行き先にはなってしまう。
こういったプラスもマイナスもある投資商品は、マイナスの時に悪者になる人間が居なければなかなか怖くて勧められないものだ。
つみたてNISAでS&P500インデックスやオルカンを一点買いしておけば、年10%程度の運用が堅いと錯覚させられて10年後に結果マイナスだったとしても、それはインデックスファンドの運用会社が悪いというのことになるだけでそれを販売した銀行や証券会社は知らんがなということになる。
ポートフォリオサービスの本来の意味は、短期的なリターンを追求するためにハイリスクでアクティブな運用を目指すものではなく、いつ来るか分らない経済危機に備える長期的な保険のような意味合いが強い。
だとすると、積立元本の少ない最初の5年くらいはその保険たるポートフォリオサービスの必要性は低いと考えられる。
最初の3年~5年くらいは何を選んだところでたいしたリスクも少ないし、頻繁なスイッチングの必要性もないだろう。
10年くらい経って元本がそこそこ大きくなり、自分で管理することが不安になってからポートフォリオサービス加入を検討することも可能だし、ポートフォリオサービス加入前提であれば移管を受け入れてくれるIFAもおそらく居るだろう。
ポートフォリオ・サービスというものが実際にはどのように運用されるどのようなもので、それはなぜ必要なのか?あるいは必要ではないのか?ということについて改めて私の個人的見解を述べておきたいと思う。
※あくまで個人の見解です。
まずは対象となっている商品の話から始めよう。
■ポートフォリオサービスとは?
オフショアの積立型投資商品の中で、オアフショア籍のファンドを複数ポートフォリオに組み込みながら長期に渡って積立投資が可能な「セービングプラン(Savings Plan)」と呼ばれる一般的なプラットフォームの活用に関して、それを仲介するIFA(海外の仲介代理店)はポートフォリオ・サービス(Portfolio Service)もしくはポートフォリオ・マネージメント・サービス(Portfolio Management Service)という、毎月の購入ファンドの選択と積み上がったファンドのリバランス(スイッチング)を代行管理するサービスをオプションで提供しており、殆どの人はIFAや紹介者の勧めに従ってそれを利用している。
主に香港のIFAは、歴史的にSFCのライセンスを保持した関係会社を利用して2006年頃からポートフォリオサービスを提供してきており、対象となってきたオフショア積立の商品群には以下のようなものがある。
■日本で紹介されてきたオフショア積立商品
★フレンズプロビデントインターナショナル(FPI)のプレミア/プレミアウルトラ ※新規契約不可
★ハンサードインターナショナル(Hansard)のAspire(アスパイア) ※新規契約不可
★RL360(Royal London 360)のQUANTUM(クアンタム)/RSP (Regular Savings Plan)
★Investors Trust(ITA)のエボリューション(Evolution)
★Heng An Standard Life(旧スタンダードライフ香港)/ハーベスト101(Hervest 101)※新規契約不可
★CTF Life(旧FTLife(旧Ageas))のコロンバス(Columbus)
★Sun Life HK(サンライフ香港)のサンアーキテクト(Sun Architect)
結構沢山あるが、契約者数で多いのは過去においてはフレンズプロビデントのプレミアとスタンダードライフのハーベスト、現在でも契約があるのはRL360のクアンタム/RSPとITAのエボリューションが大半だと考えられる。
■ポートフォリオサービス普及の歴史とその背景について
香港のIFAはこのポートフォリオサービスを主に日本人を対象に提供し始めた経緯があり、その背景には日本人の平均的金融リテラシーの低さがあったということは否めない。
当時、日本には100種類以上もの世界中が投資対象となっているファンド(投資信託)から自由に選択してポートフォリオを構築可能なセミプロフェッショナルな積立商品も、一括のファンドラップ口座も一般的ではなかった。
つみたてNISAやiDeCoも存在しなかった為、ファンドを選択して長期に渡って積み立てていくオフショアの年金型積立商品を勧めていく上で、「顧客がそもそもファンドを選ぶことができない」という現実的な課題(障壁)がまず存在した。
いくら優れた積立投資プラットフォームであったとしても、ファンドを自分で選べないようなひとが自分で選んで管理しなければならないような商品を買うことはない。
誰かが最初の選択肢となるファンドについてアドバイスし、何年かごとに見直し相談を受けてくれれば済む話ではあったが、 “その誰か”が存在しなかった事と、そのアドバイスの提供に関する日本の金融業法上の問題が存在した。
そもそも選択可能なオフショアファンドは100種類以上もあり、その中から5種類程度を選択するというのは素人には難しい。
ここからは営業的な要素も絡むが、業法的観点以外にも、なぜポートフォリオサービスが過剰に宣伝される結果となったのか?の背景について分析してみようと思う。
この日本には存在せず、誰も知らないような「オフショア・セービングプラン」という優れた投資プラットフォームを紹介する上で、当時の口コミの謳い文句として、
①税金がかからない(これは実際にはそうではないが)
②抜群の運用パーフォーマンス(これも結果としては実現していないが、複利で年10%以上とか)
・・・の2つの要素が過度に強調された経緯がある。
誰かが、この年10%複利という誇張された運用の夢の部分を背負わなければならなかったが、それが結果としてIFAの提供するポートフォリオサービスに都合良く帰着したというわけだ。
現実に、過去20年において、年平均10%以上の運用結果を成し遂げたIFAは存在せず、その責任はIFAのポートフォリオサービスの内容が悪いというところに帰着している。
未だに、過去平均利回りが10%などと宣伝しているIFAがあれば疑ってかかったほうが良いだろう。
商品そのものの存在とその良さを伝える末端の紹介者や助言者が、ファンドの選択に関してアドバイスを提供する行為は、その紹介者がアピールする期待運用利回りとも関係するし、その際に業法上の責任リスクが伴うので、もしポートフォリオサービスが無ければこのようなプラットフォームを誰も紹介しようとは思わなかったに違いない。
結局のところ、営業的には高利回りを謳いたかったが、その責任を誰も負いたくなかった(または負えなかった)ということに過ぎない。
日本国内の金融業法的には、このポートフォリオサービスの提供は投資の一任勘定の提供と見做され、投資助言代理の範囲を超えて投資運用業の資格が要求されるというのが一般的な弁護士の見解だが、資金そのものを預かるわけではなく、あくまでファンドスイッチングの代行であるという点から投資助言業と投資運用業の中間的なサービスであるとも言える。
いずれにしても日本国内の個人や法人がファンドの選択肢や運用についてアドバイスしたり、ポートフォリオサービスを提供する行為は業法上微妙ということだ。
しかし、仮に投資運用業の資格を持つ国内業者がポートフォリオサービスを提供したとしても、ポートフォリオサービスの提供に関しては合法でも、それと同時に国内未登録の海外金融商品の勧誘や仲介をした場合には違法となるという国内未登録海外金融商品の違法仲介という壁が存在する。
商品そのものが日本国内で販売できるものとして金融庁に登録されていなければ、いかなる金融ライセンスを保持していてもその商品を国内で販売することはできない。
これは何度も言っているように未認可の海外医薬品の個人輸入は合法でも販売は違法であるというのと似ている。
香港においても、IA(旧PIBA、CIB)といった保険の仲介ライセンスだけではポートフォリオサービスの提供はできず、SFCの1,4,9といったライセンスが必要と香港の金融業法上は考えられているが、RL360(マン島)やITA(ケイマン)といった、香港未登録(香港国内では販売できない)金融商品が、日本居住者など香港国外の居住者に対して販売される(クロスボーダー取引)の場合、IAのライセンスもSFCのライセンスも事実上関与しない状況となっており、その会社がポートフォリオサービスを提供できるか?の判断はRL360やITAなどプロバイダーに委ねられて必ずしもどこかの国で適合するライセンス持った会社がポートフォリオサービスを提供しているとは限らない。
フレンズプロビデントのように香港商品とインターナショナル(マン島)商品の両方を提供している会社が無くなり、RL360やITAといった香港未登録商品を香港のIFAが香港以外の関連会社を使って香港以外の(日本居住者など)に対して仲介するというパターンが一般化してからは、ポートフォリオサービスがどこの国のライセンスに基づいて提供されるべきものなのかはうやむやになってしまっている。
現実に、RL360やITAを仲介している契約書上の海外法人はおおよそBVI法人などオフショアのペーパーカンパニーであるとが多く、どの国の運用ライセンスも保有していない場合が殆どだ。
原則的にプロバイダー側には、親会社もしくは関係会社がその国で適切なライセンスをもっていることというガイドラインはあるようだが100%そうとは限らない。
現状においては、少なくとも関連会社が香港のSFCライセンスを保有している会社にポートフォリオサービスを委託するのが最も信頼性が高い気はする。
■ポートフォリオサービスはIFAにとって重要な収益源のひとつである
このポートフォリオサービスと呼ばれるものは、上記のプロバイダーが提供している一括型および積立型の投資商品とほぼセットでパーケージのように提案され、ポートフォリオサービスのオプション適用にかかる費用は、累積時価総額に対して年間1%という相場が一般的である。
そして、その1%はファンドのユニットから自動的に差引かれ、RL360やITAといったプロバイダーからIFAに直接支払われる仕組みとなっている。
この1%はモロに運用から1%のロスが発生することになり、この1%を差引いてもプラス運用が出ていればさして気にするほどのことはないが、マイナスであっても毎年確実に発生する手数料であることを考えると決して小さくもない。
一方、IFA(もしくはポートフォリオサービスを提供する会社)にとって、商品契約の仲介手数料以外で得られる収入として、この1%の手数料は大きい。
特に運用時価総額が新規の支払いの単純累積と、高い運用成果によって増え続ける場合には将来において膨大な収入となり得る。
管理時価総額が100億であれば、毎年1億の収入が自動的に発生する仕組みだ。
■蔓延るIFA移管ビジネス
フレンズプロビデント/プレミアのように10年前に日本居住者の新規契約が取れなくなってしまったかつてのベストセラー商品の場合、新規契約からの手数料が発生しなくなるため、IFAはポートフォリオサービスから得られる収入に依存しなければならなくなる。
それ故、この1%の原資となる契約を積極的に他社から自社に移管させようというモチベーションに繋がっていると思われるが、その1%の中から移管を勧めた紹介者にキックバックが行くシステムを提供しているIFAもあり、その事から多少露骨で強引とも言える紹介者による「移管のお勧め」というものが発生する。これが俗に言う「IFA移管ビジネス」だ。
IFAや紹介者の営業的目線では、ポートフォリオサービス加入前提の移管か、解約か全引き出しさせて別の商品に加入させるのが定石であり、解約させて同じような別の商品を買わせる方が、仲介手数料が新たに入ってくるので実入りは良い。
ポートフォリオサービスの運用成績を餌にまずは移管させ、それから買い換えさせる手法もよく使われるが、一見親切そうなそのお勧めの結果は大抵悲惨な結果となる。
こういった、国内の生命保険会社で良く見受けられるような「契約の更新という名の買い換え」の罠にかかってしまう人は後を絶たない。
いくつかのIFAのポートフォリオサービスを比較して、特定の(良い数字が公開されている)IFAに誘導しようとしているサイトや情報には特に注意が必要だ。
いちばんの問題は、移管を積極的にしかも合理的に勧めようとする紹介者の移管営業戦略が、ポートフォリオサービスの論理的な理解をよりねじ曲げる結果となっていることだろう。
どのIFAがどのようなポートフォリオサービスを提供しようが、それが打ち出の小槌のように運用利益を生み出し続けると言うことはないし、それが本質ではない。
■IFA/ポートフォリオサービス移管により発生しうる不利益について
現在加入しているポートフォリオサービスの運用成績が振るわず、IFAに不満を持っている人に対して、過去や現時点での運用成績の良いポートフォリオサービスを提供している別のIFAを紹介すれば、誰でもそれに惹かれて移管を考えるだろうが、もしそのポートフォリオ実績が事実だとしても、移管したからといって運用が短期的に改善されるわけではないばかりが、それ以前に出ていた損を確定させる結果となってしまう。
しかも、契約途上で他社に移管されていく証券に関しては、もともと契約を仲介したIFAには既に仲介手数料は発生しているにも関わらず、その後の事務的なサポートの義務や契約仲介に関わる責任を放棄できる(権限がなくなる)というメリットがあり、そのことが安易に移管してしまった契約者を難民的立場に追い込みかねない。
■ポートフォリオサービスのテクニカルな側面について
特に、積立投資商品に関してはポートフォリオサービスと運用結果の関連性について誤解が起こりやすく危険であるが、その事はなかなか理解が難しい。
冒頭にも述べたが、極端な言い方をすれば積立商品の最初の数年におけるポートフォリオサービスの役割は運用的にみれば重要度は極めて低い(どうでも良いとまでは言わないが)。
私個人は、それを分っていてポートフォリオサービスを敢えて利用しているが、何故かと言えば自分で管理するのが単に「面倒である」からに過ぎない。
もちろん、10年も経って運用成果が振るわないとしたら、不満がないとは言えないが、その不満を積立の途上でポートフォリオマネージャーにぶつけるのは筋違いかもしれない。
また、一般に公開されている積立商品の月別運用実績は、それを参考にする人が、いったい何年目で幾らの積立をやっているかによって個別に成果や、将来の伸びしろは変わってくるので、あまり参考にならないばかりか、将来そのような運用が続くという誤解を生みやすい。
かつては、一括のポートフォリオと積立のポートフォリオが別々にあって、運用報告書も別々に出ていたように記憶しているが、最近では殆どのIFAで一括も積立ても同じ内容ものとなっている。
一括投資のポートフォリオであれば、ドルコスト平均法も関係なく、年単位での過去の成績はある程度参考になるが、積立の場合は基本戦略が全く異なる。
既に25年のうち10年くらいやっていて元本がある程度(10万ドルくらい)積み上がっていれば、その積立完了部分に関しては一括の運用報告書がリアルに参考になるということになる。
これは、積立の場合まず、「既に持っているファンドを切り替える=スイッチング」と「これから買い付けるファンドを切り替える=リダイレクション」という2通りのトランザクション(取引)が別々に指示可能であるということを理解していないとわかりにくい。
ポートフォリオサービス下でこの異なる2つのトランザクションは、同時に同様に行われることが多いが、実は持ち分のスイッチングは守り重視、買い付けのリダイレクションは攻め重視という風に2つの戦略に分かれるべきものだ。
積立の初期においては、この攻めの部分が重要であり、結果として累積の運用実績は金額ではマイナスになる場合もあるが、マイナスが続いてもそのファンドが将来伸びる思われるなら、ナンピン買いのチキンレースのようではあるが、買い続ける戦略が有効であり、結果としてとどのようなファンドを最終的に何シェア買えたか?が重要と言える。
スイッチングの部分から得られる成果は、一括も積立も同じだが、積立の初期においてスイッチングから得られるパーフォーマンスがプラス10%だろうがマイナス10%だろうが金額で言えばたかが知れている。
たとえ一括投資にポートフォリオサービスを適用している場合でも、過去の右肩上がりの運用実績は将来の継続的プラス運用を保障するものでもなんでもなく、ただの参考にしかならない。
満期の1年前に経済的クラッシュが起こり、そのときに逃げ遅れた場合には一気にマイナスに転じる可能性はある。要はポートフォリオ運用のコンセプトが重要なのであって、過去の数字は何の意味も持たない。
過去実績は、バックデートしたシミュレーションで成績の良かったファンドを組み合わせればいくらでもねつ造可能なので、RL360で過去20年の実績などという謎の運用報告書があったりする。
あと、注意が必要なのは運用報告書が円建てで表示されている場合で、これはどの時点の為替をどのように計算しているのか不明瞭であり、あまり信頼性が高いとは思えない。
元々、このポートフォリオ管理サービスの原点は、積立ではなく “一括”の投資口座で複数のファンドの組み合わせポートフォリオを専門家に委託し、ほったらかしでも経済危機など急激な状況変化が起こったときに酷い損害を被らないためのセーフティーネットであり、20年以上前に預金1億円以上でプライベートバンクに口座を開設した富裕層向けに提供されていた投資口座の一任勘定サービスがコンセプトのベースとなっていたと思われる。
プライベートバンクの投資口座や、PPB(Private Portfolio Bond)と呼ばれる一括投資のプラットフォームでは、投資信託(ファンド)だけでなく、株式や債券などISINコードを持つ世界中のありとあらゆる投資商品からポートフォリオ構築が可能であり、その選択肢は膨大だ。
それ故、自分で投資対象をある程度選択可能な投資家でなければ、なかなかポートフォリオを管理することは難しい。
私の知っている限りでは、フレンズプロビデントのリザーブや、RL360のPIMS、ITAのアクセスポートフォリオといったPPB(プライベート・ポートフォリオ・ボンド)商品に関しては、その膨大な選択肢と、個々の証券のポートフォリオを個別に管理しなければならない手間の問題から、いわゆる吊るしの「ポートフォリオサービス」というものはどのIFAからも提供されていない。
自分で運用管理するか、アドバイザーにフィーを別途払って個別のポートフォリオを管理運用してもらっているケースが多いと思われる。
プライベートバンクの投資口座に関しては、年4%程度の比較的手堅い利回りをターゲットにして委託運用されていたが、当然口座管理手数料が発生し、しかもプライベートバンクの担当者(プライベートバンカー)が、手数料が2重に発生する自社の取り扱いファンドを押し込むという悪徳な所業が多く見受けられたり、特定の銘柄の予期せぬ暴落により口座が赤字になることもあり、最近はあまり聞かなくなった。
いわゆるオフショア積立と呼ばれるものは、RL360のRSPであれば350種、ITAのEVOLUTIONであれば150種も選択肢のあるファンドリストから複数のファンドを選択して毎月定額で購入していくというものだが、上記の一任勘定のように100人の投資家に100通りのポートフォリオを提供することはできないので、100人だろうが1,000人だろうが一様なポートフォリオであり、一様にファンドの切り替えが処理されるバルク取引(一括取引)となっている。
つまり、同じRL360のRSPを1年前に始めたばかりで投資総額が60万円の人も、既に10年やっていて投資総額が600万円の人も、一般的にIFAが提供するポートフォリオサービス下では同じように扱われており、ポートフォリオは同じ内容となっているが、累積金額の大きさによってリスクが異なることを考えると少し無理がある気はする。
積立投資のポートフォリオ戦略を運用結果だけに目的を絞って理想的なポートフォリオ運用をするとすれば、前半は割安な値下がりしていて、10年くらいのスパンでは伸びそうなハイリスクな新興国のファンドを買い続けて、後半に向けては徐々に手堅いローリスクファンドに移行するというような戦略が有効であり、あくまで運用のみを目的とするのであれば、積立の場合は、積立途上の利益ではなく満期時の確定利益を最大化することを目指すべきである。
仮に、そういったポートフォリオの成功例を想定し、20年満期を20年溯って毎年の成果を見た場合は、前半10年はマイナスで後半10年がプラスという場合もあり得る。
しかし、前半10年のマイナスに投資家が精神的に堪えられるとは思えない。
極端な例を挙げれば、今は誰も見向きもしない値段が下がり続けるクズファンドをずっと10年買い続けて、10年後から急にそのファンドの価格が上昇し始めて残り10年で伸びきるような場合が最も利益が出るわけだが、そんなハイリスクな選択をするポートフォリオマネージャーはいないだろう。
このあたりを真面目に考えていくと、IFAが提供しているポートフォリオサービスが、本来は年ごとの絶対利益を追求すべきではないことは明らかであり、そもそも年ごとの絶対利益の追求がポートフォリオサービスの利用目的ではないということも少しは理解できるだろうか。
では、一体何の為にポートフォリオサービスを利用する必要があるのだろうか?
結論から言えば、投資家の気休めと運用結果が気に入らないときにその文句を言う先を持っておく為(笑)とも言えるが、テクニカルにはMMFへの避難とポジションの買い戻しを繰り返す事によって起こりうる最悪の事態を回避する為だと私は思っている。
実はその事を教えてくれるのは、新興のドミニオンキャピタル(Dominion Capital)が提供し始めたPIP(Protected Investment Portfolio)という外部のFNZという会社が提供するある種のポートフォリオサービスの技術的側面かもしれない。
このPIPは、RL360のRSPやITAのEVOLUTIONなど一般的なオフショア積立商品に対してIFAが提供しているポートフォリオサービスと同様に、毎年時価総額に対して1%の手数料を徴収し、日々ポートフォリオの見直しが機械的に行われるとうものだ。
さらにオマケと言ってはなんだが、前日までの最高時価総額の80%が保証されるという元本確保的なものが付いている。
まぁ、残念ながらあまり良い成果がいまは出ていないようだが、それはドミニオンが提供しているドミニオンファンドの成績が振るわないせいかもしれない。
この元本確保的な最高値の80%保証という部分の怪しさはさておき、このPIPにおいて提供されるポートフォリオ管理のミソは、毎日システムがファンドのポジションを機械的に監視し、下落基調にあると判断された場合にはアクティブ運用ファンドのポジションをMMFに避難し、逆に上昇基調にあると判断された場合にはMMFからアクティブ運用ファンドのポジションに移行するという、デイリー単位のスイッチング処理をシステム的に行うところにある。
オフショア積立のプラットフォームで運用される主なファンドは1日に1回だけ価格が決定するデイリートレーディングファンドなので、株やFXのように毎秒ごとに価格が変動することはない。
なので、ファンド価格の監視は1日に1回行えばよい。
しかし、ファンドのスイッチング指示を出してもその指示が反映されるまでのタイムラグが通常1日~2日かかる。
つまり、下落基調を人間であれ、システムであれ、判断した当日にMMFへの避難指示を出したとしても、現実にその指示が反映されるまでの間に、ファンド価格が大幅に下落するリスクがある。
ドミニオンキャピタルのPIPにおいても、もちろんそのリスクがあり、もし前日までの最高値に対して80%という保証値を下落が運悪く上回った場合には、その差額を提携銀行が埋め合わせてくれるというものだ。
今のところそういう事態が発生した実績はないようなので、それが起こりうるものなのかどうかも今のところ何とも言えない。
かつては香港のGRANDTAG社という私が長年利用しているIFAが提供しているGPMS(Grandtag Portfolio Management Service)と呼ばれるポートフォリオサービスも、保証こそ付いていなかったものの、PIPと似たような運用手法が取られていた時期がある。
その当時(2006年~2009年ごろ)は、GPMSに5%ルールというものが存在し、選択しているファンドの価格が5%以上下落したときには機械的にMMFに避難し、避難後同じファンドの価格が5%以上上昇した場合には、その同じファンドを買い戻すという機械的なポートフォリオ管理戦略を取っていた。
ところが、2008年のサブプライムショックの時に、5つ選択されていたファンドのうちひとつ(インドファンド)が1日で大きく下落し、MMFへの切り替え避難が遅れたために、5%を遙かに超えるその時点の損が確定してしまうという不運な事故が起こってしまった。
その後、責任を取らされるような形でポートフォリオマネージャーの首が飛び、5%ルールに基づくポートフォリオ戦略もなくなってしまったが、思い返せば当時の戦略はポートフォリオサービスにおける理想的なロジックだったような気もする。
多くの投資家が一瞬で損害を被ったサブプライムショック明けの2009年以降、日本でもフレンズプロビデントによる未曾有のオフショア積立投資ブームが起こり、投資手法のトレンドは富裕層の一括投資から一般人の長期積立へとシフトしていったが、その際にIFAが提供する「ポートフォリオサービス」は、リスク回避の保険というものから、将来の運用をあたかも保証する夢の運用システムのようなものとして営業的な使われ方をするようになってしまった。
どこのIFAも、積立だろうが一括だろうが同様に、年間の運用利回りターゲットを6~10%程度と謳い、巷では年10%以上のEXCELによる積立複利計算表が紹介者によって濫用され、誰でも30年後には1億円が5万円の積立で成り立つかのような錯覚に陥ってしまった。
残念ながら、15年以上の積立を(FPI)フレンズプロビデントで継続している私のポートフォリオではその夢のような年平均10%複利運用というシミュレーションと同様な結果は今のところ出ていない。
ただ、今から10年後の結果は今のところ分らないし、元本のそこそこ積み上がった後半にこそポートフォリオサービスの本来の重要性が増すとを感じている。
オフショアファンド積立の運用結果は、最終的に20年後25年後の満期時にどうなっているかが全てであり、その間は正直どうでも良い。
特に初期の数年はマイナスが出ているほどポートフォリオマネージャーが果敢に攻めていると言えなくもないが、攻めれば攻めるほどクビになる可能性は高くなるのでその戦略は取りずらい。
もし25年契約で15年目に200%とかになれば、その時点でペナルティー払っても得なので解約するという選択肢はあるが、私は基本的に満期まで支払いを止めるつもりも一円も引き出すつもりも無い。
マン島籍RL360のRSPやプエルトリコ籍ITAのEvolutionのようなオフショアのファンド積立商品を強力にプッシュする際に、 “運用性が国内の商品と比べて半端なく良い” ということを信じさせるのがいちばん手っ取り早く合理的であり、「運用はIFAのポートフォリオサービスによって決まる」というロジックが紹介者に取ってみれば自分たちに業法上のリスクの無い都合の良い戦略だったが、現実のポートフォリオサービスは運用結果を保証するようなものでもなく、本来毎月毎年の絶対利益の確定を目指すべきものでもなかった。
そもそもオフショア・セービングプランはオフショアのマザーファンドに直接投資可能な優れた海外分散投資のツールであることは確かであり、ポートフォリオを細かく多くのファンドに分散すればするほど運用リスクは減るが、反面分散のしすぎで運用性が結果として低くなってしまうという皮肉な宿命も背負っている。
運用性を高めるとリスクは増し、リスクを低く抑えようとすれば運用性は低くなる。
月に5万円の積立で、5種類のファンドを買い続けるのですら、本来なら一括で100万円以上の資金が最低でも必要なファンドを毎月1万円で買っていく勘定であり、分散しすぎと言えるかもしれない。
ある特定のファンドの価格が、20年後には今の10倍になることが分っていれば、そのファンドを一点買いすれば良いだけの話だが、そんなことは誰にも分らないからある程度複数のファンドに分散する必要があるし、何年かにいちどはポートフォリオも見直しも必要となる。
逆に、どれだけ分散していても、世界を巻き込むような恐慌が起こればファンド価格は一瞬にして半分になる可能性もあり、それを防ぐことがポートフォリオサービスの最も重要な使命だと言えよう。
しかし、それは既に購入しているファンドの持ち分に関してのみである。
このようにIFAが提供するポートフォリオサービスは、オフショア・セービングプランの長期に渡るファンドによる積立運用に関してはある種の保険であり、商品そのものの運用性を担保するものではないと理解した上で、ポートフォリオサービスを利用するか?しないか?どのIFAに委託すべきか?など検討すべきだろう。
■ポートフォリオサービスがなかったとしても、オフショアセービングプランは十分魅力的な商品である。
ポートフォリオサービスというものが全能でないにしても、たった毎月数万円という少額からクレカ決済でオフショアファンドを積立てられるプラットフォームで、継続的ではないにしろ年10%以上の運用が期待できる商品は世界中を探してもタックスヘイブンで提供されるオフショア・セービングプランしかなく、今残されたRL360やITAといった選択肢が日本人にとって貴重で魅力的なものであるということに変わりは無い。
■商品に関しても、ポートフォリオサービスに関してもそれを提供しているIFAのアドバイザーとよく相談することが重要だ。
その本来のセービングプランの魅力についても、ポートフォリサービスに関する本質的な事実も、良心的なIFAの良心的な日本人アドバイザーに偶然出会うことがなければ真実に近づくことはできない。
ポートフォリオサービスに関しても、IFAごとにそのコンセプトは異なる筈なので、運用結果が保証されるようなものではないことを前提にした上で、IFAから直接その運用方針を聞いて選択するのがよいだろう。
